335話「野外授業⑩ モブ巨乳と婚約したいノーヴェン」
アニマンガー学院の職員室……。
「えっ!? 鏡面世界?」
ナッセたちを野外授業で遺跡型『洞窟』の四時間程度の捜索に決めた先生は聞き返す。
この先生は吸血鬼みたいな格好で生徒からはドラキー先生と呼ばれている。
そしてスライムナ〇トみたいにティマーしたスライムの上に乗っている全身鎧の先生が頷いた。間違いなくクラスは騎手だろう。
「ピー」←スライムのセリフ。
「まだ噂として広まってない所も多いんですが、行方不明の原因になってますよ」
「ど、どんな所だそれは?」
「ピピー」
「水晶みたいな世界で並行世界と繋がってるらしいんですよ。迷ったら出てこれないとも言いますし」
「そんな異次元みたいなのに……簡単に入れるのですか!?」
「ピーピー」
「主に人気のない場所が『鏡面世界』の出入り口になってる事が多いんです。ゴーストタウンの町や村が多いので、それに伴って増えているのではないかと推測されているんですよ」
「人気のない場所……もしや『洞窟』にも!?」
「ピッ」
「ああ、そういう話も聞きますね。例えば阪急百貨店の遺跡型『洞窟』は有名ですね。あそこはダメなんですよね。でも創作士センターとしては懐疑的なんで、まだ警告とか出してないみたいでして」
ドラキー先生はゾ~ッと青ざめていく。元々肌が白いので青く染まって寧ろドラキュラっぽい。
「ピッピー」
「捜索隊を出しているところもありますが、くれぐれも遺跡型『洞窟』は行っちゃダメですよ」
「ああ……そうですか……」
「ピーピ」
「うん。気をつけてね」
スライム騎士先生は再びデスクワークに取り掛かる。
ドラキー先生は頭を抱えるしかない。
一年生と二年生混合で野外授業に出しちゃったもんだから、万が一の事があれば責任重大だ。
サッと携帯をかけるが、そもそも『洞窟』は圏外……。
「あーそうでしたー!!」
ドラキー先生は背を反らしてブリッジを作った。
身を起こしてワナワナ震えたまま「ナッセがいるから大丈夫だよな……?」と今更心配してしまう。
二年生枠のノーヴェンとコマエモンと、一年生枠のコンドリオンと五十鈴マレン(モブ)が遺跡型『洞窟』を進んでいた。
「心配せずともピンチになったら助けマース」
「うむ」
両目のメガネだけではなく、ティアラのように頭に乗せているメガネ、そしてメガネアーマーを着込む半裸男がノーヴェン。
そして気難しそうなサムライっぽいのがコマエモン。
四首領ダウートの息子でありインドの戦士のコンドリオン。
「A級創作士って聞いてたけど、その格好で寒くないんですか……?」
「ノープロブレムデス」
「そうすか……」
水色のロングヘアーでドレスを着ている魔法少女みたいなモブだが、プルンと大きな胸が揺れる。
一見すれば、目立たないような雰囲気がするし大人しそう。
彼女は五十鈴マレン(モブ)だ。
「マレンさん。ベリーベリーな胸してますネー」
「それセクハラ発言ですよ……」
「ムッ! 気をつけられよ……。出たぞ」
マレンが振り向くと、巨大な蛾や黒い影が立体的になったモンスターが何体か出てきたぞ。
【イセキモス(昆虫族)】
威力値:1130
遺跡に出てくる蛾のモンスター。羽をはばたかせて風の攻撃を繰り出す。噛まれると麻痺する事がある。結構素速い。下級下位種。
【イセキシャドウ(悪魔族)】
威力値:1360
遺跡に出てくる影のモンスター。不特定な体を活かして様々な攻撃繰り出す。物理攻撃が効かなさそうに見えるが、デザインでそうなってるだけで実は物理攻撃が効く。下級下位種。
「私行きます! ウィンドブーム!」
マレンはブッキーからカマに変形させて、胸をプルンと揺らして横薙ぎに振るうと三日月の刃が横回転しながら飛んでいく。
飛んでいた蛾に当たるとズバババッと細切れに斬り散らした。
命中すると、小規模の竜巻が起こって切り刻むようだ。
「サイクロンブーム!!」
胸をプルプル揺らしながらブンブン振るうと、球状の竜巻が巻き起こってモンスターを巻き込んで切り刻んでいく。
しばらくの間、猛威を振るい続けてモンスターを殲滅させていった。
カマの形状は接戦に向かない思ったら、射撃タイプの為だったようである。
「オー! 巨乳が揺れるのパラダイス……もといワンダフルな技デース。ナッセとヤマミのドッキングメビウス下位互換みたいなものですネー」
「クラスとしては弓兵でござるか……」
拍手するノーヴェンとは対照的に、コマエモンは冷静に分析した。
しかしシャドウが天井に潜んでいて、マレンへ落ちてくる。
「危ないです!! 象ァ長鼻拳!!!」
ズドォン!!
「!!?」
なんとコンドリオンの右腕が象の鼻と化して、まるでゴムのように高速で伸びてシャドウの腹を穿ったァ!!
マレンはびっくり仰天。仰け反った為に巨乳が揺れる。
シャドウは白目で「ガハッ」と吐血して霧散した。ボシュン……。
「今の……ワンピみがありますね」
「よく言われますね。あはは……」
マレンの静かなツッコミにコンドリオンはおおらかに笑う。
まぁ、インドピース篇で色々やってたから……。
歩いていくと再びモンスターが出てきたぞ。ぞろぞろと一六体ぐらい群れている。
【イセキリザードマン(水族)】
威力値:2020
遺跡に出てくる黄土色のトカゲ人間。剣や盾を駆使して戦う。割と頭がいいらしい。下級中位種。
マレンは「ウィンドブーム!!」とカマを振って、横回転の三日月を放って切り刻む。
しかしそれが遠距離攻撃と知って、リザードマンは盾で防ぎながら接近してくる。
マレンはしゃがみこんでいる。
「シャーッ!!」
リザードマンが剣を振り下ろすと、同時にマレンは胸を揺らして飛び上がりながらカマを下からすくい上げると大きな三日月の衝撃波が弧を描く。
「これがしゃがむ事で『増幅』を行い、ジャンプして撃つと発動する技がクレセントムーブですっ!!!」
縦回転しながら三日月の衝撃波がすっ飛んでいって、リザードマンをことごとく両断していった。
向こうでドバアアアアンと爆発して、リザードマンが数体舞う。
コマエモンは「うむ。格闘ゲームのアレに似てるが大したものだな」と感心。
ノーヴェンはメガネをクイッと上げて、マレンの巨乳はKサイズで威力値は二七〇〇と察した。
「象ァ前足連拳!!」
コンドリオンは両腕による太い象の前足で連続パンチを放ち、残ったリザードマン数体の全身を乱打ァ!!
ドガガガガガガガガァン!!!
「!!!!」
リザードマン数体は白目で吐血し、弾かれるように吹っ飛んでいったァ!
「インドの四首領におれはなるァ!!!」ド ン!!
昂ぶったのかコンドリオンがそんな事を吠えていたぞ。
もろワンピみがありすぎてマレンは苦笑いするしかない。濃いキャラ過ぎて自分は目立たないなと痛感した。
こうして一応順調に探索を続けていった。
「マレンも可愛いデース! 胸も大きくミラクルワンダフルデース!」
「そういうセクハラ発言はやめた方がいいですよ」
「婚約してプリーズ!!」
「ゴメンなさい。絶対嫌です」
意気込んだノーヴェンがキラキラオーラを纏って婚約を申し込んだが、マレンは頭を下げた。
「WHOOOOO~~!!!!」
フラれてショックでオーバーにキリモミで飛び上がるノーヴェンに、コマエモンは「やれやれ」と首を振った。
だが、ノーヴェンの見境ない婚約は相変わらずだ。
これからも婚約し続けるだろうな……。
「して亀甲縛りに興味はござらぬか?」
「突然アブノーマル性癖を振られても困りますよ。嫌です。他をあたってください」
「ぐうっ!」
にべもなく断られてコマエモンは打ちのめされてうつ伏せに屈んでいく。
「彼女……零式…………うぅぅ……」
マトモ枠のマレンは呆れてため息をつく。
しかし、足元を見てみれば水晶のような青く煌く地面になっていた。
驚いて見上げれば、黄灰色の遺跡だったはずが水晶のような世界になっていたぞ。
「え……?? ここ、どこっ??」




