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366話「豹の闘士ニアンセラ!! 恐るべき回避力!!」

 オレは地闘神(アスラリオ)闘士(バトラー)でしか超再生は発動できないと()()した。

 ダイヤモンド部族兵は共通化されているものの、やられたら再生せず死骸として転がる。


「全部同じーってワケじゃなくて、あいつらボスだけが超再生の特権持ってる」

「やはり『超古代文明利器ナノマギア・オリジン』は独裁にちょうどいいわけね」


 ヤマミは目を細める。

 ……みんな同じスペックになる事で平等って概要だが、実際はボスだけが下の連中を共通化させて支配している。

 つまりボスの不死身や超再生の為に飼い慣らされているって事だ。

 それが何十万もの部族兵……。


「結局、実態はそんなもんだ」


 ここまで夢と同じなら、この先のバッドエンドもガチかもな……。

 ちょっと信じたくねぇ。




 部族兵を生け贄にして、嵐の闘士(バトラー)ストペストは無限に分身し続ける能力を持っている。

 ヴヴヴヴヴヴンと同じ容姿で並んでくるストペスト。


斬撃の烈光閃(レヴ・スラッシュ)ッ!!!」


 魔法少女リョーコが斜めに振り下ろして、鋭利な斬撃を放ってストペストを数体真っ二つに裂く。

 その分身されたやつだけは超再生はできず、部族兵のように死骸として転がるのみ。

 隊長のナッセが通信で「ヤツらは共通化しているけどボスだけは特権を持ってる」と情報を伝えてきた。


「つまり、本体は一体だけだお!!」

「でも、あんなたくさんの……どう探すって言うの!?」

「大丈夫だお! ネタが割れば、こっちのものだお!!」


 勇者ナッセは剣を引き、両目を瞑る。

 これは心の秘剣・天烈斬の極意。視覚に惑わされず、実態を心眼で把握する。

 案の定、複数の気配が光となって感知できてる。そして向こうに一つだけ大きな光が悪意を漏らしている。


「見えたおっ!! ナッセブロッシャ────ッ!!!」


 魔法少女リョーコが頑張ってストペストの波状攻撃を凌いでいる内に、勇者ナッセが駆け出して引いていた剣を思いっきり横薙ぎに振った。

 凄まじく大きな斬撃が津波のような物量で押し寄せて、分身体をことごとく粉砕し、本体へ目指す。


「なにっ!? まさか……ッ??」


 本体のストペストは見開いて、そのまま閃光に呑まれる。ドッ!!

 そのまま向こうにまで飛んでいって破壊を撒き散らしていった。


 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ……!!


 すると分身体はピタッと動きを止め、糸が切れた人形のように横たわっていった。


「ついにやったお────ッ!!!!」

「やったわねー! すっごーい!!」


 剣を振りあげて喜ぶ勇者ナッセに魔法少女リョーコが抱きついた。プニッと大きな胸が張り付く。


「む、胸が当たってるお!!」

「当ててんのよー!!」

「うおおお!! リョーコ大好きだおおおおお!!!」


 なんか恥ずかしいくらいハートの嵐を振りまいてイチャイチャする二人に、ヤマミは不機嫌そうになる。

 オレとしてはドギマギするしかないぞ。

 浮気したわけじゃないのに、しているような背徳感ががが……。




 豹の闘士(バトラー)ニアンセラは軽やかに動き回り、ベニマルとジュビカを翻弄していた。

 さすがはネコ科豹の獣人である。


「ふふっ、当たらぬものは当たらないから!」

「くっそー!! 当たれー!! 業火拳(ごーかこぶし)乱打(らんだ)ッ!!」


 火炎を纏った両拳でシャドーボクシングする事で、火炎放射を連射したのだ。

 メチャクチャに飛び交う火炎放射も、ニアンセラは軽々と身を翻してかわしていく。


「ジュビカもいきます!! ウォーターカッター・乱舞ですっ!!」


 真似するように水の刃を連射して弾幕を増やしていくが、ニアンセラは柔軟な体で狭い隙間すら抜けるほど回避していく。

 その秘密はニアンセラの動体視力にある。

 彼女にとっては嵐のような猛攻さえ、スローモーションのように見えるのだ。

 それに加えて柔軟な体で狭い隙間を抜けるので、回避に徹すれば完全無欠だ。


「そして! マッハロンド!!」


 流れるように踊り、ベニマルとジュビカに無数の乱打を浴びせた。


「うわああッ!!」「きゃあッ!!」


 ニアンセラは身体能力が他より優れている為、超高速の攻撃を驚異的な瞬発力で繰り返す事ができる。

 つまり全力疾走しながら全力攻撃を出せるっぽい。


「ほらほらほらほらあーッ!! どうしたのー!!」


 無数の乱打を浴びせまくって、ベニマルとジュビカも苦悶に踊り続けるしかない。

 攻撃力は高くないが、これだけ弾幕を浴びせればダメージは蓄積していく。

 一〇〇メートルを全力疾走するレベルをフルマラソンでやれるくらいの永続瞬発力、普通はありえない。

 例え体力が無限だろうと筋肉の疲労はどうしようもない。



 だが、オレはその理屈を知っている。


「コイツも似たようなもんだ」

「ナッセ?」

「あの敵兵を見ろ。不自然に痩せていくぞ」


 ダイヤモンド部族兵がシュワシュワと痩せ細ってミイラになっていく。

 一人一人、とミイラになって転がっていく。

 その様子こそが能力発動の条件だ。


「でも、さっきのと違って本体は一つよ。あんな風に部族兵のエネルギーを吸い尽くして永遠の瞬発力が繰り返される限り、絶対的な回避能力は破れないわ」

「しかも、当たっても超再生するんだろ? 普通ならどうしようもねぇ。()()なら……」

「ナッセ?」


 卓越した回避能力と超再生、普通なら倒しようがない。

 だが、どうやって倒したかはオレは知ってる。




 ベニマルとジュビカに乱打がガガガガッと決まって、優越感に浸るニアンセラ。

 ワンサイドゲームを楽しんでるかのようだ。


「ほらほらほらほらああーっ!!」

「そろそろです……!」


 ジュビカは笑んでいく。

 動きが重くなっていくのをニアンセラは違和感を持った。

 なんと体が太ってきているではないか!? でぶーん!


「な、なんですって!!? スレンダーが自慢のこの私の体がああっ!! げぷっ!」


 見る見る内に腹が膨れて、重くなっていくぞ。


「ふっふっふ! 実は霧状に分布した私の油を飲ませたのです。知らず知らずアナタは体内に油を蓄えてしまってたのです。どう? 同じように動けますか?」

「うぐうッ!! ひ、ひどい!! こんなの胃もたれするじゃないのっ!? げぷっ」


 腹の中に大量の油がドプンドプン揺れてて、思ったように動けなくなっていて絶句するしかない。

 ベニマルは「へへ! さすがはジュビカだぜ!」と親指を立てた拳を掲げていた。

 ニアンセラは絶句したまま見上げた。太陽のように膨れ上がった火炎球が浮いていたからだ。


炎帝降臨(えんてーこーりん)ッ!!」


 掲げていた親指を立てた拳を思いっきり逆向きに振り下ろした。ごーとうへる!

 すると巨大な火炎球が轟々燃え盛りながら、動きが鈍ったニアンセラへ急降下した。

 ドプドプ大量の油を抱えては回避できようがない。


「やっ、やめえええッ……!! げぷっ」


 ズゴオオオオオオオオオオオオオンッ!!!!


 獰猛に燃え盛る灼熱の火柱が高々と昇っていった。

 さすがのニアンセラは「うぎゃああああああああ!!!」と燃やし尽くされてしまう。

 腹に溜め込まれた油も手伝って跡形もなく……。


「さすがは巨乳の俺嫁だあああああーっ!!」

「そんな、嬉しいですわ!! ベニマル様!!」ポッ!


 ベニマルがジュビカの巨乳に顔を埋めるように抱きついた。ぱふぱふーん!




 ヤマミは細目で振り向いて「大きいのがいいの?」とドスを利かせて聞いてきたぞ。

 なんか目が据わっていて怖いんですが……。


「オレはヤマミが好きだから、別にいいんじゃねぇか?」

「答えになってないけど、まぁいいわ……」


 気にしているかもしれないぞ……。

 これも夢まんま。もはや疑いようがない。なんで予知夢になってるかしらねーけど、同じままだとヤバいな。

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