350話「聖愛戦争① おぞましき願望器現る!」
『Fight Star Knight』(ファイト/スターナイト)
フクダリウスの家で、邪険モリッカは真剣な顔で卓上テーブルを挟んでフクダリウスに告げた。
「聖愛自体は、この並行世界にも実在するはずだ」
「しかし、そんなもの聞いた事もないぞ? クスモさんが言っただろう?」
「確かに今はな……」
「今?」
フクダリウスjr七人(五ヶ月)がオーラをまとって家の中をバタバタ遊びまくっていて、姉としてリササもてんてこ舞いだ。
妻のミカコもフフッと微笑ましく見ながら家事をしていた。
実はこの家は特殊な建築法を使っているので、彼らが暴れてもあまり破損しないのだ。
邪険モリッカは青ざめて震えている。
「さすがは木星の衛星タイタンに住むタイタン族だ……。まさか地球に移住していたとはな」
「おお! 懐かしい故郷ではないか! 小さい頃に地球へ移住したものだ」
マジでフクダリウスが宇宙人だった。……閑話休題。
「ともかく聖愛はいずれ現れる。せいぜい楽しみにしている事だな。くっくっく」
邪険に笑うモリッカの背中にフクダリウスjrがドーンと体当りしてきた。
じゃれてきてるだけだが、邪険モリッカには「ぐふっ!」と吹くダメージだ。
フクダリウスは険しい顔で杞憂する。聖愛にね……。
ロンドンにあるという『時計塔』はかなり巨大で、都市を見下ろすかのように聳えている。
今も大きな時計が秒を刻んでいる。チッチッチ……。
その内部は魔力が循環し流れていた。
「いよいよだ……」
黒いローブを着た怪しげな魔道士が囲んでいて、床には赤く輝く魔法陣が灯っていた。
ズズズズ……、膨大な魔法力が込められていて時計塔を媒介にして、絶大な魔法陣が効力を発揮しようとしている。
その凄まじい鳴動で地響きが広がっていく。ズズズ……!
「奇跡Bランクとされているが『聖愛』自体は奇跡Aランクにも匹敵する」
「ああ……数百年単位で出現する奇跡だからな」
「それを、この時計塔に溜め込んだ魔法力によってムリヤリ召喚するのだ」
「誓約と制約により、聖愛が願いを叶えてくれるには、七つの聖愛の欠片を集めなければならない」
「そして、その欠片は選ばれし七人に渡る」
「それの奪い合いになり、殺し合いにも発展しうる」
息を飲んだ黒魔道士は、これから来るべき聖愛戦争に緊張を持っていた。
鳴動が大きくなり、魔法陣が輝きを増していくぞ。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
日本にも軽微な地響きが及んでいた。ズズ……!
ヤマミのマンション一室に魔法陣が発生していて、中心にナッセと酷似した褐色長身男が立っていた。
どことなく殺伐としていて目が鋭い。
「お嬢様とやらは留守なのか……? 召喚しておいて(してない)いい加減だな」ハァ……。
ドカッとソファーにふてぶてしい感じで腰掛けた。
そのヤマミは真剣な顔でオレの部屋の卓上テーブルに本を広げた。
オレは汗を垂らす。
「気になって調べたの。夕夏家の図書館にも『聖愛』関連の本があった」
「マジであるのかよ……」
「ええ」
ヤマミが言うに、昔っから『聖愛戦争』が度々行われていて、高名な魔道士が接合する事で『聖騎手』を従わせて戦わせていたらしい。
ナッセはそれを聞いて引きつる。
「私も「なんじゃそりゃ」と思ってたわ……」
「えっと、七つの欠片を集めれば願いが叶うんだって?」
「ええ。本の記述通りだとすれば、聖愛が完成されると光を放って聖龍が飛び出てきて、なんでも一つ願いを叶えてくれるって」
「ドラ〇ンボールかよ!!」
ヤマミもジト目で呆れて「私も思った」と同意してきた。
玄関のドア前に鎧着た金髪美女剣士がスゥ────とスタンバイしてきたぞ。
「えーっと「問おう。貴方は私のマスターか?」……から始めて……」コホン!
そうと知らずオレはヤマミの話を聞いていた。
「でもここからよ。願いを叶えるといってもインドの如来王『幸運神』のようにゼロから新しく生み出せる類ではないの」
「どういうことだってばよ?」
「現在あるもので埋め合わせする形で願いを叶えるの」
「それって……!?」
ヤマミはコクっと頷く。
もし金持ちになりたいという願いなら、他の金を集める因果が組まれる形で叶う。
誰かを生き返らすのであれば、代わりに生きている人の誰かが死んだ事になって対象を生き返らす形で叶う。
誰よりも強くなりたい願いなら、寿命を縮める事で才能を伸ばしてひと時の最強になれる。
「いずれにしても自分か誰かが不幸になる形で叶うから、ある意味呪いと同じ」
「エゲつねぇな……」
「それでも自分の願いが叶うんだから、それを欲しがる欲深い輩はなんとしても集めるってワケね」
ヤマミはテーブルの本を閉じた。
微かな地響きは今も続いているので、ちょっと不安に感じる。
「なぁ、ヤマミ……。さっきから魔法力の波動感じねぇ?」
「気のせいじゃないわ。確かにどっか遠くに凄まじい魔法力が溢れ出しているかもしれない」
「大魔王級だぞ、これ」
「ええ……」
かつて大魔王ヤミザキを思い出す。
加速度的に魔法力を増幅していく、絶対に勝てない災厄。
それに近いレベルの膨大な魔法力なのだという。一体何十年溜めれば、ここまでなるのか想像つかない。
例の金髪美女剣士はドキドキしている。マスターと繋がって共に戦えると……。
ロンドンの時計塔は膨大な魔法力が充満し、凄まじい鳴動を放っていた。
四方八方に稲妻が迸り、地響きが大きくなっていく。
まるで大魔王でも召喚されるかのような雰囲気だぞ……。
魔法陣の広場で黒魔道士が呪文を唱えながら精神集中をしている。
「いでよ!! 願望器『聖愛』ッ!!!」
リーダーらしき黒魔道士が両手を挙げて叫ぶ。
それに呼応するように魔法陣が眩い光を放ち、ハート型のシルエットが浮かび上がる。
それは黄金に煌めいていて、見るものを魅了させるほどだ。
「うおおおおおッ!! これがッ!?」
「本物の……」
「『聖愛』現れるッ!!」
「そしてッ、始まるッ!! 聖愛戦争がッ!!」
「フハハハハハハハハハハハハッ!!!」
そんな時、アメリカの奇跡Aランク『世界樹ユグドラシール』は銀の葉っぱをそよそよ揺らしていた。
強力な破邪と浄化力を備えるので、いかなるエゲつない呪いとかも寄せ付けないのだ。
それは地球を覆う形となっている。
パァンッ!!!
なんと『聖愛』が破裂し、キラキラと光礫を散らすように虚空へ溶け消えていく。
それに伴って魔法陣は散り散りと剥がれて消えていく。
「……は?」
「ど、どういう事だ!?」
「欠片となって、選ばれし者へ飛んでいったという事か??」
「いや……! 砕け散ったようにも……?」
「まさか失敗??」
「いやいや、完璧だったぞ! ただ、出現した途端に砕けた!!」
疑心暗鬼になっていく黒魔道士たち。
まさかスパイとかがいて、未然に防いだのかとキョロキョロ見渡す。
されど誰にもその理由が見いだせなかった。
ロンドンは何事もなかったかのように静寂を取り戻していた。シュウウ……。
オレは突然消えた魔法力波動と地響きに疑問を持った。
「……終わった??」
「うん?」
「何かが起きたって事??」
「かもね……?」
ヤマミと見合わせながら、これから何が来るのかと緊迫した。
結局何も起きなかったので首を傾げたそう。
ドア前の金髪美女剣士は残念そうな顔でスゥ──……と消えていったぞ。
ヤマミの部屋にいた褐色ナッセもトボトボと魔法陣へ沈んで一緒に消えた。
もう二度と出てくる事のない『聖愛』により、人知れず呪われし黒歴史に幕を下ろした。
世界樹チート過ぎィ!!
「これから起きるぞ……! 血みどろな『聖愛戦争』がな……!」
フクダリウスの家で邪険モリッカは不気味に笑い続けていた。
フッフッフッフッフッフ……!
『Fight Star Knight』(ファイト/スターナイト)聖愛戦争編 ~完~
ごめんなさいTYPE -MOON先生!!
フェイトスティナイトは2025年春頃とあるフォロワーから「ヤマミが遠坂凛と似てる」との事で読み始めたのですw
ただし遠坂凛編の漫画のみで、他のスティナイトシリーズは読んでませんw
それまではFGOしか知りませんでしたw
普通に話を展開してたらどうなってたんでしょうかねw
ナッセとアー◯ーのダブル剣士出演してたかな?w




