364話「獣の闘士ビスラス!! 恐るべき増強!!」
天の闘士デスカイを、ヒンケールとラーシルトが撃退したぞ。
しかし『超古代文明利器ナノマギア・オリジン』は恐るべきもので、さっきのように木っ端微塵に吹き飛ばさなければ、たちまち元通りになってしまうぞ。
だからこそ長らく封印せざるを得なかったらしい……。
ただ地闘神グランドルフだけは、ガチで封印するしか方法がないからなんだよな。
ウギンを前に、マンモスの被り物をした獣の闘士ビスラスが巨体を揺らしている。
ズンと太い足を踏み鳴らして不敵に笑む。
「うほおおお……。きさまも大きいらしいが、ワレから見れば小物よ」
「ケッ! ウドの大木が人語を理解してんじゃねーぜ」
逆にウギンは悪辣に笑んで減らず口で返す。
「そのウドの大木とやらにひねり潰されるかッ?」
ウギンより巨躯で四メートルの上に小太りしている腹、そして体重は三〇〇キロを超えるヘビー級!
それが素早く駆け出し、太く巨大な拳を繰り出してウギンのほおを殴る。
「……さすがに痛かったぜ」
なんとビスラスの拳を頬につけたまま、ウギンは踏ん張っていた。
そんな頑丈さにビスラスも見開く。
「こっちの番だぜっ!!」
凄まじいオーラを噴き上げながら、お返しとばかりにストレートパンチをビスラスの顔に炸裂させる。
ベキボキ、ダイヤモンドで覆ってるはずなのに破砕し、吹っ飛んでしまう。
ダイヤモンド部族兵を数十体巻き込んでズガアアアンッと向こうで土砂を巻き上げた。
「俺様の夢は、この拳一つで滅亡兵器クラスの破壊力を出せるようになる事だあ!!」
敵が超再生する事を聞いてるので、オーラの尾を引きながら猛スピードで追い打ちをかけんと迫る。
煙幕が流れるクレーターでビスラスがビキビキと再生して立ち上がる。
ウギンは容赦なくオーラを込めた拳のラッシュを繰り出す。
「おらあああッ!!! ビッグバン・インラッシュゥゥゥッ!!!」
機関銃以上の速度で、戦車の主砲以上の威力のオーラパンチがビスラスを滅多打ちにしていく。
巨体のビスラスなど大きな的でしかない。
そのまま全部削りきらんとラッシュパンチが轟音を唸らせながら穿ち続ける。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!
「きさまァッ!! いい気になるなあああッ!!!」
なんとビスラスの前蹴りでウギンを仰け反らせた。
その間に超再生を済ませ、マンモスの二本の牙をピーンと伸ばし突き出して突進した。
「今度はこのマンモスパワーをたっぷり味わえええッ!!! マンモス・ツインファングッ!!!」
巨体ながら猛スピードで突進し、ウギンの胸板を二本の牙で突き刺して血飛沫が舞う。
しかしウギンも頑丈で貫通されず、逆に左右の手で二本の牙をバキンとへし折った。
「乳首に刺さったらどうすんだ!? てめー!!」
「ヌッ!?」
「おらぁッ!! ビッグバン・インパンチッ!!」
渾身のオーラを纏ったワンパンを繰り出し、ビスラスの腹に炸裂して轟音を鳴らして爆裂!!
「がはあッ!!!」
吹っ飛んでいくビスラスを追いかけるウギンは飛び上がってドロップキックを放つ。
「喰らいやがれッ!! ビッグバン・ミサ──イルッ!!!」
ドッガアアアアンッッ!!!
炸裂して爆破が広がって、ビスラスは肉片を散らしていく。
しかし瞬時にビタビタとくっついて元通りになってしまい、ウギンは舌打ちする。
「なら、ビッグバン・アタック!!!」
肩を突き出してそのまま超高速体当たりをぶちかます。
しかし今度はビスラスが更に巨大化して、それを真っ向から受け止めた。
ドズオオオンッ!!!
大地を広く陥没させ、岩盤が捲れ上がって粉塵が巻き上がる。
「なに!?」
「うほおお。このパワー大したものだが……、それだけであろう?」
ニヤリと笑むビスラス。
ウギンも汗を垂らすほど、七メートル級の巨躯に身を仰け反らす。
それだけではなく下半身がマンモスに変化していた。ドッシリとした胴体に四本の足。
「ウメェーウメェー!!」
「なっ!?」
なんとビスラスは手当たり次第ダイヤモンド部族兵を捕まえてはバリボリ食って、更に体が大きくなっていく。
「超古代文明利器ナノマギア・オリジンを使ったワレの特殊能力だああ……! 同じナノマギア・オリジンを持つ下僕を生け贄に捧げる事で大きく強くなれるのだああ……!」
ズオオオッ!!
ビスラスのオーラも以前よりも勢いを増して噴き上がってくる。
大地を揺らしビリビリと強烈な威圧が響いてきて、ウギンは苦い顔をした。
「こうなったら(気分的に)一二〇%でぶっ潰すしかねぇなッ!!」
ウギンはズオッとオーラを噴き上げて、駆け出す。
ビスラスも拳の弾幕を張る。それに対してウギンも同様にラッシュを繰り出す。
「マンモス・デストラクションブレッド!!」
「ビッグバン・インラッシュッ!!!」
ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!
震憾し、余波が吹き荒れ、大地が砕けるほどに互いの拳が何百発も衝突を繰り返していく。
しばらく応酬が続き、周囲に衝撃波が吹き荒れていってダイヤモンド部族兵を巻き込んで粉砕していった。
それでもウギンは「うおおおおおおッ!!!」とパンチで連打を繰り出す。
「フッ! ならこれはどうかな?」
なんと後方の尻がグワッとマンモスの顔に変化して、長い鼻がダイヤモンド部族兵を捕まえて尻穴に取り入れられてしまう。ウメェーウメェー!
すると上半身の脇腹からメキメキと二本の腕が生えてきて四本に!?
「更に増したパンチの弾幕を受けきれるかな!?」
四本の腕から繰り出される怒涛のラッシュに、ウギンは「ぐッ!」と押され気味になっていく。
手数を増やされて、迎撃し損なった一撃一撃がウギンの体をあちこち打つ。
重くのしかかる一発一発にウギンは「ガハッ!!」と吐血。
「トドメだ!! 食らえいッ!! マンモス・カタストロフボンバアアッ!!!」
大きくグワッ口が裂けるほど開かれて、膨大な光線を放つ。
極太光線がウギンを飲み込み、ダイヤモンド部族兵をも巻き込み、そのまま一直線とプラネンタ王国へ目指していく。
「ここで無効化を……!」
「ナッセ、待つのだッ!!!」
オレは差し出す掌を敢えて止めた。
なんとギョヌが飛び出して、両目を覆ったバンダナを剥ぎ取る。
赤く輝く目でギンと凝らす。
すると光線がプラネンタ王国を前に上昇していって逆にグルンと戻っていく。
ギョヌは「ウギギギ」と顔を顰め、両目から血の涙が頬をツーと伝う。
その先にはビスラス。
光線が戻ってきたのを避けようとしても、ビスラスは自身が動けない。金縛りにあったかのようだ。
しかも覆っていたダイヤモンドが剥がれて霧散していき、マンモスの化け物みたいな形状が人型へとシュワシュワ元に戻ってしまった。
「な、なにいッ!? まッ、待てぇッ!」
ドグワアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!
天地がひっくり返りそうな震撼と轟音とともに、大爆発が広範囲に膨れ上がった。
数百人ものダイヤモンド部族兵もろとも粉々に吹き飛んでいく。
「ばかもの! 滅多に使うなと言っておるじゃろうがっ!!」
ミズミール女王は焦りながら怒鳴る。
ギョヌは「すみません……」と膝をつく。
「ナッセ殿は……最後まで温存しておれ……。きっと必ず切り札になると思っておる。故に魔眼『赫羅眼』を使ったのだ……」
「やはり使ったかぞ」
「初めて聞く魔眼ね……。一体どんな能力なの?」
ギョヌの赤い両目がこちらを見てくる……。だらだら血涙が流れてるぞ。
そしてギョヌがこれから言うはずのセリフを、オレが逆に言い始めた。
「ナノマギアによって造り出された人工魔眼。相手のナノマギアとそれによって発生する事象をほんの少しの間だけ自在に操れる。リスクがデカいから普段はバンダナで両目を塞いで使用を控えていたぞ」
「……え? な、なぜ……お主がそれを知って!!?」
「ナッセ??」
ギョヌは呆然とした。ヤマミも驚いてか見開く。
敵のナノマギアを操作する人工魔眼。
それは『超古代文明利器ナノマギア・オリジン』さえ関係なく、同じナノマギアなら例外なく操れる。
それで放たれた光線を曲げて、更にビスラスのナノマギアを無力化させて自滅させた。
これも夢で見た通りだ。
「今ので……かなり消耗した……。後の事は頼む…………って感じか」
これも夢ではギョヌ自身が言うセリフだ。
本質を見抜かれた挙句、セリフを先に言われて、ギョヌは汗ダラダラで口をパクパクしてしまう。




