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355話「緊迫! プラネンタ女王との外交!」

 四万年前にネアンデル人が地底と火星に生活圏を分けて分岐したらしいぞ。

 そして地上をクロマ人が席巻して現在のようになったという。


「なので、お願いします! ぜひ無法部族から我らの国を守っていただきたいのです!」


 プラネンタ王国のミズミール女王が頭を下げてくる。

 後ろで控えるギョヌは黙り込んでいる。

 オレとヤマミは目配せする。意味もなくナッツはコクリと頷く。


「お人好しなら、特に理由もなく引き受けるんだろうけど……」

「生憎だけど私たちにその理由がないわ」


 するとミズミール女王は頭を下げたまま、不穏に冷たい目でじろりと上目遣いで見てくる。

 ゆっくりと頭を上げて仏頂面でオレたちをしばし見る。


「地上へ帰れなくていいかしら?」

「その脅しは二度と口にしないでくれ」

「帰る方法はどうにでもなるからね」


 ミズミール女王はピクッと眉をはねる。


「クロマ人に対して冷たい事も察している。妖精王とはいえ、元はクロマ人だからな。なんの見返りもなくこの国を(てい)良く守らせてから、始末……もしくは奴隷にする」

「例え帰らせたとしても、地底世界の覇権を握ったこの国が地上を攻めないとも限らない」

「ああ。無法部族の脅威が地上に押し寄せるのなら、地上で迎え撃てばいいわけだしな」

「って事で、なんの条件もないなら……」

「「断らせてもらいます!!」」


 オレとヤマミは息が合うように頭を下げた。

 ギョヌもミズミール女王も、まさか断られるとは思わず顔を赤くしていく。

 蚊帳の外のナッツは「え? え? ええ??」と慌てふためいている。険悪な雰囲気なのは確かだ。


「では、日本の通貨をそちらの言い値で報酬として払う。それでよいか?」

「「それが条件なら、答えは変わりません!」」

「む……!」


 オレとヤマミは再び頭を下げて断る。

 さすがにミズミール女王に焦りが出てきて、頬に汗が伝う。


「ならば、何が報酬を希望か!?」

「……まず前提を言わせてもらう」

「ええ。私たちは何も知らずギョヌさんに緊急と連れられてここまで来たわ」

「で、急に無法部族が襲って来るのでこの国を守れ、それを頼まれた。最初はなんの報酬も用意してなかったようだしな」

「そう、今度は日本の通貨を払う。それでは虫が良すぎると思うわ」


 ミズミール女王はグッと唇を噛む。

 オレはぶてぶてしい態度で呆れてみせる。


「いつか裏切られるともしれん口約束だけで引き受けられるのかよ?」

「ホント、そうね」


 ヤマミも目を細めて腕を組む。


 ……もしミズミール女王が単に傲慢でイヤなやつなら「曲者が!! ひっとらえい!!」と言い出してくるはずだ。

 そうなったらオレたちはこいつらを跳ね除けて国を出る。

 プレートスライド理論の存在を知ってるわけだし、他の知ってる奴から方法を聞くなりして自力で転移方法を組み立てて帰還する。

 時間はかかるだろうが、できない事はない。たぶん。


「ふう……、分かりました。確かに鋭い洞察力を持つと見受けました。先ほどのご無礼をお許し下さい」


 ミズミール女王は観念してか、頭を下げてくれた。

 ギョヌも一息を付いて首を振る。ホッとした感じ?

 さっきまで不穏な雰囲気が出ていたが、なくなったような気がした。


「他の国ならば、クロマ人への偏見は酷かったかもしれません。ですが我ら国のように穏健派もございます。クロマ人が地上を席巻してるからと良い顔はできないかもしれぬが、これでも地底世界は気に入っておるものでな……」


 背もたれに上半身を預けて気を軽くするミズミール女王。


「帰りたいならば言え。無条件で帰らしてやろう。地上の英雄とはいえ、無関係な人を巻き込むわけにはいきますまい」

「誠にすまんけど……、無法部族の規模は相当なものと見受ける。オレたち二人でなんとかなるとは思えない」

「ええッぞ!? オレは数に入れてないかぞ!?」

「ナッツは黙ってて」


 戦力外にされてナッツが声を出すが、ヤマミは冷めた目で窘めた。

 オレは両手を組む。


「地上の人たちと協力した方が楽に戦えると思う。少なくともオレたちの仲間なら、頼れる戦力だぞ」

「確実に退けるなら、その方がいいわ。許可してもらえるならね……」


 本来なら、オレたち二人をけしかけて無法部族を無双させようと思ったんだろう。

 まだクロマ人にいい顔できん言ってたからな。

 今回は試合でもなんでもねぇ。物量で攻める戦争だ。なので妥協はできない。


「ま、まぁ……あなたほどの英雄がそう言うなら……」

「丸め込まれましたな」


 観念したミズミール女王に、ギョヌも苦笑するしかない。

 それが人造人間大侵攻や世界大戦をくぐり抜けた英雄たらしめるものだろうと察した。

 そして単なるお人好しではない。ましてや損得勘定で動く薄っぺらな人柄でもない。

 ギョヌは「すまない。そしてありがとう」と頭を下げて言ってくれた。


「さて、人選としては……」

「うん」


 ヤマミは頷く。

 大阪から学院の人を呼び寄せるのは時間かかるだろう。

 ……なので、まずは近くの東京にいる猛者を引っ張ったほうが早い。




 その翌日、ギョヌと一緒に一旦は地上へ舞い戻った。そしてナッツに案内してもらってジャキガン学院を前にオレたちは足を歩めた。

 連覇優勝校ならば、確実な戦力となるだろう。

 しかも四年制なのでマジンガたちも、まだ在籍してるはず……。


「初めて学院へ赴くが……、確かにただならぬ雰囲気は感じるな」


 ギョヌは緊張しているみたいだ。

 オレはヤマミと目配せする。だってアポも取らず訪問するんだもん。緊張もするわ。

 にべもなく断られても仕方ない。


「行くぞ!!」

「ええ!!」


 ザッと歩みだした。

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