362話「激戦中! そして敵幹部『闘士』現る!?」
ジャキガン学院の生徒たちが、それぞれ個性的な創作を繰り出してダイヤモンド部族兵を迎撃できていた。
「今のところは第一陣で優勢かな……?」
「そうね。でも油断はできない」
「ああ」
オレを隊長として、参謀のヤマミと一緒にプラネンタ王宮の上で、戦況を見渡していた。
何十万もの敵勢力がダイヤモンドを纏ってなだれ込んできている。
今のところ、王国を囲むマジンガの操作する「三日月の幾千刃」が巨大な竜巻のように周回し続けて、飛んでくるダイヤモンド部族兵をことごとく迎撃できてるぞ。
「マジンガさん、どれくらい持つ?」
「……数時間ほどは心配いらん!」
王宮の前に立ちはだかるようにマジンガは腕を組んで仁王立ちしている。
ウギンは漲るオーラを纏いながら、豪快に暴れまわってダイヤモンド部族兵を粉砕していた。
ジャオウは両手を交互に突き出して、何十頭もの黒龍を放って蹂躙している。
勇者ナッセと魔法少女リョーコが見事なコンビネーションでお互いの欠点を補いながら、最適な攻撃で敵勢を寄せ付けない。
カイガンは両手の魔眼ビームをバカの一つ覚えみたいに連射し続けている。
ジャキガン生徒だけではなく、プラネンタ王国兵も頑張って城壁の大砲をドカンドカン発砲して遠くのダイヤモンド部族兵を爆破し続けている。
大勢の王国兵が「うわおおおおおおッ!!!」と立ち向かうが、押され気味だ。
ダイヤモンド部族兵の強さは王国兵にとっては太刀打ちできない。
「うわあああ!!」
「ぎゃああ!!」
「ぎえッ!!」
「うおおおおおお!!!」
「ぐぎゃあーッ!!」
次々と死骸が転がっていく。
そんなドロドロした戦況にオレは顔を歪ませている。
「……戦争って見てていいものじゃないなぞ」
「そうね」
昨夜、マジンガが言っていた通りだ。
本当に戦争って死人が出る。それも大勢……。血なまぐさくて吐き気がする。
シミレーションゲームをやってるのとはワケが違う。
「とはいえ、ジャキガン生徒だけで大勢のダイヤモンド部族兵を抑えられるわけないから、王国兵の物量に助けられている感じだ」
「ええ……」
こちらは一騎当千の実力を誇っているものの、せいぜい五〇にも満たない人数。
それをカバーするように王国兵数十万人で支えてくれる。
ただし、大勢の犠牲者はやむを得ない。
「オレさ……」
「うん」
「多くの人を戦わせておいて、上の人はノンビリ観戦しててズルい思っていたんだ……」
戦争の経験がなかった頃は、隊長クラスは指揮をするだけで楽そうだなと思ってた。
割を食うのは兵として戦う大勢の国民。
死と隣り合わせとなる恐怖の戦いを強制させといてズルいと嫌悪してた。
「でも違った……」
「というと?」
「指揮している人は、こんな見たくもない血みどろの戦いに見も知らぬ人間に犠牲を強いて苦しんでるんじゃないかって今更気づいた」
マジンガが言ったように、隊長とは多くの兵の命を背負って指揮する者。
みすみす死なせる為に戦わせてると錯覚さえするだろう。誰だって死にたくない、それをムリヤリ戦うように命令しているワケだからな。
もちろん自分を責めたくなるのもムリがない。
「やりたくねぇ……」
「気持ちは分かるわ。だからこそ、私も隣に立って一緒に背負う」
本当に投げ出してしまいたい、そう自責の念が大きくなってくる。
しかし、それでもグッと堪えて戦況を見極める姿勢のままでいれられるのはヤマミのおかげとも言える。
「ありがとな……。付き合ってもらうぞ」
「喜んで」
ヤマミは振り返って笑んでみせる。
それだけで冷えそうになる心に温かいものが差してくる。
グッと拳に握る。
……オレは隊長だ!! 最後までみんなが生き残れるよう踏ん張ってみせるぞ!!
戦いの行方を不敵な笑みで眺めていた地闘神グランドルフはスッと腕を上げた。
「さて、そろそろだ!! 我らがともに蘇った『闘士』よ!!」
それに応じて、五人のシルエットがザッと姿を現した。
こいつらも四万年前に地闘神グランドルフと同じく封印されていた同志。
「お呼びですかい!」
「うほう、もう出番かーい!」
「ここまで手こずるようですし、プラネンタ王国もやるわね」
「ヒャッハッハッハ! いいんじゃねーか! 暴れられるからよォー!」
「ってかさぁ、そんな手こずってるの? 土人ども情けなく思わんのかね? まぁ我々のナノマギア・オリジンに支配されてる人形だし、余計な事考えないから気が楽だと思うけどさー。ちっと頑張れよ」
地闘神グランドルフはニッと笑う。
「天の闘士デスカイ、獣の闘士ビスラス、豹の闘士ニアンセラ、嵐の闘士ストペスト、鎮の闘士ガラミウザ!! 切り崩せ!!」
鳥を模したカブトに冷静沈着な口元が覗く、白マントの男がデスカイ。
マンモスの毛皮を纏う大柄で荒々しいビスラス。
艶かしい豹の獣人らしきニアンセラ。
下半身が竜巻の半裸男は頭蓋骨を被っている不敵な男がストペスト。
黒いポンチョに黒髪トンガっている目つきの悪い陰険なガラミウザ。
「任すかい!」
「うほほおおおお!! 待ってたぜええ!!」
「フフ……狩りの時間ね」
「ヒャッハー!! 俺様だけでもいいんだがなァー!!」
「ってかさぁ、もう出番なの? 早くない? こちとらダルいし、土人どもの圧倒的人海戦術で押し潰していいんじゃないの? ってかさぁ、今は四万年後の世界なんだよね? 復活して早々強敵揃いの国に当たるとかクソ面倒じゃないか。キッチリいたぶらないと溜飲下がらんわ。ホントに」
彼らもビキビキッとダイヤモンドへと身を変えて、俊敏に駆け出すとともにオーラを纏っていって四方に散った。
強いと思わしき相手を見つけると、それぞれ降り立っていった。
ヒンケールとラーシルトには天の闘士デスカイ。
ウギンには獣の闘士ビスラス。
勇者ナッセと魔法少女リョーコには嵐の闘士ストペスト。
ベニマルとジュビカには豹の闘士ニアンセラ。
ジャオウには鎮の闘士ガラミウザ。
「「「「さぁ、血祭り楽しもうぜ!!!」」」」
「で、出やがったぞ!! マジで!!」
オレはゾワッとした。
地闘神グランドルフには闘士が五人いる。それが本当だった。
見た夢通りに出てきて、オレは息を呑み戦慄を覚えていく。
「ナッセ? どうしたの?」
「と……とりあえず、この戦況次第かな?」
「もし不利なようなら第二陣を投入する??」
オレは「うう……」と額に手を当てて苦悩しながら唸ってしまう。
「なんかさっきから様子がおかしいわよ?」
「予想通りとして、問題なく打ち破れる。最初の闘士でヒンケールとラーシルトがどう勝つかが目安だなぞ」
「どう勝つか? 絶対勝てるって事?」
「……ああ」
ヤマミもこちらへ不審がる。
オレとしてはもう一度体験している感覚がしてて背筋が凍る。
「絶対に……」
「ナッセ……?」
その先の結末を脳裏に蘇らし、緊迫感を強めた。
もし、闘士との戦いの結果もそのまま夢と同じなら、ジャキガン生徒は地闘神に皆殺しされる。
ヤマミだってオレが殺されないよう、みんなを見捨てでも一緒に逃げるだろう。
そして生き延びたオレは深い後悔を苛まされ、心に大きな傷を負う。
カッと鋭い眼光を見せて気張る。
「あんなバッドエンドにさせねぇぞッ!! オレが隊長である限りッ!!!」




