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371話「地闘神グランドルフが味方として加入!?」

 オレとグランドルフは跪いて、王座のミズミール女王と対峙している。

 後方にジャキガン生徒とフクダリウスたちが控えている。


「……分かった。確かに恐るべき大虐殺はナッセ殿によって阻止された。だが」


 ミズミール女王はもちろん、後ろに控えているギョヌも困惑している。


「本当にグランドルフはお主に従っていると?」

「そうみたいです」

「我はナッセに付き従う身。裏切る気など毛頭ない。もはや一心同体とも言えるべき仲間。プラネンタ王国の為に戦えと言われれば、喜んで戦おう」

「こじれそうだから黙っててくれねぇ?」

「ハハッ! 御意!」


 面白そうに笑んでいるグランドルフめんどくせぇ。


「ではナノマギア・オリジンをわらしに渡して貰う事もできるのか?」

「今度はオレの命もそっちの意のままになるからできねぇけど……」

「ううむ」


 ギョヌは困惑するしかない。

 助けてもらった手前、恩は感じているが恐るべきナノマギア・オリジンが依然と健在なのは如何ともし難い。


「グランドルフは元々虐殺者。ナノマギア・オリジンを捨てて、処刑せよ」

「え──……」

「確かにいくつか国を滅ぼした。そんな我を殺さぬでいいのか?」

「オレに殺せ言われてもできませんって……」


 オレはゲンナリして、ぱたぱた手を振る。

 グランドルフは殺される事もすんなり受け入れているけど、サッパリしすぎだよ。


「なら……」

「今度はナッセがグランドルフのようになるわよ?」


 なんとヤマミが冷めた目で歩んできたぞ。

 ミズミール女王が言いかけた先の言葉を予想しての事だろう。先手を取って逆に脅しをかけた。

 さすがに女王も言葉を詰まらせるしかない。


「グランドルフは絶対的不死身で多くの国を攻め滅ぼした。あなたたちも牙を向けば、第二の地闘神(アスラリオ)を生み出す元凶になるわよ。この国どうなっていいなら、ね」


 ミズミール女王は「ぐっ!」と苦悶するしかない。

 ヤマミは全て女王のせいに押し付けたのだ。もし良からぬ事を目論めば、これから起こる凶行は全て女王が起こしたものとなる。

 四万年前の大人災も代々伝わっていて、その恐ろしさを知っているなら避けたい事である。

 なのでナッセの闇落ちは絶対にさせてはならない。


「……恩を仇で返すわけには行きますまい。好きにせい。それに褒美としてナノマギア・オリジンの使用権を許可しよう」


 ため息をついてミズミール女王は背もたれに寄りかかった。


「スミマセン……」

「謝るでないわ。お主が来なければ、この国も他と同様に虐殺されていた事じゃろう」

「あと、ナノマギア・オリジンの使用権なんですが……」

「何かあるのか?」


 オレは頷く。


「自由に設定できるそうです。例えば不死身設定をなくして、一度致命傷を負ったら終わりにもできるぞ。超再生もオンオフできる。ちなみに五人の闘士(バトラー)も生け贄さえ確保できれば再び蘇らせる事ができるようです」

「なんと! そのような事が!?」

「おおお!! ナッセ、なんて無欲だ!! 永久に生きる事さえ放棄するのか!?」

「……オレは普通に生きたいんだよ。おまえも巻き込むが」

「ハハッ! 一度きりの命か!! 上等上等!!」


 昂ぶってか、グランドルフはダイヤモンドで皮膚をピキピキ覆っていく。


「まず落ち着いてくれ。不死身、ダイヤモンド化、一度受けたスキルのダメージを覚えて無効にするやつはそのままだけど、オレが死んだら一緒にあんたも死ぬ」

「うむ承知!!」


 オレが生きている限り、グランドルフは依然と無敵化を誇るのだ。

 ちなみに今になって気づいたんだが、無敵化のスキルは一時的なもので戦闘が終わったら数時間後にリセットされるみてーだ。

 その気になれば、今ここで大技ぶっぱして殺す事も可能だ。しないけど。


「そしてグランドルフの威力値は約四〇万。処刑するよか、味方として働いてもらう方がいい」

「そうか。好きにせい。もういいぞ。下がってゆっくり休むがいい」

「はい。ありがとうございます」

「女王さまよ! 感謝するぞ!! いええい!!」


 頭を下げて、オレたちはこの広間を出た。

 しばししてからミズミール女王は深いため息をついて額に手を当てた。


「全く……。あいつは純粋なやつだな。欲もない」

「そのようですな」

「下手に蜂の巣をつつくより、そのまま好きにさせた方が逆に平和なのかもしれぬな」

「全くです……」


 これまでグランドルフが攻めて来た時は、肝が冷えたのだ。

 そして無敵化のスキルを聞いて絶望さえした。国を失うのは避けられないと頭を抱えた。

 だが、ナッセはそれを覆した。




 会議室でオレとグランドルフは向き合っていた。


「これよりお主は『光闘神(ティアルズ)』ナッセを名乗るがいい!! その資格がある!」

「えーいやだ」

「フハハハハッ!!! さようか!!」


 ジャキガン生徒もフクダリウスたちも少々困惑している。

 腕を組みながらジャオウは「なんなんだコイツは?」と訝しげだ。

 オレは申し訳なさそうに振り向く。


「すまん。こうなるとは思ってなかったんだ……」

「う、うむ……」


 フクダリウスも困惑気味だ。


「ってか、あんた予知夢見てたんでしょー? いいわよねー! 隊長適任じゃん!」


 リョーコは相変わらずノリノリでオレにうりうり絡んでくる。

 ヤマミは不機嫌そうに目を細めた。


「……予知夢か? うーん、ただの偶然なんじゃねぇ?」

「だって丸々的中したんでしょー? それあったら無敵じゃん!?」

「じゃあ今日も寝て、本当に予知夢見れるか確かめてみるよ」

「あたしの結婚相手もよろよろー!」

「そこまではムリだろ……」

「えー……! けちけちー!」


 ぶーぶー言うリョーコかわいい。

 大体、アレってコツとかあんのかな……?


「リョーコさんもあんな風にいつも密着していたのね……。馴れ馴れしいわ……。グギギ」


 モエキが遠くから凝視しながら歯軋りするの勘弁して!

 同じ一年生のミキオ&サラクやカグヒメルはおろか、いい子なエガラさえも見ないフリしてる。

 関わりたくない気持ち分かるんだけどさ……。


「これで地底世界とやらは平和になったんだろし? さっさと地上へ帰るっしょ!」


 マイシはこんな所に用はないと言わんばかりに、踵を返そうとする。

 フクダリウスも「そうだな。学院生活は続いている」と頷く。

 すると王国兵が慌てて会議室のドアを開いてきた。バタン!


「大変です!! 今度は『水闘神(アクリアル)』の封印が解かれたみたいですッ!!!」


 オレたちは絶句するしかねぇ……。地闘神(アスラリオ)みてーなのが他にいんのかよ。

 ガックリ項垂れたぞ。

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