348話「メイド・イン・パラダイス! 宇宙の希望!」
ナッセたちがいる太陽系など宇宙の中では、砂浜の砂粒一つを構成する分子の一つみたいなもんだ。
なぜなら恒星が二〇〇〇億ぐらい集まった銀河系が、宇宙では数兆個もあるのだという。
それに比例して生命体が多くいるのだろう。恐らく天文学的な数に……。
「細菌レベルの生命体は掃いて捨てるほどいるだろう。その中で知的生命体はその何分の一ぐらい存在しているのだろうな?」
どこかの惑星。
白い獣人だろうか、ゴツイ顔立ちしていて中肉ながら筋肉が窺える全裸男。
犬のような耳が頭上から伸びていて、そこから垂れるような長い触角みたいな第二の耳には黄金の輪っかがある。
ドドドドドドドドドドドドドド……! (凄み擬音)
「私か……? 聖人プッチプリ。君らの太陽系からは七三〇万光年位離れた位置の銀河系のエキュプース恒星系第五惑星ベーダーインに生息する“唯一の生命体”だ」
プッチプリは独り、広大な神殿を歩いている。
かつては大勢の人がいたであろう痕跡となるが、今はもう一人もいない。
いや、生命体そのものはプッチプリをおいて存在しない奇妙な惑星だ。
「話せば長くなるが……、知的生命体だろうが何だろうが不確定な生物は身勝手な事だ。故に生存競争の果てに、この私だけが残ったといえばいいか……。弱肉強食に善悪は関係ない」
神殿の外に見える紫の空。薄い黄緑の雲と、エメラルドみたいな海。
加えて黄色の大地には草木がない。
そして紫の空には太陽が“二つ”ある……。ドドドドド……!
プッチプリのそばにちょこんと白い犬らしき生物がやってきた。
愛らしい容姿に見えるが赤いつぶらな目に動かぬ口。プッチプリと同じ耳をしている。尻尾はふんわりで黄金の輪っかが浮いている。
「コイツは正確に言うと生物ではない……。これぞ我がスタn……願望器『キュータロー』だ。奇跡Aランクのな……」
なんと大勢のキュータローがどこからか湧いてきて埋め尽くすほどになった。
プッチプリは右手に載せたキュータローの頭を撫でる。
「コイツは“システム”だ。願いを“強制的”に実現できる効力を持つ。本体の私を除いた他人なら、望めばなんでも叶えてもらえるだろう。代償を引き換えにしてな……。これは宇宙の為でもあるッ!!」
プッチプリは立派な王座にふてぶてしく腰掛けた。
自分が神様だとでも言うかのように……。
「どういう理由か分からないが、現在の宇宙は他の宇宙と繋がって対消滅を繰り返し続けている。このままいけば互い消滅するだろう」
漆黒の魔女アリエルが通気路ダンジョンを設置して、その対消滅を遅らせている事は周知だ。
遅らせているってだけで根本的な解決にならない。
何しろ互い法則が違う宇宙同士だ。混ざり合って概念が共通化してきているが、対消滅の方が深刻だ。
「だから、まず私のいる惑星で意思の疎通が利かぬ他の個体を排除したッ! 各々自我があって主義主張が異なり、反発する不確定要素を取り除く為になッ! 動物から細菌レベルまでもッ! 近くに私以外の知的生命体が出てはならないのだッ!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドド……! (凄み擬音)
「これで宇宙は『楽園』へ到達できるだろうッ!!」
我がスタn……“願望器”能力ならッ、それも可能ッ!!!
とある他の恒星系の惑星……。
木星型惑星が空に映る、地球型の衛星。高度な文明らしく高層ビルが立ち並ぶ。
夜だろうか、冷えた空気。
一人の冴えない男の前に白い犬がいた。
「お前は……?」
「ワタシは『キュータロー』っていうんだ。契約してくれればキミだって立派なヒーローになれるよ」
「な……なんなんだ!? 突然??」
「その前に、キミの“願い”を叶えてあげれる。そうする事で契約が完了するんだ」
「ホントかよ……? じゃあ……」
パアッと一点の光が夜景で輝いた。
この惑星には『怪物』が跋扈していて、平和を乱す存在だ。
大きな怪獣レベルから、小さな虫レベルまで様々だ。どこから湧いてくるのか原因が不明。
こいつらのせいで安心して眠れない日が続く。
「ギャオオオオオンッ!!!」
肉食恐竜みたいな怪獣が、ビルを薙ぎ倒していく。
そんな無法を許さない戦隊がザザッと現れた。人々は明るい笑顔を見せた。
「来た来たー!! あれが希望の戦隊!! ホープレンジャーだ!!!」
イケメン四人と美女一人。威風堂々している。
手首の宝石をはめ込んだ腕輪を胸元に引き「チェンジ!!」と叫び、光に包まれるとカッコイイヒーローに変身が完了された。
「ホープピンク!!」
「ホープブラック!!」
「ホープレッド!!」
「ホープブルー!!」
「ホープイエロー!!」
「「「我らはヒーロー!! 悪は絶対に許さない希望の戦隊ッ!! とうッ!!」」」
格段にアップした身体能力、そして特殊能力。
類まれなる戦闘能力で怪獣と命懸けで戦い、見事倒すと黒い霧となって霧散する。
「出たぞ。ゼロオーブ……」
「ああ」
「これで奇跡力は回復できるわ」
怪獣を倒すと、その個体に合わせた大きさの透明な球体が現れた。
五人のレンジャーは手首をかざすと、ズズズズっと黒いモヤが抜け出ていってゼロオーブに吸い込まれていった。
透明だった球体は逆に黒く染まっていた。それをキュータローがズズズッと回収した。
「助かったよ。これでまたひとつ平和になったよ。ヒーローのキミたち」
白々しくキュータローはニコッと礼を言う。
「おう。そっちもお疲れさん」
「ふう。このスピリットオーブが濁ると能力が鈍るらしいからな」
「黒く濁ると能力が全く使えなくなるんだよね」
「ああ」
「でも、その為に戦わなきゃいけないらしいからな」
振り向けば、複数の怪人が「ギャオー」と威嚇してきた。
レンジャーは「行くぞッ!!」と駆け出して勢いよく飛び蹴り。ドーン!!
とある路地裏でボロボロのヒーローが壁に手を付きながら「ふう……ふう……」と辛そうに息をついていた。
手首の宝石が黒く濁っている。
それを見てヒーローは「あああ……」と絶望に駆られていく。
「なんでだよお……! こんなんしたって生活が楽にならねぇよ……! 強制ボランティアじゃあ……」
頭を抱え、ブルブル震えだすと黒いモヤが全身から溢れてしまう。
絶望の黒いオーラがヒーローを怪人に身を変えた。見た目がグロくて呪いを振りまくに相応しい容姿。
「ギャオー!!」
悪意だけが残った怪人は路地裏から出た。
「きゃー!! また出たわー!! 早く来てーヒーロー!!」
各々の惑星では正義の銀巨人だったり、正義ロボットだったり、魔法少女だったり……、そしてそれに相対して悪の怪獣やら、怪物やらが湧いていた。
でも実は、全部同じ人間なのだ……。
マッチポンプみたいだが、その相互関係を知る者はあまりいない……。
その真相を知っていて、なおかつエグいシステムを強いる張本人である聖人プッチプリはニヤリと笑む。
「その大きな絶望による落差こそがッ、波動粒子に影響をもたらし『良い因果へ向かう』ようになるのだッ!! その為の多大な犠牲は必要なのだッ!! この私以外はなッ!! 『楽園』へ到達できるのは清き心を持つ聖人たる自分だけでいいッ!! これが完成した我がスタn……願望器ッ!!」
興奮していたが、次第に落ち着いて素数を数える。
2……、3、5……、7……、11、13、17、19……。(おい)
「……さて、あっちでは太陽系第三惑星から何か『とてつもない因果』が溢れ出してきたが、そのおかげで新たな生け贄が見つかったッ!! 行け!! 我がスタンd願望器『キュータロー』ッ!!」
ドォ────ンッ!!
地球へ迫る『脅威』ッ!! 『To Be Continued』⇒
ごめんなさいJOJOとMDMG!!




