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346話「ポッキーゲームで変わる人生!」

 また誰かにカフェで相談を持ちかけられるオレとヤマミ。疲れた顔だぞ。


「あなたが英雄でなんでもアリのリア充満載のナッセさんですね」

「いやいや違うぞ。ってか、今度はなんだぞ……?」

「いい加減にして欲しいわ」


 目の前にいる男は育ちが良く、緑髪のさっぱりしたスポーツ刈りの青年。

 真っ直ぐ育った好青年だ。

 昨日、ミキオに会ってたやつだ。


「初めましてです。僕は出雲(イズモ)ミヒトです」

「なんでオレの携帯番号知ってるか聞いていいかぞ?」

「たぶん登録した創作士(クリエイター)センターからなんじゃないの?」

「ええ、創作士(クリエイター)センターには多くの創作士(クリエイター)の電話番号がありますしね。それを頼って連絡をかけさせていただきました」


 ブラックコーヒーが置かれ、ミヒトはそれを軽くすする。

 モエキと違ってムリしてる様子はない。


「ミキオさんとキョウコちゃんの様子がおかしいんです……。このまま今日に告白をしていいものか?」

「何の話だぞ?」


 一応、昨晩のカフェの盗み聞きとミキオにヤマミの小人が取り憑いてキョウコちゃんの事情は聞いているが、知らない(てい)で聞く。


「実は昨日にミキオさんと話し合って、明日の放課後に僕がキョウコちゃんに告白すると時間の猶予を与えました。ミキオさんがキョウコちゃんを好きなら告白できるように、と」

「なるほど、事情は把握したわ(もう知ってるけど)」

「ああ……」


 だがミキオはサラクと付き合ってるので、告白なんてするわけがない。


「放課後に病院に行きましたが、既にキョウコちゃんがいなくなった後で看護師たちが慌てていたようでした」

「退院したとかじゃなくて?」

「いいえ、抜け出したようです……」


 するとミキオとサラクが横切って通り過ぎていって、向こうの席へ座っていった。

 一瞬サラクがオレの方にパチクリと瞬いたぞ。分かっててやろうとしてるんだ。

 驚いたミヒトは思わず立ち上がろうとすると、ヤマミが「待って」と制止した。


「見てれば分かるぞ」

「ええ」


 ミヒトは怪訝そうにミキオとサラクを見る。

 ヤマミがパフェのスプーンであらぬ方向を指す。

 なんと窓越しでキョウコちゃんがミキオの方を覗き見しているのが見えた。


「なっ、なぜキョウコちゃんが!? しかももう一人誰かがこっちを見てる!?」

「あーそっちは無視で」


 モエキも一緒になって覗き見しているが、オレの方を見て嫉妬の顔をしとる。ギリィィ!

 二人してなにやってんだ、とは思うが……。


「食うかい?」


 なんとサラクがパフェに刺さっているポッキーを咥えて、ミキオへ先端を突き出す。

 ミキオも「望むところだ!」と片方を咥えた。

 それを見たキョウコちゃんは赤面して湯気を上げてきたぞ。


 ガリガリガリガリガリガリ……!


 ミキオとサラクがポッキーを齧りあって接近していく。

 キョウコちゃんは「あっ! あっ! あっ……!」と赤面しながら動転していく。

 イケメン二人が唇を重ね、愛しく啄むようにねっとり絡む。


 ちゅぽちゅっぽ……ちゅぷちゅぷちゅっぷ……!


 ミキオとサラクは頬を赤く染めて、交互に顔を傾けながら二つの舌が絡み合って粘液が糸を引く。


 ぐぷちゅぱちゅぽっちゅんぽっちゅんちゅぱちゅぱちゅぱちゅぱちゅぽぽぽっ!!


 そんなハートマークの嵐が吹き荒れる二人の愛してるBL(ボーイズラブ)キッスを見て、キョウコちゃんは限界まで赤面して鼻血を垂らしていって感涙していく。

 震えながら「ふわあああ~~~~至高……。尊い……。尊いすぎて死ぬ……」と失神寸前にまで興奮しているようだ。

 モエキもBL(ボーイズラブ)キッスを直視してしまい、一緒に赤面してしまったぞ。

 イケメン二人が愛し合う美しき接吻(キス)を見て興奮しないわけがない。


 ドタッ! ドタンッ!


 モエキとキョウコちゃんは鼻血を垂らしたまま、仰向けに倒れて気を失ったぞ。

 なおも赤面したまま湯気が立ち上っている。


「えぇ────……」


 それを見ていたミヒトはドン引きしていた。

 ミキオとサラクのBL(ボーイズラブ)キスもさる事ながら、キョウコちゃんのストーカー行為に今回の興奮失神でなんか冷めたみてぇだ。


「なるほど……ミキオさんには既に好きな人がいて、キョウコちゃんはアウトオブ眼中ですか……」

「ああ、そうみてぇだな」

「見ての通りね。で、アナタは告白するの?」

「いえ……」


 ミヒトは首を振る。顔色が悪い。あんなもの見せられりゃな……。

 しばし俯いていたが、意を決したのか顔を上げてきた。


「なんか吹っ切れました……。これから別の好きな人を探します…………」

「お……おう……。頑張れよ……」




 その晩、病院を正式に退院して大金持ちの屋敷へ帰っていったキョウコちゃん。

 空気父とツノを生やす鬼母が嬉しそうに迎えてきてた。


「お帰りなさい! 待っていたぞ!!」

「さぁ、もうピアノを弾けるざますね! 一緒に頑張って世界一のピアニストになりましょうざます……」

「だまらっしゃああああいッ!!!!」


 これまで真っ直ぐに育ち大人しかったはずのキョウコちゃんが感情を剥き出しに叫んだ。

 そんな大声に両親も腰を抜かす。

 キョウコちゃんはこれまで見せなかった怒りの顔で歯軋りした。ギリッ!


 ズズ……!


 全身からオーラがこもれ出てくる。


「私、もう我慢なりませんわッ! ピアノやめますっ!!」


 創作士(クリエイター)としての扉を開き、感情に呼応して激しく噴き上げるオーラ。ズオオッ!!

 しかも威力値が五〇〇〇級に上がったようだぞ。

 空気父は「ま、待て!! 考え直してくれ!!」と掌を差し出すが、キョウコちゃんは冷めた目でペシンと払う。


「あんたっ!! これまで可愛がってあげたのに!! この母に歯向かう気ざますっ!?」

「……可愛がってあげた?」

「そうよ! 世界一の立派なピアニストになれるように二人三脚で頑張ってあげたざますッ! それを分からせてあげるざます!!」


 鬼母はいつもののようにムチを振るってキョウコちゃんを大人しくさせようとするが、ガシッと掴まれる。


「二人三脚だって……!? どの口が言ってんの!? 私の気持ちなんか考えてくれなかったじゃあないのッ!! いつだってフェイゴーばっかり!!」

「ヒイッざます!」

「アンタは私から搾取してフェイゴーへ課金して星五クラスの奴隷(サーヴァント)を増やしたいだけでしょッ!!」

「ギ、ギクッざます!」


 初めて反抗期をさらしたキョウコちゃんの怒り顔に、鬼母は初めて娘の本心を知った。

 本当は嫌だったざますね。

 でも友達を作って遊ぶ事もできず、漫画もゲームもできず、泣きながらピアノを弾いていたざます。来る日も来る日も暗く沈んだ顔で言いなりになってムチで叩かれて痛みに呻いていたざます。

 それは娘が夢を叶えられるように、と母の愛を込めて厳しくしごいてきたつもりだったざます。

 ともかく愛しいフェイゴーへの課金のために頑張ってもらわなくちゃざます。(私利私欲)


「私は……私はっ、尊いBL(ボーイズラブ)キスを目の当たりにして目が覚めたのです! これから自分の夢を目指しますわっ!!!」

「せ……世界一のピアニストざます……!?」

「そんなになりたいんなら、てめぇでなれや!! 鬼ババア!!!!」


 ムチをひったくって、逆に鬼ババアへビシンバシン打つ。


「朝の目覚めで鞭打ち百発、ピアノ弾きで間違うたびに鞭打ち百発、フェイゴーの爆死で憂さ晴らし鞭打ち百発、帰りに気合い入れの鞭打ち百発!! ぜぇーんぶお返ししてさしあげますわッ!!」

「ぎゃあああああざますー!!!」

「これが私が受けてきたサウザンド痛みよおおおおおおおッ!!!!!」


 ずっと私のターンでビシバシバシバシバシシンッ!!! (9999発)


「い……痛い……ざます……!!」

「超ウルトラ虐待鬼ババアしね!!」


 ムチを叩きつけて、鬼ババアの携帯ひったくってフェイゴーの星五鯖大勢(全完凸で廃課金レベル)を全売却(ロック外して霊素変換)して、ズカズカと部屋へ戻ってガサゴソ必要なのもをリュックに詰めてから玄関を出た。

 バターン、扉が乱暴に締まる。

 空気父は恐怖で震えながら呆然するしかない……。


「む……娘が……グレちまっただ……!!」


 一方、鬼ババアはフェイゴー生命を絶たれてシクシク悲しみに暮れた後、ふて寝した。

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