238話「最終決戦篇① 決戦ァ!」
オレは完全な『六道石』の力を解放したぞ!
ダウートによって引き起こされた事象が巻き戻されて行く途中で、広大な漆黒の宇宙に雄大な銀河系が視界に入っていた。
突然の閃光が溢れると元通りになった地球へ、上空ではアーチを描く太陽、超高速で緑とかビルとか巻き戻しされている。
徐々に高速巻き戻しがゆっくりになっていくと、元の時代の『カレー・マハル』前の平らな荒野に立っていたぞ。
澄み切った青空。燦々と照らす太陽。そしてミニ木星。
しかも大勢のダウート勢力とインド政府軍、そしてマジンガたち強豪と八武衆も元通り。
そして……。
「ダウート!」
時を加速する前の状態なので、ダウートは『カレー・マハル』の丸い屋根の上で立っている。
羽衣のようなスーパー聖剣は一瞬の内に霧散して、なかった事になった。
しかし未だ沈黙し、両目が影に覆われて佇むのみ……。
ダウート側の軍団も、これまで起きた事で戸惑いが走っていた。ざわ……ざわ……!
なにしろ、裏切られたようなもんだからな。
「あああ~~! ダウートさまァ~~!」
「ご無事でァ~~~~!!」
「元に戻ったけど……、ダウートさまは極楽浄土へ置いてけぼりしてきたんだよな?」
「何か深い考えがあっての事じゃないかァ?」
「考えてみろ! 俺ら『ウゴゴ木』にされたまま放置食らったんだぞ!?」
「一体どういう事ですかァ~~!!?」
案の定、納得いかないのが広がっていってダウートへ向かって言葉が次々飛んでいった。
チラッとコンドリオンの方を見ると、既に八武衆が彼の下にいた。
「おう! 説明しろよ! 俺たち家族じゃなかったのか!?」とサマァツ!
「私利私欲の為に、私たちはおろか本当の息子をすら利用し犠牲にし、あまつさえ始末しようとしていた理由は敢えて問うまい! 貴様は紛れもなく外道極まる男だ!」とウェールザ!
「もはや裏切られたも当然! 味方する義務も義理もないねェ……」とブラァーザ!
「母の形見も同然の、本当の息子を“悪鬼”呼ばわりしたのは許せない」とフシュール!
「……吾輩は己を見失いダウートに頼りすぎたようだ」とラジュタ!
「いかに私が寛容なロリコンといえど、目に余る私利私欲。本性を知ってしまったからについていけん!」とタツサダ!
フールニィはいつの間にか消えていた。
それに意を介さずコンドリオンは一歩踏み出す。
「父さん! 観念してください!」
それでもなお両目を影で覆い、沈黙するダウート……。ゴゴゴゴ……!
オレはどことなく不穏な気配を感じていた。
「まさか、悪循環にやられて廃人になってるとかじゃないよな?」
「なんとか言ってよね! このデカブツ!!」
オレが呟くと、リョーコは不満をぶちまけるように叫ぶ。
アクトとヤマミは静かに様子を見ている。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!!
動かぬダウートから恐ろしい威圧が徐々に膨らみ始めていた。
次第に大地がビリビリ小刻みに震えていく。
「あァ……。もう要らなァ……」
ダウートが歯軋りして、そう呟く。ビキビキ額に怒りのシワが刻まれていく。
怖気づくほど、尋常じゃない殺意が黒い稲妻となってバリバリダウートの全身から漏れている。
影に覆われていた両目をカッと見開いてきた。
「なにもかも要らなァァァァァァァァッ!!」
天を衝くほどの怒号!! 大地が大きく震え、烈風が吹き荒れた!!
ダウート勢力もインド政府軍も「うわああああああ!!」と煽られていく! 吹き飛ぶ人がちらほら!
ズン!!
ダウートが右足で踏み下ろし『カレー・マハル』に亀裂が走って行くァ!
ビシビシと数多のヒビが建物全体に広がっていく!
ズン!!!
四股を踏むように左足で踏み鳴らし、大地を揺るがすと、一気に『カレー・マハル』は木っ端微塵に破裂して倒壊!!
崩れ落ちていく破片! それに伴って降りていくダウート!
ズン!!!!!
両足で着地し、倒壊した瓦礫さえ弾き飛ばすァ!!
その爆ぜた破片が四方八方へ飛んでいく!
大勢の人は腕でかばい「うわああああああ!!」と、当たってくる破片に悲鳴を上げていく!
オオオオ……ッと立ち込める煙幕!
憮然とダウートは如意棒で一周するように振るって煙幕を散らす!
そして怒りを溜め込んだような凄まじい形相のダウートがギロッとこちらを血眼で睨み据えてきた!!
ビリビリと響いてくる威圧! 頬を汗が伝うほど戦慄する!
「俺ァ……地球から去る事にするァ……。そして太陽系の各惑星を渡っていく孤独な旅を生涯続けようァ…………。もはや大切な者も何もかも考えずに、気ままになァ」
「だ、だったら好きに出ていけばいいだろ!」
「そーよ! そーよ! これだけ悪い事しといて逃げるのもアレだけど!」
リョーコへ一瞥する仏頂面のダウート。やがてフッと自嘲する。
「最後に……貴様ら全員を殲滅してからなァ……!」
ド ン!!
「!!!!」
殺気バリバリでオレたち敵味方関係なく言ってのけるダウートの剣幕に、オレもビビりそうだ!
本気で皆殺しするって雰囲気だぞ!
「やる気かァ!!」
「地獄まで付き合おう!」
「やるしかないねェ……」
「……ああ」
決死を決めたサマァツ、ウェールザ、ブラァーザ、フシュールに制止の腕を左右伸ばすコンドリオン。
そして悲しげな顔で振り向く。
「すまない。こんな時になんだけど、父さんは僕に任せてくれないか?」
サマァツ、ウェールザ、ブラァーザ、フシュールはしばし間を置いて「分かった信じよう」とそれぞれ拳を突き出す。
本当の息子が覚悟を胸に、父さんと向き合おうとしているのだ。それを見守ろうと覚悟した。
そう察したコンドリオンは頷き、四人の拳とコツン突き合わせる。
「全てが終わったら、一緒に食事会でも開こう!」
「おう!」「ああ!」「約束したねェ……」「だったら焼肉がいいかな」
生きて帰る事を約束されてコンドリオンは一人、インドの戦士として歩んでいく。
そして真剣な顔のオレとアクトの横へ並ぶ。
ヒュウウウウウ……、過ぎ去る風が砂煙をさらう。
「「「決戦だァ!!!」」」
ド ド ンッ!!




