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223話「大決戦篇㉝ 息子ァ!」

 全くダメージを受けなかった無敵のディアルフが、ついにコンドリオンの『万覇羅弐(マハーラドゥイッテ)』による攻撃で初めてダメージを受けたァ~~~~!!

 トゥーン特有の奇妙なアクションも“異次元”攻撃は避けられないァ~~!


「ゲフッ、ゴホゴホゴホゴホッ!」


 ディアルフは()(つくば)って地面に向かって吐血を繰り返す。しかし様子がおかしい。




 そんな様子を映像で見ていたダウートは徐々に動揺していく。

 ディアルフとの過去が脳裏に思い返されていく──……。


 元々はスラム街で捨てられたインド人の赤ん坊。


「ひひひっ」


 一人何もできず理解もしていない赤ん坊なのにニカッと笑っていた。

 気紛れに歩いていたダウートはそれを抱えた。

 周囲を見渡すと、寂れた廃墟のようなスラム街。死んだような目をしたやせ細ったインド人が多く。子供でさえ諦めきっているのが窺える。

 誰もこの赤ん坊を気にする気配は見えない。


「今日から……お前は俺の息子だ! ディアルフ! それがお前の名前だ!」

「あっはっはっはっはァ~~!」


 掲げられたディアルフは無垢に笑ったァ!



 そして五年……。

 ディアルフも五歳。同年代のサマァツやウェールザを友達として遊ぶ年頃。


「『如来王(ごときおう)』におれはなる!」

 ど  んっ!


 ディアルフが初めて自分の夢を語った。

 小学生ぐらいのフシュールやブラァーザも微笑ましく笑う。

 いつも父であるダウートを追いかけるように、夢までも真似ていた。



 そして十五年…………。


 ダウートは太陽系へ回っていったりと地球を留守する事が多かった。

 それでもディアルフはサマァツとウェールザと不自由しない生活を送っていて充実していた。


 ドゴォン!!


 サマァツとウェールザが吹っ飛ばされて、地面を滑って転がったァ!

 見守っていたフシュールとブラァーザは目を丸くした。汗を垂らす。


「あっはっはっはっはっはァ~~~~!!」


 なんと無傷のディアルフが両拳を突き上げて歓喜!


「……まさか無傷で、サマァツはともかく、あのウェールザをも!?」

「ともかくってなんだよ!!」

「やるねェ……。さすが如来王(ごときおう)を夢にするだけはあるねェ……」


 しかしディアルフは「いや!」と首を振る。

 ブラァーザは眉をはねる。


「おれの父さんが『如来王(ごときおう)』になるまでは死なねェ~~~~!!」

 ど  んっ!!

「!!!?」


 一同は驚いて竦んでしまう。

 大きくなって冷静に将来を考えるようになったのかは分からないが、夢を自分から父に移したのは初めてだった。

 その頃はまだ誰もが、一生を懸けてでさえ如来王(ごときおう)になるのが難しい事を知った。もしくは「まず父さんから」と謙遜(けんそん)する言葉だと思っていた。

 影で聞いていたダウートも腕を組んで黙りこくっていた。


 ダウートとしても誇らしい息子だ。

 同年代の誰よりも天才で強く、一番如来王(ごときおう)に近い男とさえ思う。

 そして謙虚で思慮深く将来を見据えている。


「なら……、俺は『如来王(ごときおう)』になにがなんでもなってやるしかねぇなァ……!」


 息子の為に! 父親として! 強く堅く決意したァ!! 眼光をギラッ!



 ────その後もディアルフは無敵の快進撃を続け、全くダメージを喰らわない男として知名度を轟かせていったァ!


「…………全てはこの為にァ!?」


 ワナワナ震えて絶句するダウート。

 既に長く生きられない難病を背負っているからこそ自分の夢を諦めて父に譲った。

 その上で、楽観的に笑い続け苦しんでいる素振りを見せない。

 ダメージを全く喰らわない事で寿命を延ばしていた。


《おれの父さんが『如来王(ごときおう)』になるまでは()()()()~~~~!!》

 ど  んっ!!


 陰ながらに苦心して生き抜いていたのだと“今”知ってしまった。

 顔面に手で覆って涙をとめどもなく流し「このバカ息子が……!」と呟く。





 コンドリオンは絶句し、()(つくば)って吐血するディアルフを見下ろしている。

 しかしディアルフは顔を見上げて「今のは効いたぜァ~~!!」と陽気に吐く。


「……あなた、もう」

「せっかく追い詰めたのにボーッとしてんなよァ~! チャンスだろうがァ~~!」

「ディアルフ……」


 何事もなかったかのようにピョコンと跳ね上がる。

 口元の血を手首で拭い、ニカッと笑う。


「さぁ~~! 続きだ! 続きだァ~~~~!!」


 回転する足で駆け出すが、コテンと転がってしまう。

 それでもヒョイと上半身を起こして「へへへ! (つまず)いちまったァ~」と笑った。立ち上がってズボンをパンパン叩いてファイティングポーズを取る。


「ドジッたりするギャグは、もうナシだァ~~~~!」


 コンドリオンは悲しげに見つめるのみ。


 ディアルフはいつもの通り明るく笑い陽気に振舞っているが、手足が震えていて本当は必死に堪えているのが窺える。

 正直言って満足に戦えるかさえ怪しい。

 コンドリオンが当てた攻撃で既に勝負がついたといっても過言ではない。


「もうそこまで進行しているなら、死に急がなくてもいいでしょう」

「はぁ!? バカかおまえ! おれを倒さなきゃ父さんへ行けねぇだろうがァ~~!!」

 ド ォ ン!!

「!!!!」


 逆に叱責してくる!

 ディアルフはキッとコンドリオンを睨み、背後の『宮殿境門(マハル・ドワール)』へ指さす。


「おまえはコイツを壊して父さんを止めるんだろ!!」

「それは……そうですが……」

「何やってんだァ! おまえェッ!!」

 ド ォ ン!!


 その目ェ血走る形相、凄む剣幕に、コンドリオンは怯む。


「おれと戦え!!」

「そんな体で戦えば……本当に死にますよ!!」

「甘いんじゃねェのか?」

「!!!!」


 ディアルフの突然の真顔。


「人は死ぬぞ」


 諭すような真剣な顔で言われ、コンドリオンは息を呑む。

 はぁ、とディアルフはため息。

 さっきまでバカみてーに明るく笑っていたのが一転してて不気味にさえ思える。


「おまえが戦わなくても、おれは戦う! 父さんが『如来王(ごときおう)』になるのを見届けてやるまで!!」


 ディアルフは駆け出して、必死の形相を見せて、拳を振るう!


「それがおれの……()()の夢だァ~~!!」

 ドゴォン!!

「ブふぉ!!」


 力いっぱいのパンチがコンドリオンの頬を殴ったァ!!

 向こうへ吹っ飛ばされてドッガアァァンと瓦礫を散らしたァ!


 まるで血が繋がった息子だと思えるほど感情こもる言動だァ~~~~!!

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