表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
236/410

236話「如来王篇⑩ 悪循環ァ!」

 ダウートの周囲は超高速で時が巻き戻っているぞ。

 上空で太陽の川がアーチを描いていたが、徐々(ジョジョ)に尾を引く円の連続体になっていく。それに(ともな)って昼と夜の点滅が表れていって遅くなっていった。

 やがて時間が通常へ戻って、ダウート一人が立つ場所は『カレー・マハル』前!

 砂煙が風に流れていく。


「だはははは……! これで、もう邪魔者などいないァ!」


 さっきまで大勢で戦争をしていたのに、誰一人いない。


 極楽浄土へまとめて送って、その大半が『ウゴゴ木』になってしまったからだ。ダウートが手にする完全の『六道石(りくドォせき)』がある限り、向こうは戻る手段を持たない。


「万が一の事もあろうから、処分しとかねェとなァ……」


 ダウートは『六道石(りくドォせき)』をグシャッと握り潰して、粉をパラパラ落としていく。

 六つが合体しているので、この状態で砕かれれば誰も復元はできない。

 もし一欠片(ワンピース)でも残っていれば、それを元に復活できるというのに……。


「まずは手始めに我が妻とディアルフからかァ……」


 両手を左右に広げ、念じると羽衣の形をしたスーパー聖剣から光の柱が立ち上っていく。閃光が周囲へ散らばっていった。

 シュ────ン、と世界の様相が形を変えていくぞ。



 すると大勢のインド人が「うおおおおおおお!!」と歓喜を上げて大音響していたぞ。

 いなくなったはずの部下を、いた事に改変したぞ。


 そしてダウートの前に“インド人顔”の女性が柔らかい笑みを見せていた。


「あなた……!」

「おお! 我が妻ラーナか!」

「どうしたの? 嬉しそうね。ふふっ」


 もう見る事が叶わなかったはずの愛しい笑顔に、ダウートはじんわり感激していく。死んだはずの妻がこうして元気で笑ってくれるのは夢のようだ。

 もちろん側でディアルフが「ニカッ」と笑う。

 ダウートは口元を緩ませて()()()()の頭を撫でる。


「ディアルフ! 待たせたかァ!?」

「ううん!」


 ディアルフの明るい笑顔に、ダウートは心を洗われた気分を覚える。

 ()()()()()()()()()()()なのだから……。


 コンドリオンもどこかに存在しているが、難病を抱えた孤児であって息子ではない。

 ダウートにとってはもはや興味もないクズゴミ。

 どこかで野垂れ死にしても気にしない。とっくに死んでるかも知れない。



「おう!! おかえり!」

「相変わらずだなマスター!」

「やるねェ……」

「黙れ」


 熱いサマァツ、冷静なウェールザ、寡黙なブラァーザ、厨二病フシュールもいた。

 もちろん極楽浄土にいるのとは別人。

 コンドリオンと(きずな)を繋げた記憶は存在しない。


「これで俺は────……!」


 パァン!

「!!?」


 突然、ディアルフの頭が爆ぜて血飛沫が舞う!

 ゆっくりと横へ傾いて地面に沈んでいくのを、ダウートは見開きながら呆気に取られる!

 横たわる首のない死体……。


「はーっはははははは!! 見たかぁ!!」


 なんとソロモォーン王が高らかに笑いながら、岩山の上に現れたぞ!


「貴様ァ……!」

「へへ! 今度はお前の番だ!! 死ね!」


 ソロモォーン王の頭からボコボコと巨大な赤いタコに膨らみ上がっていく!!

 その無数の触手には数多の目玉がギョロリと(うご)き出す!

 タコタコタコタコタコタコタコ、と奇妙な反響音が広がっていく。


「これぞ我が誇るべき偶像化(アイドラ)! これが全ての魔術を極めしソロモォーン王なり!!」


 巨大な赤いタコは無数の触手を掲げて、数多の目を輝かせた! カカッ!

 広範囲を爆裂させ、大地を大きく穿つほどに破壊が及んだ!

 それに対し、ダウートは怒りを滲ませ如意棒を振るう!


「不遜なる愚者を打ちのめせ!! 如意金箍棒(にょいきんこぼう)!!」


 しかし衝撃波で逆に如意棒が手から弾かれて宙を舞う! 前と違う! 自分が弱くなっている!? 一体なぜァ!?

 見開くダウートは動揺し焦るしかない!!


「ははははッ! 威力値15万3000では貧弱貧弱ゥゥゥゥゥッ!!」


 気付けば妻も血塗れで横たわっていて、サマァツ、ウェールザ、ブラァーザ、フシュールも同様だ。

 ダウートはその信じられない結果に憤る。


「『天網恢恢(てんもぉかいかい)』!! そやつはいなかった事にしろァ!! そして、我が妻と我が息子は殺されていないァ~~!!」


 光柱が天を衝き、周囲へ閃光が広がっていくァ!




「ダウート!! あなたはダメな男ね!」


 なんと豹変したかのような妻が傲慢(ごうまん)な顔で(ののし)ってくる。

 ディアルフはやせ細っていて虐待の痕が窺えた。


「ラーナァ! 何をしているァ!!!」

「どうもこうも、私たちをほっぽといて他の惑星行ってたんでしょ! さぞかし楽しかったでしょうねぇ?」

「パパ……助けて……」


 すると妻は癇癪(かんしゃく)を起こしてディアルフを張り倒す。

 なおも響く叩く音と悲痛な泣き叫びにダウートは冷や汗をかいて呆気に取られる。


 ディアルフは底抜けに明るくて笑いが絶えないような男だ。こんなんじゃない!


「ち、違うァ!! そんなものは望んでないァァァァァ!!」


 焦ったダウートは再びスーパー聖剣を発動させて、光の柱を生み出す!

 今度こそ理想通りに改変をしていく!

 優しい妻、明るい息子、そして強い自分!!


「……殺してやるッ!! 殺してやるゥゥゥッ!!!」


 なんと殺気立ったコンドリオンが現れて、恨みづらみと睨み据える両眼が(おぞ)ましい!

 ダウートは背筋に怖気が走ってしまう。ゾクッ!

 突然万覇羅弐(マハーラドゥイッテ)を発動して“異次元”攻撃を繰り出して妻と息子をボコボコに()ってしまう!

 血飛沫が舞い、グシャグシャな死体が血塗れで転がる!


「この“悪鬼”が何するァァァ!!」

「こんな地獄のようなインドに変えたお前を許さない!! 許さなァァァァァッ!!!」

 ド  ン!

「!!!」


 不治の病気に冒されて口元から血を零しながら、ダウートへの強い恨みを晴らさんと襲いかかってくるァ!!

 皮肉にも本物の“悪鬼”として!


「来るなァァァァァ──────ッッ!!!」


 再び『天網恢恢(てんもぉかいかい)』を発動して全てを真っ白に塗り替えた。


 ……しかし、どんな都合よい理想の世界に整えても、何かしら不都合なものがブチ壊してくる。それは延々と繰り返されていった。

 特に息子じゃなくなったコンドリオンが“悪鬼”として出てくる事が多かった。

 苦悩するダウートの思惑とは裏腹に、改変ループは彼を(あざけ)るかのように翻弄(ほんろう)し続ける。


「何故だァ!! 何故ァ!! そんなもの望んでおらなァァァ~~~~!!!」


 ダウートは悲痛な顔で叫び続けるしかなかった……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ