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308話「美牧モエキ、変態に出会って錯乱する!」

 オレはヤマミと一緒に、なんかすげー落ち込んでいる美牧(ミマキ)モエキと喫茶店に入っていたぞ。

 気の毒だと思うくらい俯いてて言葉も発しない。

 つい隣のヤマミに横目を送る。


「……要するにミキオとサラクが急に仲良しになってイチャイチャしてて、キンゴローはフクダリウスと意気投合してて、ミャコとミナトが少しずつイチャ度を増していくのに、自分は何も進展がない事を嘆いているって事よね……」

「ええ……。おっしゃる通りです」

「つか、なんでオレたちに相談してきたんだよ!?」


 よく一年生に絡まれるな、とつくづく思う。

 ってか担当の先生とか相談する相手、他にもいるだろ。

 意外とコミュ障なモエキはキョドったように目を泳がせている。


「私たちが妖精王だから、なんとかしてくれそうな気がしたから?」


 コクリとモエキが頷く。


「そうは言っても、オレはあんまコミュ自信ない方だぞ」

「私もね」

「え……? うそ!?」


 モエキは信じられないような顔を上げてくる。


「絵に書いたようなリア充で、気軽に誰とでも話せて困っている人を多く助けてて、大魔王を倒したほどの英雄として誰からも好かれている偉人だと聞いていたのに!?」

「いやいや、誰から聞いたんだよ!? 盛り過ぎィ!!」

「尾ひれついてるわね……」


 オレとヤマミにパフェが来て、モエキにはコーヒーが来た。

 お嬢様よろしく優雅にモエキはコーヒーをすする。


「にがっ! あつっ!」


 反射的に口から離した拍子にコーヒーカップがすっぽ抜けて、他の席に座っていたお婆さんに……!

 思わずオレはボウッと妖精王に変身し、四枚の羽を展開して、手をかざす。


「で、デコレーションフィールド! 無効化ッ!!」


 コーヒーカップがぬいぐるみのように変質してポフンと婆さんの頭を跳ねて、床にポタンと柔らかく落ちた。

 そして液体として飛び散る熱々のコーヒーもわたあめのような白いフワフワになって緩やかに床へ転がっていく。

 慌てて念力で白いフワフワを浮かし集めて、引き寄せたぬいぐるみのコーヒーカップに入れる。

 周囲の人にとっては手品のように見える事だろう。


「「「おおおおおっ!!!」」」


 喫茶店にいた人たちは思わず拍手喝采したぞ。

 そして元通りになったコーヒーは湯気を上げていく。呆然するモエキ。

 神秘的な雰囲気のナッセ。足元からポコポコと花畑を広げてて、銀髪がロングに伸びて舞い上がっている。

 初めて見る妖精王に目を輝かせていく。


「好きでもないコーヒーをムリに注文しなくていいだろ!」

「あ、あの! 妖精王になるにはどうしたらいいの!?」


 モエキはテーブルに身を乗り出して、ボイーンと胸が揺れる。

 ヤマミはジト目でムッとする。

 オレは妖精王を解いて「ふう」と息をつく。


「……誰でもなれるわけじゃないんだ。でないと妖精王やドラゴンの人が多くなってたろ?」

「そう……」


 モエキは残念そうに俯いて、しばししてから上目遣いで視線を向けてくる。


「あの、できれば付き合いたいんですが……」

「一緒に修行したいのかぞ?」

「いえ……結婚を前提にした恋愛です……」ポッ!


 モエキがポッと頬を赤らめて、モジモジしつつ上目遣いして見せた。あざとい。


「ダメに決まってるでしょう!!」


 ヤマミがグイとオレを引き寄せて腕に組み付く。

 ついでに胸がぷにっと。

 負けじとモエキは胸をプルプル揺らして立ち上がる。


「重婚オッケーですし、私一人くらい許してくれてもいいのよ!」

「絶対ダメ!!」

「なんで頑なな独り占めするの!?」

「二人だけで付き合うって決めてるからよ! 他を当たりなさい!」

「ズルい!! 先に出会ったからって、そんなのズルい!! 私、独身で生きていくしかないじゃない!?」

「そんなの知らないわよっ!!」


 絶望顔で涙目のモエキに対しても、ヤマミは毅然とオレに組み付いたまま揺るがない。

 なにこの修羅場……。


「ってかノーヴェンなら、重婚オッケーだぞ……? 金持ちだし」

「メガネの変態さんでしょ! 絶対嫌よっ!」


 遠くにいたらしいノーヴェンがコーヒーをブボッと吹き出してテーブルを濡らす。

 いたんかいっ!!

 まぁ、学院近くの喫茶店だし、来てても不思議じゃないけどぞ。


「ばっちいZE!」

「おお……。服にかかったでござる」

「オー! ソーリーデース!」


 頭を下げるノーヴェンは、メガネを連ねたアーマーと手甲のパンツ男。しかも両目に三角メガネに加え、なぜか頭上にもメガネをティアラのように載せている、という奇妙な出で立ち。

 誰が見ても変態だ。

 今更気づいた客はノーヴェンを奇異な目で見る。


 こんなんでも何人も婚約してんだよな。


「そっちが一年生のモエキさんですネ。お初にお目にかかりマース」

「ええ、まぁ。そうですけど……」


 モエキは困った顔で頷く。

 ノーヴェンは妙にキラキラする笑顔で、優しく手を差し伸べてきた。


「では婚約しまショウ! ユーをハッピーにしマース!!」


 オレもヤマミも呆れた目で閉口する。

 こんなタイミングで婚約申し込むのかよ。ついに見境ないプレイボーイでもなったのか?

 しかしメガネだらけのパンツ男では締まらない。


「いやあああああああああああッ!!」


 やはりモエキが突然叫び、ブッキーからツルをビュンビュン伸ばして、あっという間にノーヴェンを縛り上げてしまう。


「オオオオオッ、ノオオオオオオオッ!!!?」


 手足と胴をツルの植物で巻き付かれて身動きできない。

 ついでに遠隔操作ができる浮遊メガネも一緒に縛られてなすすべがない。

 ノーヴェンは「ヘルプミー!」と顔を左右に振る。


 オレとヤマミは呆れながらパフェをそそくさと平らげていく。チューズゾゾゾ!!



「おおおおっ!!? 亀甲縛りでござるな!!」


 なんかコマエモンがハァハァ興奮して食いついてきたので、モエキは「いやあああああっ!! 変態ー!」とツルで縛り上げてしまう。

 ノーヴェンと一緒にコマエモンまで縛り上げられて、カオスな状況となったぞ。

 ミコトはノリノリでビシッと両手で指差す。


「対象のモンスターは表示形式ができず、また攻撃宣言ができないZE!! だが──」

「いやあああああああああっ!!!!」


 モエキは錯乱しているようで、ミコトまで縛り上げてしまう。

 インテリスリー揃って喫茶店で縛り上げられるという状況……。なにこれ。

 しばし固まっていたがヤマミに目配せする。


「どうすんだこれ……?」

「知らないわよ」

「オオオー、ノオオオオーッ!! ヘルプミー!! 助けてくれデース!!」


 ギリギリとキツく縛られていくようでノーヴェンが苦悶しているようだぞ。

 コマエモンはなぜかハァハァ恍惚している。ミコトは意味もなくドヤ顔している。

 床を見ると黒い円が広がっていくのが見える。ん?


「いやあああああああああっ!!!」


 いまだ錯乱しているモエキが、ブッキーを大きなアサガオを模した大砲に変形させていく。銃口でキュインキュイン光球が膨らんでいく。

 オレたちは「げっ!」と青ざめて、喫茶店を飛び出すように脱出。

 客もウェイトレスも蜘蛛の子を散らすように逃げてった。


「ウルティモ・グランデ・イボメーアッ!!!」


 ばがごおおおおおおおおおおおおおおおんっ!!!!


 喫茶店が木っ端微塵に大破して、破片が四方八方に飛び散った。

 たまたまエンカウントが重なった為に、展開された生成空間の喫茶店が大破しただけで助かったようだ。(ご都合展開)

 現実空間で爆破されたらヤバかったが、この時だけはエンカウントに感謝した。

 出てきたモンスターはサクッと駆除しておいた。


「ノーヴェンの自業自得とはいえ、モエキって情緒不安定ね。ぼっちなのはこれが原因かしら?」

「あ、ああ……かもな……」


 もうやだ。こんな一年生と絡みたくねぇよ……。

ナッセ「あっ、無効化し忘れたw」

ヤマミ「ノーヴェンにはいい薬じゃないの。私だってパンツ男と婚約は嫌だもの」

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