207話「大決戦篇⑱ 嫉妬ァ!」
タツサダとものすごーく下らない口論していた……。
「あ────ッ! ダ────リンッ!」
聞き慣れた声に振り向くと、なぜかエレナが手を振って走ってくるぞ。
異世界転生によってガチで幼女の彼女は、ピンクのベリショとポニーテールでキャミソールに明るく元気な笑顔が特徴だ。
「お、おまえはっ!?」
なんかタツサダ驚いているみてーだ……?
って言うか!
「おまえ、なんでインドにっ??」
「なんか日本でインド人いっぱいになっててッ、インドの方向からなんか響いてたから来たんだよッ」
「……待て待てっ! インドを囲んでいるマッハ級の嵐とかあったろ?」
「メタル化で弾いたッ!」ペカ──ン!
全身を金属化して反射光を煌めかすエレナ。
そこまで弾くのかよ!? 多分インド人化も弾いた? さすがにチートすぎねぇ?
「桃園シレナちゃん!!?」
思わずタツサダの声に振り向いてしまったぞ。
なんかプルプル震えだした。懐かしんでいるような感じ?
「シレナ?? 祖母の事ッ??」
エレナは首を傾げる。
「な……、祖母??」
「そういや、タツサダってタツロウさまの父であるタツゲンの弟なんだろ?」
「む、当たり前だろう?」
訝しげにこちらを見やる。
ヤマミは細目でため息。
「そんな昔なら、シレヌって人はもうお婆さんなんじゃないの?」
「うんッ、祖母は足腰が弱って背が曲がってるから隠居してるッ!」
そりゃそうだよな。
当時は園児(5)でも、数十年も経ってりゃ婆さんなっちゃうよなー。祖母ってたから結婚して子孫を作って、現在のエレナが生まれてきたってワケだし。
「な、な、なんという事だァ────────ッ!!!」
タツサダはあまりのショックで頭を抱えて仰け反ってしまったぞ。しかも後方の大地に頭上をつけてブリッジする体勢になった。
すかさずガバッと前屈みに戻って「し、信じられん……!」と憤っていく。
「おい! シレナちゃんは、私の事を言っていたか? 私はタツサダだ!」
凄い剣幕で聞いてきて、エレナはビクッと驚きつつ「な、なーんもッ」と首を振る。
タツサダは「なん……だと……!?」と汗を垂らして二度目のショックを受けたぞ。
腕を組んで見守っていた辰衛門は呆れるようにため息。
「園児はそんな覚えていないなりぞ……。まだ五歳じゃ致し方あるまいぞ」
「ぐぬぬぬ!!」
なーんかタツサダ勝手に悔しがってる。
「でも会えて良かったッ!!」
なんと不意に飛びつき、オレの首に腕を回してきてホッペにチュッ!
憤慨したヤマミが「どさくさ紛れに何やってんのよっ!!」とエレナの胴体を掴んで引っ張る。オレから離れまいとメタルだいしゅきホールドで踏ん張るエレナ。ぐぎぎぎと力比べ。
オレも首に抱きついているメタル化された腕を解こうとぐぎぎぎ!
それを見てしまったタツサダは白目で憤怒の形相ァ!! ギャンッ!
その拍子に驚いたエレナがオレからすっぽ抜け、ヤマミはそのままズルズル引っ張って後退。
「羨まけしから────んッ!! 万覇羅弐ァァァァァァッ!!」
歌舞伎で言う隈取のように目の周りから眉間の上と耳に及ぶ。
全身の筋肉のラインが装甲に見えるように浮き上がり、そのラインに沿って剣と青色に煌めき、黒く染まった剣の輪郭が青色に輝く。
腕や胸の中央には太陽を模したかのようなヒビ割れの紋様が浮かぶ。
ド ンッ!!
「このロリ充めが!! この私が爆散させてくれる────ッ!!」
そう吠えるタツサダは白目で憤怒の形相2! ギャアアンッ!
大地が爆発したと思ったら、エーテ龍纏ったままオレへ突っ込んでくる! 速ッ!! 剣が振るわれる!
オレは瞬時に空中を跳ねるように飛んでかわす。そして空振りされた剣で衝撃波が放たれて土砂の津波が向こうまで押し寄せてドゴオオオォン!!
「な、なんという破壊力だ!」
「輸血してるとはいえインド人ってモノホンのバケモンじゃねーか!」
タツロウさまとアッキーは驚いているぞ。
「逃さんッ!! お前だけはァァァァッ!!」
着地したオレを追っかけて、エーテ龍纏うタツサダが斬りかかる!
オレは危機感に焦り、足元にポコポコと花畑を広げて背中から白い羽が六つ浮かび、銀髪がロングに伸ばす! 目の虹彩に星マークが浮かぶ!
全身からフォースを嵐のようにブオオッと放射して、タツサダを怯ませた!
ギィンッ!!
白い太陽の剣で、タツサダの剣を受け止めたァ!
その衝撃で地盤が爆ぜて、土砂の津波を波紋状に広げ、大きくクレーターに窪んでいく!
「なっ、なんだとッ!?」
「ナッセも変わった!?」
タツロウさまとアッキーは驚き戸惑ったぞ。
辰衛門は腕を組んだまま「ついに妖精王に変身したなりぞ……」と呟く。
なぜなら『13話「先祖成仏……! そして更なる真相!!」』で知っているからだぞ。メタァ!
「ぬう!?」
後ろへ飛び退き、タツサダはオレの変貌に驚いている。
泡を吹くように足元の花畑がポコポコと咲き乱れ続けている最中で、ファンタスティックに妖精の羽を背中に六つ浮かせている奇妙な風貌。
明らかに人外だ。
「このまんまじゃ勝てねーから、妖精王に変身したぞッ!」
更にフォースを激しく噴き上げて、大地をゴゴゴゴゴッと揺るがしていく!
吹き荒れた花吹雪の嵐に、タツロウさまとアッキーは「うわああああ!!」と煽られそうになる。
「私も妖精王よ!」
な、な、なんと! ヤマミも漆黒の花畑を広げ、六つの羽を浮かせてきた!?
そしてエレナへニヤリと目配せ。
なんか察したエレナは「はッ! ダーリンは私のモノと言いたげッ!?」とぐぬぬ悔しがる。ヤマミはフッと得意げに笑む。
ポカーンとタツロウさまとアッキーは二人の妖精王に目を丸くする。
「お、おい……! ナッセの彼女も妖精王とか……!」
「う……、うむ…………。最近の分家はとんでもないモノばかりじゃわい」
本家の二人は揃って息を飲む。
もはや天上の世界にいるかのような気分だろう。
「俺は……あんなバケモンにケンカ売ってたのか……」
今更知ったアッキーは冷や汗たっぷり青ざめてガクブルしていく。
ダイの大〇険の竜魔人バ〇ンにケンカを売るようなものだ。怒りを買えば秒で灰にされる。そんなイメージで恐怖するしかない。
ナッセ当人は甘いので、そんな気はないっぽいが。
「……俺はもう……ケンカ売らん…………」(人造人間終盤のベ〇ータ風に)
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
オレとタツサダは静かな戦意の眼差しを向け合い、大地は震撼し続け、岩礫が舞い上がっていく。
気力を爆発させるように「おおおおおおお!!」「だああああああああ!!」と気合いを吠え合って、周囲が台風のように烈風が荒れ狂った!!
そして互い、大地を蹴って爆発! 音速を超えてオレとタツサダは剣を振るう!
ド ン!!
大地のみならず上空の雲までも真っ二つに割るほど、凄まじい衝撃波が轟いた!




