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304話「ミャコとミナトのワケありな関係……?」

 大阪の賑やかな夜景。不安そうにミャコは散策していた。


「ミャコ!!」


 前髪が切り揃えられているピンク髪の毛の猫の獣人は振り返って、尻尾もぴーんと上へ伸びる。

 やってきたのは黒髪のロングヘアーでイケメンな長身の男。

 困ったような訝しげな顔でため息をついてきた。


「全く! 入学前もそうだったけど、一人でフラフラすると危ないよ」

「ごめんなさい……。夜宵(ヤヨイ)ミナトさん……」


 なんと壁ドンしてきてミャコは「ひゃうっ」と声を上げ、尻尾が縮こまる。


「心配でしょうがないからね。同じクラスメイトだし、俺を頼ってくれよ」

「でも……」

「いいから、行くよ」

「は、はい」


 ミナトと並んでミャコは歩き始める。

 すると黒い円がスゥ────ッと地面から広がっていって、エンカウント現象により亜空間へ引きずり込まれた。

 ズズッと地面から抜け出てくるモンスター。


【オーク】(獣人族)

威力値:560~750

ブタが人型になったモンスター。太った様相しているが筋肉モリモリ。様々な武器を使う。下級下位種。


 ミナトは両手のブッキーを振り、すかさず駆け出す。ミャコもブッキーをボウガンに変形させて、光の矢を斉射する。


「ふしゃーっ!!」


 群がってくるオークはミャコの射撃を浴びて次々と霧散していく。

 それなりな威力で寄せ付けなかった。

 ミナトは二刀流の短剣を軽やかに振り回して、オークどもを八つ裂きにしていく。


「やあああああッ!!!」


 鋭く刃を煌めかし、絶え間のない斬撃でオークを切り散らしていく。

 それを後方から見ていた一際大きいオークが怒りを漲らせた。ボスっぽい。


「ブモーッ!! 叩き潰してやる~~!!」


【ハイオーク】(獣人族)

威力値:2000~4000

ブタの獣人。オークより少し大きい。太った様相しているが筋肉モリモリ。様々な武器を使う。中位種。


 ハイオークが大柄な体を揺らして棍棒を振り下ろすが、ミナトは天高く飛んでかわす。

 そしてミナトは両手の短剣を合体させて大剣に変えて、思いっきり振り下ろす。

 そんな迫力のあるシーンにミャコは感激し、ハイオークは逆に恐怖する。


「ヴァイス・コンヴィクションッ!!!」


 輝くような軌跡が弧を描いてハイオークを豪快に両断した。


「ギャアアアアアッ!!!」


 断末魔を上げたハイオークは左右に分かれながら霧散する。

 ミナトはベテラン創作士(クリエイター)よろしく、キッと油断なく周囲を見渡す。

 もはやモンスターの影はおろか気配すら消失していた。


「……終わりだね」

「ありがとうございます。ミナトさん、助かりました」

「ああ」


 駆け寄ってきたミャコの頭を優しく撫でる。

 ミャコも「ごろにゃ~」と嬉しそうだ。

 とは言ってもミナトは思いつめた顔を見せる。入学した学院には自分より数段上の創作士(クリエイター)が多かったのだ。

 大魔王を倒したナッセたちはともかく、コンドリオンやナガレなど同じ新入生でもケタ違いに強いヤツも多くて上には上がいると思い知らされていた。

 もちろん入学するまでは、狭いものの地方で最強だった。


「どうしたんですか?」

「いや、俺って井の中の蛙大海を知らずだなって思ってね」

「それでも強いので助かります」

「ふふっ」


 表面はキリッとしているミナトだったが、実は内面ではドキドキムラムラが巡っていた。

 ピンクのロングヘアーに猫耳と尻尾は狂おしいほど可愛い。

 いたいけな純粋な顔に、妹探しという一途な目標のために勇気を奮っている芯の強さ。

 着やせしてて、実は胸が割と大きいのも見抜いている。


「ミャコ、マンションどこにあるの?」

「うん。あそこに」

「そこまで送ってあげるよ」

「えへへ、ありがと。嬉しいな」


 眩しいほどに純粋な笑顔に、ミナトは内心ドキーンとハート射抜かれる。

 さりげなく頼もしい青年風を装うミナトだが、実はむらむら沸き上がってくる下心を必死に抑えていたのだ。

 だが、このミャコの笑顔は反則だと思った。


 許すならミャコを押し倒したい。

 可愛らしいニットベストを剥がして、あらわになる胸ををを!

 あああ、抱きしめたい抱きしめたい抱きしめたい抱きしめたああああい!!


 済まし顔のミナトはミャコと一緒に歩きつつも、内面は激しく荒れ狂っていた。

 ミャコが「あそこです」と自分のマンションが見えると指差した。


「あそこか」

「うん」


 ミャコのマンションは結構大きめで、玄関にはガラスのドアがあって警備万端だ。

 それを見て安堵するミナト。

 誰かに襲われるというような事はないだろう、と。


「俺のマンションは向こうだから、今日のところはお疲れ様」

「ミナトさん、ありがとうございます」

「いい。ミナトでいい」

「そうなんですか……?」

「ああ」


 タメ口で呼ばれたいので、爽やかに笑顔で承諾する。

 守ってあげたくなる愛らしいミャコを見れて眼福と思いつつも、これから離れると思うと憂鬱になる気分だ。

 同棲したいと沸き上がってくるけどガマンガマン。

 慎重に距離を詰めないと警戒されて、下手すれば嫌われてしまう。


「じゃあな」

「うん」


 颯爽と手を振って別れる。

 ミナトとしては「くぅ~~~~っ!」と悔しがる気分だ。もっと一緒にいたい。




 彼を見送って夜景をしばし眺めた後、ミャコはポッと赤面して顔を手で隠す。

 本当はミナトがカッコ良すぎて惚れている。

 でも、頼りすぎると嫌がられるかなと遠慮していたけど、そんな事なくて安堵した。

 そして優しくマンションまで送ってくれたミナトが素敵すぎて胸がキュンキュンして止まらないよおおおお!


 慌ててマンションを駆け上がって一室へ飛び込む。

 ベッドに飛び込むと悶えるようにゴロゴロしまくる。恥ずかしいけど嬉しい、そんな気持ちで溢れてて「にゃああああああん!!!」と高い声を発してしまう。

 ミナトがカッコ良すぎて脳裏に焼き付いて愛おしい気持ちが爆発する。




 一方でミナトはマンションへ悠々と自分の一室へ入ると、フルフル震えて赤面していく。

 ベッドへ倒れ込んで枕をぎゅーって抱きしめた。


「ああああ!! ミャコミャコ!! 愛してるよおおおおっ!!!」


 緩んだ顔で枕にぐりぐり擦り付けていく。

 どったんばったん転がって、溢れ出す情欲を開放していた。

 ガバッと起き上がると、テイッシュに手を伸ばして股をゴソゴソして賢者に至った。


「ふう……」



 二人とも実は両片想いだった……。

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