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322話「シジツたちが語る驚愕の事実!?」

 仮想対戦(バーチャルサバイバル)センターでどよめきが大きくなっていた。

 シジツとジュミが身を寄り添ってイチャついているからだ。恥ずかしそうな顔で慣れない感が出てる。

 それでも開幕キスによって付き合う事に成功した。

 ギョヌとセコは「…………」と気まずそうに沈黙しているぞ。


 それを知ってか創作士(クリエイター)たちがわらわらと群がってきたぞ。


「さすがだぜ!! やっぱり相談すればリア充になれるんだな!?」

「ナッセは本物のリア充だぜ!!」

「キスすれば上手くいくって証明されたな!!」

「いや、待て! ナッセの洞察力が見抜いたんだろ!? 押せばイケるってな!」

「「「うおおおおおおおおおお!!!!」」」


 流石のオレも気まずいぞ……。

 ジト目のヤマミに肘でつつかれて「オレは何もしてねぇ……」と返すが、逆に「違うわよ。後ろ」と言われた。

 ゆっくり半顔で横目で後ろへ見ると、曲がり角でモエキが覗き込んできていた。

 なんか悔しそうな顔で歯を食いしばってる。ギリギギギ……!


「なんで……ナッセさんがあんな女にぃ……」


 妖精王は地獄耳なので、ポツリとこぼした怨嗟(えんさ)こもる言葉が聞こえて戦慄した。


「そいつもリア充にするしかないな。モエキを好きな男とかいねぇんかな……?」

「ノーヴェンもダメだったし、インテリスリーは除外ね。はぁ」


「「「相談させてくれー!!!」」」


 押し寄せてくる創作士(クリエイター)たちにたまらず、ヤマミはオレを引き込んで黒花吹雪の渦に吸い込まれた。

 出入り口に転移し創作士(クリエイター)カードをピッピして出場してから、再び時空間転移して帰った。

 仮想対戦(バーチャルサバイバル)センターへ入場する時に読み込ませるが、出る時も読み込ませる必要がある為である。駅の改札と変わらないぞ。




 マンション前で花吹雪の黒渦が発生し、中からオレとヤマミが抜け出して着地。


「はぁ、助かったぞ……」

「全く」


 その後、三十分くらいしてシジツたちと落ち合った。

 携帯から「まだ話す事がある。最重要だ。なるべく情報の共有はしておきたい」と連絡してきてて、待っていたのだ。

 ナッセの部屋でシジツたちが初めて「お邪魔します」と入ってきた。

 シジツ、ジュミ、ギョヌ、セコとぞろぞろやってきて部屋が狭く感じたぞ。


「なに? 最重要って聞いたから待ってたけれど?」


 腕を組んで、やや不機嫌そうなヤマミ。

 食卓テーブルで囲んで一同はしばし間を置いて、シジツが切り出した。


「まず『鏡面世界(ミラーワールド)』は知っているか?」


 マジ顔で言ってきて、オレは戸惑う。

 だってジュミがシジツの腕に組み付いてイチャイチャしているからだ。

 ギョヌとセコだって「…………」と沈黙しているぞ。見せつけられて心は穏やかじゃないだろう。


「とにかく、それ初めて聞いたな……」

「そっかー。じゃあ、あの竜紋ナッセとは別人だったか」


 頬を赤く染めたままジュミが気になる事を言ってきた。


「竜紋……ナッセ??」

「それアナザー?」


 オレとヤマミは初めて聞いた。一体何を言っているのか……?

 ギョヌは「そのアナザーだ」と断言してきた。


「そうだよ。姿は紛れもなくアンタとそっくりだったよ。ただヤンキーっぽくてヤマミを気にしている様子だった」

「私?」


 セコが言ってきて、ヤマミは目を細めた。

 シジツたちは竜紋ナッセに遭遇した時を説明した。忠告の事も、夕夏(ユウカ)家に反応してた事も、マイシと共同体になっていた事も……。

 オレも頬に汗を垂らして驚くしかなかった。


「……恐らく、アナザーのヤマミと何かあった世界線のナッセかもしれない」

「オレがマイシと合体??」

「あいつは仕方なくやってたみたいで、本意じゃなかったように見えたぜ」


 てっきりオレとマイシがカップルになったかと思ったら、ジュミのセリフで違う事を知った。


「右目がマイシの目?」

「なんか斬られて失明したから、マイシの目が代わりを勤めている感じだったぞ。もはや魔眼だな」


 一度死んでるって本人言ってたらしいし、ナッセとマイシが死ぬレベルのダメージ受けたから合体して生き存えたのでは?

 だから共同体として生きるしかなかった。

 誰が彼らを死に至らしめたのかは怖くて聞きたくない。


「しかし、そういう別世界のオレが出てくるなんてスゲーな……」

「天王星の衛星が空に浮かぶ『鏡面世界(ミラーワールド)』って事は、四首領(ヨンドン)エレサが言ってた事は間違ってなかったようね」


 四首領(ヨンドン)の会合でエレサが「うむ。やはり“天王星”からの現象か……?」と言ってた。


「竜紋ナッセが『魔女ワンダー』と言っていたから、恐らく作為的に作られたのかもしれん」

「あいつは「二度と来るな」って強引に追い出してきたんだよ!」

「それだけ危険なところって事か……?」


 オレは戦慄する。

 ヤマミがトレイに乗せたジュースを、食卓テーブルにのせていく。

 ギョヌが頭を下げて「ありがたい」と手に取る。


「とりあえず鏡面世界(ミラーワールド)に入れる場所は教えとくよ」


 セコがそう言ってきて、マップを広げて鶴橋商店街の位置を教えてくれた。

 ついでに兵庫県の二箇所も教えてもらったが……行く機会はないかも知れない。


「確かに鶴橋商店街に限らず、ゴーストタウン化した地域は増えてきてるわね。大半が小さな村や町なんだけど……」

「ここんところ人口が減ってきているって話だなぞ」


 これからも減っていって絶滅するのか、ある程度まで減ると止まるのかは分からない。

 行方不明になる原因が“鏡面世界(ミラーワールド)”を含めて多くなってる。

 今まで知ってるのはアリエルが作った通気口『洞窟(ダンジョン)』、魔界オンライン、オカマサとドラゴリラの人造人間計画の三つ。

 オカマサとドラゴリラはもういなくなったので現在は除外されて二つだった。


「それからもう一つ……。混乱させるかもしれんので済まんが聞き入れて欲しい。地底人の存在だ」

「「え!!?」」


 オレとヤマミは目を丸くした。

 思わず「鏡面世界(ミラーワールド)関係?」と聞いたら、シジツたちは「同じ反応してくる人多いんだな」と慣れている様子。

 鏡面世界(ミラーワールド)とは全く関係ないっぽいな。


「あの後、調べたが地底人はネアンデル人と判明した」

「「「「えええッッ!!!?」」」」


 ギョヌの言葉に、オレとヤマミのみならず、シジツ、ジュミ、セコまで驚いたぞ。


「まぁ聞け。地底人の襲撃時にヤツが言っていたが原住民のような部族が群雄割拠していて、文明人もいるらしい。奴らとて一枚岩ではないから全て敵視しないで欲しい」

「ネアンデル人って……どこから聞いたんだよ!?」

「帰る時に()()遭遇した地底人が自慢げに言っていた」


 ギョヌはそう言ってきた。

 どことなーく言い訳っぽく見えるのは気のせいか?

 まるで地底人の事を知っているかのように見えるけど、これも気のせい?


「情報過多ね……」


 ヤマミはため息をついた。




 ナッセとヤマミのいるマンションを電柱の影から眺めているモエキがいた。

 嫉妬に駆られて悔しがっていたぞ。

 きっとナッセとヤマミがラブラブイチャイチャしていると思って、勝手に嫉妬を膨らませているのだ。

 グギギギ……!

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