213話「大決戦篇㉔ 女傑ァ!」
アウランガーバード町でのエローラ石窟群!
列柱が並ぶ、灰色の神殿のような寺院群は南北二キロメートルにも及ぶ世界遺産だ!
ガギィン!!
リョーコの斧とウェールザの紅い剣が激しく激突ァ!
その衝撃で地盤が粉々に捲れ上がって四方八方に吹き飛ばされていく! のみならず灰色の神殿も余波を受けて粉々に瓦解していく!
二人はバッと迅速に離れ、縦横無尽と駆け抜けていって睨み合い!
ウェールザの流れるようなピンクの髪、そして凛々しい顔!
そして紅い剣を振るい、それをリョーコはかわす! するとウェールザは両足から紅い剣を具現化させて器用に振るってくる!!
ガギギギギギンッ!!
逆立ちしたまま素早い動きで両足による二刀流でリョーコに剣戟を見舞う!
今度はアクロバットな動きで両手に二刀流を具現化させて、四刀流で剣戟を浴びせてくるが、リョーコは斧一本で粘り強く捌ききっていく!
ナッセ以上にアクロバットな体術で複数の剣を自在に操って戦ってくる!
しかもパワーがあると、リョーコは察した! でも負けられない!
「せいやーっ!!」
オーラ纏う渾身の一撃が来ると、ウェールザは危機感を帯び飛び退く!
そんな反応に、リョーコは勘が鋭いわね、と内心舌打ち。
グガアァァァァァァアンッ!!
斧のひと振り一撃で眼前の神殿を木っ端微塵に吹き飛ばす!!
ウェールザは「なんという威力だ」と汗を垂らす。
巨乳ながら身のこなしも悪くない。斧一本だけで複数の武器持ちの手数にも負けていない。相当な場数を踏んできたのだと察した。
「……小野寺リョーコ。平和ボケした日本には不相応の女傑だ」
「どうもー! アイドルで斧女子やってますんで!」
巨乳美女は不敵に笑み合う。
ウェールザは彼女を強敵と認識を改めた。しかし潜在力がどの程度か不明。彼女は普通の人間。ナッセやアクトほどの力があるとは思えない。
今の力のままで押し切れば言う事はない。あくまで時間稼ぎが目的。
「でも舐められたもんだわね」
「む?」
時間稼ぎだと、リョーコはとっくに見透かしていた。
「ちまちまはここまでにしたらー? でないと今度真っ二つだから!」
斧を肩に乗せてリョーコは余裕と言ってのける。
さっきまではほんの小手調べ。それを見抜いて敢えて合わせてただけか、とウェールザは敵ながら頼もしいと認めた。
もはや無粋だったな、と自嘲する。
「八宝武陣ウェールザとして恥じない戦いを見せよう! 万覇羅!!」
ド ン!!
ドクンドクンと全身が桃色に染まっていく! 周囲に桃色の湯気がシュボボボ!
艶が走って一層美しい女体をあらわにしてきた!
胴体にフラフープのように紅い輪を具現化、そして外側に刃が放射状に伸びる!? 胴体、右腕、左腕にそれぞれ三つ!!
リョーコにとってアクトと同様に『万覇羅』を発動できる相手と戦うのは、これが初めて。
「強敵と認めた者にしか見せぬ具現化系武器『羅刹輪剣』!」
リョーコは未知の強敵にピリッと緊張する。
いつもナッセやアクトが強敵を倒していくのを見てきた。それにひきかえ自分が力不足なのが歯がゆいと思い知らされた。だからこそ、この戦いだけは自力で勝とうと意気込んだ。
グッと斧を握る手に力が込められる。
「リョーコ! 行くぞ!!」
なんと紅い輪剣が回転してシュバババッと刃を連射してきた!!
その弾幕をリョーコはガガガガガッと斧で弾いていく! するとウェールザが近づいてて、三つの輪剣を振り回して幾重の斬撃を放つ!!
ズザザザザザザンッ!!
周囲の神殿が細切れに斬り散らされ、烈風で流されていく!
リョーコは飛び退いて、遥か後方で着地。しかし衣服がところどころ破けてて血が滲む。
苦い顔でウェールザを睨み据える。
ナッセ以上に手数を更に増やして戦うタイプ、と厄介だと感じつつ前屈みに構える!
この手のタイプを仕留めるにはパワーで押し切って砕く!
「いっせーのォ……!」
斧を引いて地響きするほどにエーテルを収束させていく! ゴゴゴゴ!
「一撃に懸けるかッ!? よかろうッ!」
素早く間合いを縮めて三つの輪剣を振るう!
その好機を見極め、リョーコはエーテルを溜めた斧で一気に横薙ぎする!
「スラッシュスレイヤーッ!!」
巨大な三日月が高速で迫り、ウェールザは予想外と見開き、真上へ飛ぶ!
ズザザザザザザンッ!!
遥か向こうまで障害物を上下に両断して、三日月はすっ飛んでいった!!
ズズズズン、と瓦解して煙幕が立ち込めたァ!
ウェールザは後ろを見やり、その威力に呆気に取られた。もしジャンプしてかわさなければ輪剣ごと胴体を真っ二つにされていただろう。
「もう一丁!」
飛びかかるリョーコにウェールザは見開く!! 速い!
咄嗟に「くっ!!」と、三つの輪剣をかざす!!
「クラッシュバスタ────ッ!!」
ゴゴォン!!
振り下ろされた斧の一撃は三つの輪剣を砕き、深々と大地を窪ませて、地盤沈下し周囲の建物が連鎖上に崩れてガラガラと破片が沈んでいく!!
その余波で吹っ飛ばされるウェールザは「くっ!」と呻きつつ、受け身を取って着地!
「ここまでとは……!?」
巨大なクレーターの光景にウェールザは汗を垂らし息を呑む!
当たれば一撃死! それだけの威力がある!
「フッ! 面白い!」
ウェールザは快く笑う。
使い物にならなくなった三つの輪剣が消え、今度は右手に大きな赤い巨大剣を具現化させた。盾のようにも錯覚される幅広い刀身。重々しい見た目とは裏腹に軽々と振り回す。
「今度はパワータイプで、って事ね」
リョーコの目には、ナッセの太陽の剣を彷彿させて見えた。
変幻自在に具現化する武器を変えて臨機応変に戦うタイプ。
少しナッセと戦っているような奇妙な感覚を覚えたぞ。
「お前に合わせよう。今度は『強羅大剣』で力比べだ」
「望むところよーっ!!」
二人とも大地を蹴って互い得物を交差させてガガァン!!




