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359話「隊長の心得? マジンガからのアドバイス!」

 大勢の部族を率いる地闘神(アスラリオ)がプラネンタ王国へたどり着く前日……。


 二日間、オレとヤマミはジャキガン学院の生徒たちと一緒にプラネンタ王国の王宮に滞在していた。

 大阪へ招集して集まってきた()()も間に合って、ここにいる。

 とはいえ、いつ部族勢力が攻めて来るか分からないので緊張するぞ。


「……とりあえず今日はここまでだぞ。お疲れ様。ゆっくり休んで鋭気を養ってくれ。おやすみ」

「「「おやすみなさい!!」」」


 会議室でみんなとミーティングを終え、解散した。

 この頃は午後九時を過ぎていた。


「待て!」


 ヤマミと一緒に寝室へ行こうとするところを、マジンガが呼び止めてきた。


「マジンガさん……?」

「指揮を取る立場としてアドバイスしておこうと思ってな……」


 マジンガはフッと笑う。

 オレも正直、リーダーを務めるなど不慣れだ。人を率いるなんてのは苦手。

 だから経験者のアドバイスはすっげー助かるぞ。


「……今回は仮想対戦(バーチャルサバイバル)のようなチーム戦ではない。大勢と大勢でせめぎ合う戦争だ。死人も出よう」


 オレは息を呑む。

 戦争は経験していないワケじゃない。人造人間大侵攻や世界大戦、そしてインド。

 ただし、それらは自分が率いる立場で戦っていない。


「いかなる事があっても自分を責めるな! 覚悟を持って戦いに臨む人がほとんど。戦争とは生死の境あってのもの。死人が出ぬ戦争など有り得ない。だから負け戦になろうとも自分を責めるな!」


 オレの性格を知っての事か、マジンガは念を入れてくる。

 リーダーとして率いる以上、兵の命を預かる立場。自分の指揮がミスって死人を出したら責任が重い。

 そりゃ自分を責めるだろう。


「肝心なのは『次はどうするか?』を考える事だ。ミスは誰にもで出る。だからこそ、その時その時に自分が出せる最善手を打ち続けるしかない。もちろん結果は誰にも分からないのを前提にな」

「最善手を打ち続ける……」

「そうだ。どんな事があろうとも冷静に状況を見極めて最良の判断を下すのだ」


 マジンガはガッツポーズのように拳に握る。


「戦争に決着がつくまで、自分は預かった命と共に生き残るべき道を探し続けるのだ! 決して最後まで諦めるな!」

「あ……ああ……」

「私がいるわ。一緒に茨の道を歩む覚悟はできている」

「ありがとな」


 ヤマミが寄り添ってくれて、強張った気持ちがほぐれる。


「それと、隊長(じぶん)がやられた時も想定する。次に指揮を執る人を常に用意しておかないとな。とりあえずワシが次を引き継ぐ事にしておく。今後、同じような状況になった場合は自分で決めておけ」

「わ、分かった……」

「それからもう一つ、今回は前線に出るな。隊長としてはもちろん、自分の力を温存しろ。そして敵がどんな勢力か、ボスが誰か見極めろ」

「敵のボス……!」

地闘神(アスラリオ)グランドルフと、ミズミール女王はおっしゃったがな……どんなヤツか現時点では分かるまい。故にヤツのベールを剥ぎ取ってから戦った方がいい」


 息を呑む。何度呑んだか分からんが緊張しっぱなしだ。


「とりあえず、敵の隊長がどこにいるかを把握して戦ってみてレベルを測るのね?」

「ウム、それならばワシかジャオウを当て馬にしてヤツの戦闘力を見極める方が最良だろう」

「当て馬って……」


 オレは肩を落としそうになる。


「おまえの事だ。自分で引き受けて我先に戦おうとするのだろう? 敵がどんな力を持とうが、それを乗り越えて叩き伏せればいい……とかな」

「うっ!」

「何度も言うが、これは試合じゃない。戦争だ」


 念入りに言ってくるから、それだけ世話を焼いているかが分かる。

 マジンガという男は豪快な言動にかかわらず、他の人を気遣ってやれる優しさがあった。


「当て馬……構わん! オレはウズウズしているくらいだからな……」


 なんとジャオウが不敵の笑みで歩んでくる。

 某漫画の飛〇みたいな厨二満載のキャラだが、マイシと互角を張れるくらいの猛者だ。


「貴様が先に敵のボスを倒してしまっては興醒めだ。もしボスを見かけたらオレに指示しろ。ヤツはオレがやる!」


 ジャオウの全身から途切れ途切れに黒炎が漂う。ブワアッ!

 アレだ、邪王炎殺黒〇波を吸収した姿みたいな感じ……。それだけ昂ってるって事か。


「……分かった。マジンガの能力は対集団……。ジャオウの方がタイマンなどに強いから、もしヤツの位置を特定したら任せる」

「フッ、そうこなくてはな……。この右手が疼くぜ……」


 嬉しそうにジャオウが包帯を巻いている右手を上げて、ワキワキする。


「つーか地闘神(アスラリオ)グランドルフが四首領(ヨンドン)クラスじゃない事を祈りたい」

「全滅確定だものね……」

「フン」

「ウム、だから見極めが必要。犠牲にしてしまう事は気にするな。まずは敵の情報を知る。そして次を考えろ」


 インドでの四首領(ヨンドン)ダウートは単騎だけで大勢の猛者を蹴散らすほど強い。

 アクトの忠告を受けてオレとヤマミが初手で逃げを打たないと、確実に全滅していただろう。

 もし地闘神(アスラリオ)がそれ級だと判明したら……?


「いちいち怖気づくな! オレはそれでもいく! 構わず指示しろ!」

「……という事だ。抑えきれないと判断したらワシも投入しろ! 時間を稼ぐ事に尽力する!」


 もし殺される事になったとしても、彼らは喜んで挑むのだろう。

 申し訳ないが頼もしいと、心が震えてくる。


「分かった! その時は……頼むぞ!」

「応!」

「フン!」


 そうしてオレたちは二人と別れ、寝室で晩を明かした。




 翌日、プラネンタ王国の王宮の上でオレたちは向こうを見渡す。

 王国を囲むように、大勢の部族たちがひしめいていた。一体どれだけの人数だろう?

 ミズミール女王は苦い顔をしている。


「ナッセ、ヤツらはイナゴのように敵を貪り尽くして滅ぼすタイプのようだぞ」

「え? 分かるの?」


 マジンガが言い出してきて、振り向く。


「よく見ろ。ヤツらは旗を掲げていない。統率は取れているようだが、陣形を組んでいない。ただ物量で叩き潰そうとしている感じだ」

「た……確かに……」

「今は待機しているみたいだけどね」


 ヤマミは目を細める。

 オレは息を呑む。そして振り返る。


 マジンガ、ジャオウ、ヒンケール、ラーシルト、ウギン、勇者ナッセ&魔法少女リョーコ、新キャラのベニマル、ジュビカ、ナッツ、カイガンが神妙に並んでいた。

 その後方でジャキガン学院のモブ生徒三十五人。

 ……そして王宮に控えている大阪の()()もいる。


「自信ないかもしれないけど、隊長として最初に指示を下す」


 するとウギンが前に出てプルプル震える。


「まず俺様に「怖いのか?」と聞いてくれ」

「え? なんで??」


 某漫画の旅団シーンを再現したいのだろうけどさ……。

 オレは一息をつく。


「……怖いのか?」

「嬉しいんだよ……!! 命じてくれ団長! 今すぐ!!」

「オレが許す! 殺せ! ……あと小出しせず最初っから一〇〇%で」


 ウギンはギクッと竦む。


「な、なぜ俺様のクセを知ってんだ!? まだ初対面だろォ!?」

「チッ!」


 ジャオウがそっぽを向いて舌打ち。

 まぁ、そいつと体を入れ替えた時に知ったからなぁ。ウギンは一軍張れるほどの実力者だが、パーセント刻みで順番に小出しする悪癖がある。


「オレは団長だからな。一〇〇%で戦ってくれ」

「あー分かった分かった!」

「あと死ぬなよ……」


 ウギンは思わず見開く。本気で心配してくれてるのだと……。




「いええええええいッ!!! プラネンタ王国、殲滅いくかああッ!!!」

「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」」」


 地闘神(アスラリオ)グランドルフはノリノリで拳を突き上げて、部族が一斉に咆哮を上げた。

 そしてなだれ込むように大勢でプラネンタ王国へ押し寄せた。

 しかも最初っから全員ダイヤモンドでピキピキ覆って、オーラを漲らせてビュンビュン流星群のように襲いかかってくるぞ。


 マジンガはキッと見据えた。


「ナッセ隊長……頼むぞ!」


 オレは緊迫して息を飲み込み、キッと鋭く見据える。


「第一陣、行ってくれ!! みんなで虐殺を食い止めるんだッ!」

「「「おうッ!!!」」」


 オレは不慣れながらも掌を突き出し叫び、それに呼応してマジンガたちが一斉に飛び出した。

 初めて隊長として彼らの勇猛な背中を見届ける。

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