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337話「野外授業⑫ 一年生ナガレとエガラの実力!」

 マイシとミコトは一年生のナガレとエガラとフォーマンセルで遺跡型『洞窟(ダンジョン)』を進んでいた。


「言っておくがあたしは見守るだけだし」

「いざとなればオレがフォローするから安心して洞窟(ダンジョン)デュエルだZE!」


 マイシは腕を組んで仏頂面だ。ぎゃくにミコトは腕を組みながら不敵な笑みを見せて片目ウィンク。


「あなたの姉さんは厳しいんですね……」

「うん。頑張らなきゃ」


 汗を垂らすエガラだが、ナガレは意気込んでいる。


 歩いていくとガラスのような骸骨剣士が七体、赤いトカゲが三体現れた。

 マイシは「チッ、やはりな。くだらねぇザコしかいないし」と仏頂面のままだ。

 ナガレは水のような濃密度オーラで全身を包み、それはドラゴンの形状を象っていく。


「行きます!! 水龍槍キーック!!」


 その場でミドルキックを繰り出すと、そこから水龍オーラが伸びて先端が鋭く尖った竜の頭を象る。


 ドゴガアアアンッ!!!!


 なんと衝撃波が扇状に爆ぜて、一気に骸骨剣士と赤トカゲが木っ端微塵に飛び散った。

 威力値五〇〇〇〇もの攻撃力を前に全滅したようだ。

 ナガレは汗を垂らして「うひゃあ……」と逆に驚いていた。


「てめぇ一人でも十分クリアできるくらい手応えのない洞窟(ダンジョン)っしょ。くそったれし」


 マイシは口が汚いが言っている事は間違っていない。

 もし奥のボスがいたとしても威力値は三〇〇〇〇までだろう。そんな難易度の高い洞窟(ダンジョン)ではない。

 ミコトはフィールド魔法カードを発動してて『地図作成(マッピング)』のスキルを再現している。


「迷う事はないから、どんどん進むZE!」

「はいっ!」

「はい!」


 素直なナガレとエガラは頷く。

 数十分歩いていくと、今度は強そうな雰囲気のリビングアーマーが二十五体も現れたぞ。威力値は五〇〇〇ぐらい。

 ナガレが構えるとマイシが「待てし!」と制止の腕を伸ばす。


「今度はエガラ行けし!」

「はい!」


 エガラは金髪ショートで左右のうしろ髪が跳ねている控えめな黄緑のワンピースの小動物系少女。

 こう見えても高校を卒業してる。

 初めてのダンジョンか、緊張してかゴクッと息を飲む。


「行って!! 風のハト!!」


 手をかざすと、その上で周囲から渦を巻いていって球状を象っていく。

 風魔法(ヒュザ系)の『衛星(サテライト)』のようだが、散弾として撃ち出されたそれはハトの群れとなってリビングアーマーへ突っ込んでいった。


 ドパパパパーンッ!!!


 空気が破裂するように爆ぜて鋼鉄と思わせられるリビングアーマーが粉々に飛び散った。

 ナガレと同じ威力値だから、これもまた一方的な殲滅だ。

 しかも残ったハトが数匹戻ってきて、エガラの周囲を飛び回っている。

 まだ撃ってない残りのハトも一緒に群れている。


「ただの造形付加じゃないなし……、やはり『分霊(スクナビコナ)』かし」

「すごいです!!」

「こうしておけば、死角もなくなるし不意にも備えられます」


 突然、爆風から抜け出したリビングアーマーがエガラへ掴みかからんとするが、舞っていたハトが一羽突っ込んで木っ端微塵に粉砕。

 今度は被弾したにも関わらず誘爆せず、貫通した後に舞い戻ってくる。


「『分霊(スクナビコナ)』の弾もエガラの能力を参照にしてるんですね……」

「なかなかやるなし。ナガレと格闘した時は使ってなかったっしょ?」

「うん。このあと開発して能力として発現できました」


 ハトが戯れるエガラは微笑んだ。


 弾が小さい分、本体よりは弱体化しているものの攻撃力は侮れない。

 いざとなれば自爆特攻もできるし、非常に応用力が高いスキルだ。




 カエリンというカエル人間が三十匹以上も群がる広場に出たが、エガラの肩に乗っているリスが口を開けると火炎弾を連射してきた。

 これも『分霊(スクナビコナ)』による分身なので、弾自体も弾を撃てる。


「これが火のリスです!!」


 ドガッドガガッドガガドガッドガッドガッ!!!


 爆発の連鎖がカエル人間を粉砕していった。

 生き残ったカエル人間が必死に飛びかかろうとするが、ナガレが「水龍槍ラッシュパンチ!」とシャドーボクシングして水龍オーラによる伸びた水の槍が連射されて、次々と貫かれていった。

 中距離ならナガレの得意な攻撃範囲だ。


「フン、殴る蹴るだけでも、こんなザコなぞ蹴散らせられるっしょ」

「えーカエルはヤダな~」


 エガラは両生類が苦手らしく後頭部に汗をかいていた。

 マイシは察していた。野外授業が一年生に実戦などを学ばせる為で、二年生同行は万が一の時の為の保護者。

 すなわち先輩として後輩を導いていくという趣旨だと……。



 六本足のライオンみたいなのがぞろぞろ出てきたぞ。

 ミキオとサラクが二人がかりで苦戦したというモンスターが七匹も!?


「水のイルカ!!」


 エガラは水魔法(ミズッポ系)の『分霊(スクナビコナ)』に乗って、床をスイスイ滑りながら移動して風のハトや火のリスで爆撃を繰り返していく。

 ナガレも「水龍槍キック!!」「水龍槍パンチ!!」と水龍オーラを使った体術が冴えた。

 さすがのイセキライオンも二人の前ではただのザコだ。


「「ガアアアアアアアッ!!!」」


 ドガガガァンッ!!!


 まとめて爆破して霧散していったぞ。


「他より強かったよー!」

「でも楽勝ですね」


 ナガレとエガラはふうと息をつく。まだまだ戦える余裕は残してある。

 マイシは「余裕だし先進むっしょ」と歩き出す。ナガレとエガラは「はい!」と歩き出す。

 ミコトは不敵な笑みで「流石だNA! オレの出番ないなら安心だZE」と歩き出した。


 すると冷えた空気とともに水晶のような世界に変わっていた。ドン!

 いつの間に、とナガレとエガラは「えっ!? ここは……?」と戸惑う。

 マイシはピクッと反応し、気配がする方へ視線をよこす。


「くっくっく……、今度は骨がありそうなヤツが出てきたようだぜ」


 夜空の三つある月を背景に、氷柱の上に立つ黒いシルエットが浮かび上がっていた。

 なんか某漫画の戦闘民族の王子みたいに髪の毛が逆立っていた。


「てめぇは何者だし……!」


 マイシは憮然と見据える。

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