284話「復讐王子⑩ 覚醒の脈動!!」
田宮シーク(威力値:2600) VS 小路ナーセ(威力値:4600)
白いマントを揺らし、巨乳が浮き立つ衣服でミニスカ、緑ボサボサで両目が隠れている女。
一見すれば強そうに見えない彼女。
「よろしくお願いします」
「あ、ああ……。よろしくお願いします……」
シークが頭を下げてきたので、ナーセも思わず頭を下げて返した。
「では……行かせていただきます!」
シークがブッキーをかざすと弓に変形して、光の矢を高速乱射!
さながら機関銃だぞ!
「レヴニードル・バラージッ!!」
集中砲火と飛んでくる矢の嵐にナーセは見開き、横へ飛ぶ。すると読まれていたか氷塊の『衛星』から散弾をばら撒いてきた。
シークいわく「ヒェピラア・アイスリンク!」ってた。
ナーセは器用に飛び跳ねてかわしていく。ビキキッと氷が道路を覆う。
「レヴニードル・シャインシャワー!」
今度は上空へ放ち、弧を描いて無数の光の矢が降り注いでくる!
「ヤバ! ってうわわっ!」
すると足がツルッと滑る。そう、氷魔法でナーセの足場をツルツルにして動きを阻害していたのだ。
降り注ぐ光の矢の雨が容赦なくナッセごと穿っていく。
ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!
「えぐいぜっ! アイツ!!」
シガレは肩を竦める。
「相手が近接オンリーと分かってるからこその戦い方だ。足場を奪い、上空からの攻撃で畳み掛ける。これでやられた創作士は多い」
「おー! アイツ無事だぞー!」
解説するユウをよそに、アオが歓喜と叫ぶ。
なんとナーセはマンションの三階外壁を足場に張り付いていた。
多少は光の矢を浴びてか衣服が裂けてて、左肩から血が滲んでいるが大ダメージというほどではない。
シークは少し見開く。
「最小限のダメージでかわした……?」
そして、煙幕が晴れた氷の床、光の矢で穿たれた無数の弾痕。そしてもう一つ爆発して抉られたクレーター。
「ああ。咄嗟に炸裂ダッシュで抜けたのですね。的確な判断です」
「ふうーヤバかった……。っていてて……」
マンションの壁からベランダにひょいと飛び移ってナーセは、血が滲む左肩に手を当てて屈み込む。
まともに矢の雨を浴びてたら一巻の終わりだった。
普通はそうなるはずだった……。
「恐るべき戦闘センス……」
シークは見上げたまま目を細める。
おそらく炸裂ダッシュは初めてだろうと推測。直感と閃き。それさえできなかったら今ので終わっていた。
このまま長引けばスポンジが水を吸うように成長していく。
前の戦いでもシュレンザの技を自分流にパクってた。
「……早めに倒さないと厄介な事になりそうですね」
コオオオオオ……! (雰囲気擬音)
ユウはそれを見て引きつる。
シガレは苦手そうに「アイツとはやり合いたくねーんだよな」と引いている。
バレントも苦い顔だ。
「あいつの頭脳戦はヤバい! あの威力値8000のシガレすら負かすし」
「俺を引き合いに出すなよっ!」
シークの雰囲気が変わった事に、マンションの三階ベランダにいるナーセはゾクリとした。
交差点で立っているシークが髪留めで前髪を左右に分けて、冷淡そうな両目をあらわにしたきたのだ。
「(成長させる)時間は与えませんよ! レヴシャベリン!」
弓で構えて、大きく長い光の矢、つまり光の槍を放つ。
危機感を感じたナーセはベランダから飛ぶ。いた所にズガアアァンとベランダが爆破されて粉々に!
シークは右手に竜巻の風魔法『衛星』を、左手に光球の光魔法『衛星』を浮かせ、まずは風魔法から放つ。
凄まじい烈風がナーセのいる範囲を荒れ狂う。
ビュゴオオオオオ────ッ!!
「ぐうううっ!!」
ナーセは乱気流に流されまいと、手すりにしがみつくしかない。
それを見計らってシークは威力特化に調整した光魔法の散弾をばら撒く。
低速散弾ではあるが、風魔法の烈風に乗ってナーセへ殺到する形に!
「レヴパウダー・タービュランス!!」
ドガガガッ! ドガッドガッ! ドガガッ! ドガガガン! ドガガッ!
周囲のマンションに爆裂の嵐が覆い尽くし、ナーセを追い詰める!
絶体絶命の危機、ナーセの左目の虹彩に浮かんでいた星マークがグニュグニュ変形を繰り返していた。まるで迷うかのように……。
ドガガガガガガガンッッ!!
「ナーセッ!!!」
もはや逃れられぬ絨毯爆撃に、キュリアたちは叫ぶ。
モリオンはワナワナ震える。
オガッサ、ドラゴーラは苦悩に満ちた顔で「もうダメだ……」と苦々しく呟く。
すると爆煙から光の槍が! シーク見開く!
が、冷静に横へ飛んでやり過ごして後方で爆裂! ドガアッ!!
「跳ね返した……??」
最初に放った「レヴシャベリン」は既に被弾してマンションを砕いた。後は低速散弾による爆撃のみ。
まるで真似されたかのような光の槍。
すると、マンションの隙間をガガガガッと何かが縦横無尽に飛び跳ねているのがシークには見えた。
それが飛び出す瞬間にシークは後方へ飛んで、弓から最速で光の槍を撃つ!
ナーセが道路へ斬りつけてアスファルトの破片が爆ぜ散る。
目にも留まらぬ光の槍を、ナーセは左目の“魔眼”で見切って僅か顔を傾けてかわす! ギャンッ!
「なっ!? レヴシャベリン・ファストブレイクを初見でっ!?」
刹那の間を見切れるなんてありえない、とシークは驚愕するも遅い!
ナーセも時間を与えずと、素早くシークへ接近して剣を振るう!!
「六連牙!!!」
咄嗟にシークは弓をかざすも一筋の軌跡に砕かれる!
六筋煌く軌跡がシークの頭上、右肩、左腕、右太もも、左太もも、腹を穿つ!!
強烈な一撃がそれぞれ部位を完全破壊!
「がっ!」
吹っ飛ばされたシークは後方のビルへスガァァンと身を打ち付けた。
ドン、と爆散して棺桶化。
「な、ナーセ! 二人目勝ち抜き!!」




