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340話「野外授業⑮ 勇者ナッセと魔法少女リョーコ」

 クスモさんとエリとジャロとナノンは水晶みたいな世界に迷い込み、そこでまさかのナッセとリョーコと遭遇しちゃった!?


「アナザーのナッセとリョーコか?」


 このナッセは銀髪で、身長一七〇ぐらいで、額に黄金の輪っかをはめていて、青い色調の身軽な服で肩当てがある。前腕を覆う黒い手甲に、足は黒長靴。イメージ的に勇者っぽい。


「ん? あ、ああ。オレは勇者ナッセだお」

「っても剣士(セイバー)だけどねー」

「おい!」


 そして一緒にやってきたリョーコは金髪オカッパ、ピンク色調の魔法少女スーツに白いフリル、そして杖。


「あたしはプリティーリョーコだよー!」


 リョーコは可愛らしい仕草で腰を揺らし、人差し指を立てて片目ウィンク。

 クスモさんたちは「…………」と引いていた。

 いい年して魔法少女とか……。


「これで分かった。別世界のナッセとリョーコなのは間違いない」

「やはり、ため息つかれたお」

「なんでなのよっ! みんなしてっ!! こ~んな可愛いの捕まえて引かないでくれるー!?」


 ジト目のナッセ、抗議を上げるリョーコ。

 すると周囲からザワザワとカマキリみたいなモンスターと一つ目巨人が一体と集合してきたぞ。


【ウラノマンティス(昆虫族)】

 威力値:5400

 青白いカマキリ。素早く動いて両腕のカマで敵を捕まえたり引き裂いたりする。天王星のモンスターらしい。下級上位種。


【ウラノスサイクロプス(亜人族)】

 威力値:12000

 青白い肌の一つ目巨人。大きな棍棒を振るって敵を叩き潰す。天王星のモンスターらしい。下級上位種。


「ひえええ~~~~!! 見るからに勝てない相手です!!」

「こ、こんなの……無理だ!!」


 ジャロとナノンは身を震わせて竦むしかない。

 エリは汗を垂らし「クスモさん……」と身構える。

 クスモさんは銀狼を撫でて「行くか」と、戦闘態勢に入ろうとする。


「ここはオレの出番だっ!! 勇者の紋章全開ッ!!」


 ナッセは右手の『刻印(エンチャント)』を掲げて青白い光を放つ。全身から凄まじいオーラを噴き上げて、光の剣を生成した。

 これだけでもカッコよい雰囲気だ。


「ナッセの剣!! 行くお!!!」


 クスモさんは「星光の剣(スターライトセイバー)とは違うのか……?」と驚きを見せる。

 ナッセがカマキリへ瞬時に間合いを縮める。カマキリも「ギキイイッ」と唸ってカマを振り下ろす。


「力の秘剣・地裂斬ッ!!」


 威力を一点に集中した渾身のひと振りでカマキリを一刀両断する。ザンッ!!

 しかし左右からカマキリがカマを振り下ろしてくる。

 思わずジャロとナノンが「危な……」と叫ぶ刹那、ナッセは「速の秘剣・水裂斬ッ!!!」と高速で走り抜ける。キンッ!

 すると左右のカマキリが上下両断していた。速い!


「心の秘剣・天裂斬ッ!!!」


 なんと剣を突き出す事で光線を放って、遠くのカマキリの胴体に風穴をあけた。


「ガアアアアアアアッ!!!」


 サイクロプスがいきり立って襲いかかるが、ナッセは独自の構えで光の剣を後方に引いていく。

 ジャロとナノンは驚きで「まさかッ……!?」と見た事がある事を察し、クスモさんは「なるほど……」と呟いた。

 リョーコは苦笑いする。


「力・速・心で全てを切り裂く最強の秘剣・ナッセブロッシャ────ッ!!!」


 大振り横薙ぎ一閃で眩い斬撃を放った。それは轟音を伴って空まで切り裂くほどの一撃だ。


「ギャアアアアアア~~~~ッ!!!!」


 サイクロプスを豪快に木っ端微塵にして消し去ってしまった。


 クスモさんはジト目で「ダインの大冒険に憧れた世界線のナッセだな……」と確信した。

 ブロッシャーは、恐らくブロウ(一撃)とフィニッシャー(必殺)を合わせた造語か、とも推測。

 エリは「威力値は約二万……」と分析してた。



 他にカマキリが湧いていたがリョーコは可愛らしい杖を振るって「爆撃の放射撃(バクボ・フラッシュー)ッ!!!」と、扇状に光線を放って大爆発を巻き起こして殲滅させた。

 凄まじい火力か、余波が烈風を巻き起こした。

 エリは「威力値はナッセと同じく二万か……?」と分析。

 クスモさんはそれを見て、あの魔法少女系と察した。


「魔法少女リョーコはそっち系の魔法少女か……。プリズム✩イリスの……」

「ゴメンねー。ここに迷って帰るルート分からなくなっててー」


 リョーコは困った顔で笑みを見せた。

 ナッセも「うん。どうしようかと困ってた時に、あなたたちが来てくれたんだお」と頷いた。

 クスモさんは「なるほど」と相槌を打つ。


「前置きすると、我々はお前たちと違う世界から来た人間だ。わっしはエリ」

「はい。僕はジャロです」

「俺はナノンです」

「そして私がクスモ。よくクスモさんって呼ばれている」


 大きな銀狼に乗っているクスモさんに、ナッセもリョーコも見上げる。


「初めまして? でもオレたちの名前を知ってたお?」

「そうだったっけー?」

「最初に会った時、クスモさんがオレたちの名前を言ってきてたお……」

「あー!」


 思い出したように掌に拳を打つリョーコ。


「そっちには私たちがいないのか? 同じ学院に……?」

「ん? ジャキガン学院??」

「そっちもジャキガン学院の?」


 クスモさんは見開く。

 このナッセとリョーコはアニマンガー学院ではなく、連覇優勝校のジャキガン学院の生徒らしい。

 あそこでは漫画やアニメのコスプレをする事で有名な学院。

 それでナッセとリョーコが漫画キャラのコスプレっぽい格好している謎が解けた。


「そうか。こっちにもナッセがいるんだが、我々と同じアニマンガー学院だ」

「「ええっ!? そんな学院あったっけ!!?」」


 逆にナッセとリョーコが驚く。互いに顔を見合わせる。


「……知ってるのかお?」

「ううん。知らない」

「おいおい、わっしらは関西地域の学院だぞ! 大阪の! これでも去年は『仮想対戦(バーチャルサバイバル)明治魔導聖域(メイジサンクチュアリ)』でジャキガン学院を破って優勝したんだぞ!」


 エリが不満げにそう説明した。

 ジャロとナノンはウンウン頷く。


「「えええ~~ッ!!? ゆ、優勝~~ッ!!?」」

「えっと関西の学院?? 確か……レキセン学院だったよな……?」

「うんうん、いつも地区予選優勝連覇してるやつね」


 クスモさんは「ああ、レキセーンモサ学院か……」と口走る。

 そっちの世界線ではアニマンガー学院は予選敗退して知名度がないままか……、と同時に察した。


「そのレキセーンモサ学院とやらも去年に打ち破ったぞ! わっしはベンチですらなかったけどな」

「うん。ナッセさんたちが地区予選を優勝したんです!」

「そこから全国大会でも優勝したので、俺たちはアニマンガー学院に憧れて入学しました!」


 エリに続いてジャロとナノンもアゲアゲしてきた。

 するとナッセとリョーコは後頭部を掻いて苦笑いする。


「っても、オレたちはベンチだったけどなー。レギュラー強すぎてお……」

「うん。あたしもナッセと同じくらいかなー? 全然弱いよー」

「でもリョーコとはライバル同士なんだお」

「ねー!」


 なんか恋人同士のようにナッセとリョーコがにっこり笑顔で傾け合う。うふふアハハ!

 クスモさんはなんか察した。

 エリも察した。

 ジャロとナノンも察した。


 ……こいつら紛れもなくリア充カップルだ! それもナッセとリョーコの!

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