372話「ナノマギア・オリジンの実態とは!?」
実は封印されていたのは地闘神だけではなかった!?
会議室でオレたちは地闘神であるグランドルフを尋問してみたぞ。
「なぁ、グランドルフ……。水闘神以外にいんのか?」
「ああ。四万年前に封印されていたのは地闘神たる我の他に、さっきの水闘神を含め、風闘神、雷闘神、闇闘神。そして火闘神……こやつは火星に逃げたか!」
「どこに封印されているか分かるか?」
「……我も潰そうと思って、ここを荒らしまわっていたからな!」
なんと地闘神はヤツらが味方ではなく、潰し合う敵同士だと自白した。
フクダリウスもマジンガも見開く。
同じネアンデル人なのに……とは思う。オレたちも戦争してるから珍しくないかもしれない。
だがオレは気になった。
「どういう事だぞ!? 味方じゃねぇんか?」
「四万年前から元々敵同士だった。無敵で尚且つ永遠に若く生きれるナノマギア・オリジンだからな。あわよくば独占したい。故に支配者は唯一無二となる為に他の闘神を消せねばならん」
「バトキ……?」
「我らは複数形の闘神を『闘神』と呼称している」
「あんたら、不死身なんでしょー!? お互い殺し合う事できないでしょー?」
リョーコが困ったように言う。しかしグランドルフは首を振る。
「それぞれ属性が異なるナノマギア・オリジンである事は、ナッセも知っていよう? おまえの属性に変質したはずだ。光属性にな」
「だからオレを光闘神と……?」
グランドルフは頷く。
どうやらボスの肉体に合わせてナノマギア・オリジンは変質できるらしい。
「……その理屈で敵のナノマギア・オリジンを自分のナノマギア・オリジンで潰すのだ。そしたらそいつは不死身を失って死ぬ」
「つまりグランドルフがオレにしたように、敵を捕まえて注入するのか?」
「それも可能だが、ナノマギア・オリジン同士でダメージを与えると傷から注入できるのだ。より多くダメージを与えるほど注入量は増える」
オレたちは見開いた。
つまりナノマギア・オリジン同士なら不死身性や超再生は意味を成さない。
そりゃ敵同士になるワケだ。
唯一無二になれば無敵になるのだから、それを脅かす同業者は潰すに限る。
「オレなら普通に戦えば、ヤツらを倒せると……?」
「もちろんだ!! 楽しくなっただろおお!!?」
「いや別に……」
「フハハッ!! まぁいい! その気になれば戦うのだろう!!」
するとジャオウが歩み寄ってくる。
「オレにも注入しろ。ヤツらにダメージ与えられなければ意味ないからな」
「それがさ……やめとけ」
オレは首を振るしかない。
「なんだと?」
「えーッ!? 不死身と超再生あるんだから、いざって時に助かるじゃんッ!?」
「そうよそうよ! あんた欲ないんでしょー!?」
エレナとリョーコがブーブー言う。オレはジト目で見やるしかねぇ。
ヤマミは「できない理由があるのね?」と聞いてきて、オレは神妙に頷いた。
フクダリウスは息を飲んだ。
「その理由は何だ……?」
「実はさ……、ナノマギア・オリジンを握っているオレだから分かるんだ。グランドルフはとっくに死んでる」
「「「えええッ!!?」」」
誰もがオレの言葉に驚く。
「このナノマギア・オリジンってさ……、確かに死んでも蘇る超再生と不死身あるんだが、それは『奇跡』なんかじゃねぇ……。ただの『システム』なんだ!」
「「「ううッ…………!!?」」」
「ナノマギアには魔法陣プログラムが内蔵されていて、それは記憶媒体も入っている。だから共通化が可能になっている。そして宿主のデータも遺伝子レベルで記憶するから、何度でも蘇られるんだ……」
誰もが言葉を失う。ヤマミも見開いていく。
「そんな……!?」
「じゃあナッセも!?」
「いや、グランドルフの場合はきっと四万年前に最初殺された時に死んだんだ。その後、データとして復元される形で蘇ったように見えるだけだ。オレも不死身をオンにしたまま死んだら、蘇ったと見せかけてソックリさんに複製されるんだぞ……」
ヤマミも息を呑む。
フクダリウスは険しい顔で汗を垂らす。
「むう……! 最初に死んだら、それでオシマイなのか……!?」
「ああ」
「じゃあ、こいつゾンビって事ぉー!?」
グランドルフを指差してリョーコは叫ぶ。
「フハハッ!! そうなのかあー!! 今まで気付かなかったわ!!」
「更に言うとさ、オレの支配に入ったら終わり。下僕だからその者の『魂』を手放して『システム』にすり替わってしまうだけだ。だから……」
「私たちを闘士みたいにはしたくないのね」
「ああ」
オレは頷くしかない。
ヤマミもリョーコもみんな背筋が凍った。ゾクッ!
「ナノマギア・オリジンは支配者のみに特権を与え、闘士やそれ以下の下僕は操り人形と化する。だから統率が完璧に取れるんだ……」
群雄割拠していた部族たちがなぜ、都合よく統率が取れていたのか理由が明らかになった。
つまり部族たちはとっくに死んでてゾンビにされたんだ。
犠牲者と同じ人格と能力を『システム』で再現してすり替えて、なおかつ操り人形としてボスの意のままに従うゾンビって感じか。
ゾンビって言う理由としては、魂を失っても細胞が『システム』によって生かされているからだ。
まさにバイオ兵器。
「つーことでオレは不死身と超再生を切ってる」
オレはこめかみに汗を垂らし、ナノマギア・オリジンに戦々恐々していた。
コイツは人工知能みてぇなもんだ。そしてソックリに宿主へ擬態できる恐るべき古代文明利器。
……昔の人は分かってて受け入れたのか?
「グランドルフ、それ知っててナノマギア・オリジンを手にしたのか?」
「ハハハハッ!! 気にせず使ってたわ!! 既に死んでるというが、その実感わかん!! 永久に戦闘を楽しめるのならば望むところだったがな!」
つまり、ナノマギア・オリジンに『システム』の仕様を聞かなければ知らないままか。
って事はグランドルフは疑問を抱かずにゾンビなったバカって事かぞ。
いやいやいや、少しは疑えよって思う。
「ナッセ……、ナノマギア・オリジンに意思あるの?」
「いやないぞ。普通にまんま『システム』を説明してくれるし、騙すという悪意は存在しねぇ。オレが気になったら頭に直接教えてくれる」
「要するに“ただの魔法陣”って事ね?」
「ああ」
オレに言い換えりゃ意思を持たぬ“機械”って感じか。
マイシは怪訝な顔で「てめぇもゾンビになってるんじゃないだろうなし?」と疑ってくる。
「それ言うなよ。オレも怖い……。だが、他の闘神全員やっつけたら手放すよ。ゾンビだったら、その時点で死ぬわけだし」
「フン! きさまには生きてもらわなきゃ困るし!」
「ああ。死なねぇ……。決着をつけてねぇしな」
マイシと睨み合いになり、それで納得してもらえた。
つーことで、代わりに武器にナノマギア・オリジンを内蔵してもらった。
システムに命令して『武器の再生&ダメージ時に敵のナノマギアを制圧&持ち主を寄生禁止』に設定を施した。
これでフクダリウスやリョーコでもダメージを与えられるようになるはずだ。
「元々武器を持たないヤマミは……」
「大丈夫よ。カラクリがナノサイズの魔法陣と分かればこっちのもの。ヤミザキの『刻印』を剥がす要領でダメージ与えられると思う」
「うへぇ……インテリは考える事が違う」
って事は、オレもナノマギア・オリジンに頼らず、剥がす要領でやればいけるか。
だってヤミザキが支配してくるのを弾いてたもん。実証済み。
「おい! じゃあコツを教えろし!」
「オレもだ!」
「ジャオウは素手だから分かるが……?」
オレはマイシの腰に差している刀を見やる。
「チッ! あたしはナノマギアに頼りたくねぇだけだし! 自力でやらねば気が済まんし……」
「ああ。コツは簡単だと思う。ドラゴンの力なら……」
ゴニョゴニョ説明して、グランドルフをサンドバッグとして試してもらった。
確かに不死身も超再生も鈍っていって、無敵化も弱体化できるようになってた。
ガンガンダメージを与えて、毒のようにドラゴンの力を侵食させてナノマギアを破壊していくやつ。
「おおう……! これはキツいぞおおお……!」
再生できず横たわる血まみれのグランドルフにナノマギアを補充して元通りにした。
ビックリするぐらいシャキーン!
コイツ死んでるようなもんだが、気の毒だと思うんで……。
「よし! これならヤツらと渡り合えるぞー!!」
「「「おおおおおおおおおおおおおーッッ!!!」」」
「いええーい!! いえーい!! 楽しくなってきたぞおおー!!」
オレたちにグランドルフがノリノリで同調してきたぞ。
これもナノマギア・オリジンのゾンビだからこそなんだろうな…………。




