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33話「月末バイオハザード!④」

 全身を丸めたモリッカのゴロゴロ回転によって、研究所の最下層までたどり着けた。

 しかし、竜を象るエーテルを纏うマイシが四つん這いで現れてきたぞ。……そういやエレベーター追っかけてたんだよな。

 唸った後、マイシは超速で爆走開始。ドッ!


「宿題がぁぁぁあッ!!!!」

「ひいっ! こんな時に暴走せんでもっ!!」


 慌てて横の通路へ逃げ込むと、非常階段の方へマイシが突っ込んでバゴガァァンと粉砕。

 ゴロゴロ回転するモリッカの後を追いかけながら、オレとヤマミはヒイヒイ通路を駆け抜けていく。マイシが追い付くのもすぐそこだから、ガラス拵えの室内へ入れるドア見つけねーと!


「課題ぃぃぃ~~!!」


 なんと研究員がわらわらと前方から!! しかし丁度よくガラス拵えの室内へのドアが!!

「くそ! 鍵が!」ガンガン!

「僕いきますよー!」

 鍵がかかってたので、モリッカがドアをブチ破ってオレたちも転がるように入った。そのすぐ後で、通路側でマイシの突進が通り過ぎて課題ゾンビもろともドッカァァンと爆砕。


「ワクチンは!!」

「あそこよ!!」


 焦るままにキョロキョロ見渡していると、ヤマミが指差していた。

 なんと奥に四方のガラスケースで囲まれたロケットみたいなものが立てられていて、枠に「ワクチン」と札に書かれていた。

 そして真正面にスイッチ台の上に赤いスイッチが!


「何故にあからさまに……!」

「そんな事より、早く押さないとッ!!」


 マイシがこちらに入ってきて、更に後続にリョーコ、エレナ、フクダリウス、ノーヴェン、ミコト、コマエモン、いつの間にか復活してたコハク(陽快(ヨーカイ)のすがた)がぞろぞろと大勢なだれ込んでくる。

「宿題ぃぃぃ~~!!!」「課題ぃぃぃ~~!!!」

 ドドドドドドドドドドドド……!!


 四の五は言ってられんない!! スイッチまで全力疾走だ!! しかしマイシが断然速く追いつかれる!!

「モリッカ頼むっ!! 押してくれーっ!!」

 モリッカはゴロゴロ回転でそのままスイッチを粉砕! ど~ん!


「あれ? なんかやっちゃいました??」きょとん!

「ああああああ!!! モリッカのバカぁぁぁぁあ!!!」


 起動叶わず、オレとヤマミは絶叫した後、脱力していく……。

 そのままマイシたち大勢が背後からなだれ込んできて…………ッ!!


 詰  ん  だっ!!



 その時、ロケットはブルブル震えだすと破裂して全てを真っ白に塗り潰した。


 ちゅど~~~~~ん!! ←ドクロを象るキノコ雲!




 雲が覆い尽くす雲海が大地となる天界。

 あちこち大小様々な神殿が立ち並んでいる。なんか天使たちがふよふよ行き交いしている。


 オレとヤマミは呆然と立ち尽くす。え……ここどこ?



「あらまぁ~? 死んだのね?」


 振り向くと後光を背にアマテラス様がいた! ド ン!

 ポジティブ一〇〇%の世界にいるはずの天神の妖精王アマテラス様がなぜここにっ!?


「なんでオレたち死んでるんだぞ??」

「あのワクチン、ゾンビ用じゃなくて人類用だったみたい。詳しい用途とか書かれてなかったでしょ?」


 ヤマミは思い返し、ワクチンとしか書かれてなかった事にハッと気づく。


「つまり、ゾンビを解除するのではなく、人類を滅ぼす為に……?」

「そう! 日本はいつも納期、締切、課題、宿題に追われてヒィヒィ苦しく生き長らえる社会なのです! 故に秘密裏にワクチンという名目で滅亡兵器を作っていたのですね」


「た……確かに、人類が滅べば、月末に追われるような事はないよな」

「そんな! とばっちりよ! 私たちは宿題終えてるのにっ!!」


 しかしアマテラス様はにっこにこで「しょうがないですよ~」と満面の笑顔だ。

 オレは愕然してヘナヘナとへたれこんでいく。


 そんな……異世界へ行くという夢が…………!




「ハッ!!」


 思わずベッドから飛び起きた。辺りは薄暗い。まだ夜。オレの隣でヤマミ(黒下着のすがた)がスヤスヤ安眠してた。タンスの上では白猫のウニャンが丸まって寝ている。

 ……なんだ夢か。ホッ!

 ってかそういや、翌朝からは二学期でアニマンガー学院へまた通うんだよな……。


「寝なおそ……」モソモソ!


 ナッセ(パンツのすがた)が寝た後、ウニャンは片目を覚まして「別の並行世界(パラレルワールド)の出来事だったりして……」とボソッと。




 ────翌朝!


 オレとヤマミは朝飯を済ませて、通学の準備を済ませて「よし!」とマンションを出た。

 もう宿題も終わってるしショルダーバッグにも入れている。忘れ物はない。抜かりなし!

 そのまま二人で通学して学院へ入っていった……。


「宿題ぃぃぃ~~~~!!」


 教室へ入るなり、血眼のリョーコがどアップ! ヒイッ!!

 気付けばエレナも血眼で寝不足のまま不気味にエヘエヘ笑んでいる。マイシも寝不足で不機嫌にムスッとしている。


「大丈夫なのですー!! 陽気陽気ー!」ワーイ!


 既に陽快(ヨーカイ)となって現実逃避しているコハク。

 オレもヤマミもゲンナリで「……行きましょ」と席に着いた。ほどなくして授業開始のチャイムが鳴る。



「はいはい! 授業ですよー。ではその前に夏休みの宿題の提出してくださーい」


 先生がパンパン拍手。何人かがギクッと竦む。

 無事終えてる何人かが提出。そしてオレも宿題をすんなり出せた事に、リョーコとエレナが「ええっ!?」と驚きの声を上げてた。

「裏切り者~~!! 仲間だと思ってたのにぃ~~!!」

「仲間になった覚えはねぇっ!!!」

 涙目で突っかかってくるリョーコとエレナにオレは引いた。


 すると厳かな雰囲気の先生が後ろからリョーコとエレナの頭をガシッと掴む。


「宿題の提出できないんですか? ねぇ……?」フフフ……!

「ひ、ひぃっ!」「ひぇ……!」涙目ブルブル!


 ギニャ────ッ!



 ……あの後、夏休みの宿題の未提出組がどうなったのかはオレは知らない……。

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