185話「六界篇㉑ 極めし者ァ!」
シュゴゴゴゴゴォオ────────ッ!!
万覇羅弐アクトは全身から赤い気流を噴火のように噴き上げ続けていた。
天然パーマの黒髪が逆立ち、隈取りが彩る形相。
全身の筋肉が膨れ、そのラインに沿って赤く煌めき、手に持つ黒く染まった刀の輪郭が更に赤く輝く。
《これが……万覇羅弐。ダウートさまと八武衆以外に発現させるヤツァいないと思ってたがなァ……》
征観王はスラリと大きな刀を引き抜いてきたぞ!?
黄金一色の巨体で、神々しい風貌。されど侵略者に対して憤怒の形相を見せている。
ド ォ ンッ!! (二人が対峙している強調擬音)
《地獄道を統治する立場ゆえ、誰も歯向かうヤツはおらぬ。二度と刀を振るう事はないと諦めもあったがなァ……》
「心配すんなァ! もっと刀を振るえるように、木星ァ送ってやらァ……!」
ニッとアクトは不敵に笑い、征観王も釣られるようにニッと笑う。
次の瞬間、二人共鬼の形相にカッと変貌し、互いの刀を交差させたァ!!
ガキキンッ!!
マッハで吹き抜けていく衝撃波! 大地を一文字に裂きァ!! 遥か上の大穴を更に巨大にするかのように崩しァァァァ!!
バゴオオォォォン!!
砕けた岩盤が落下してきて、煙幕を立てながらドドドドッと降り注いだァ!!
獄卒鬼はと慌てふためく。
「ぎゃあああ~~!!」
「危ねェ~~!!」
「なんてこったァ~~!!?」
「あの二人がぶつかった途端、天地が裂けたァ~~!?」
崖崩れから逃れようとモブどもは奔走する。
落ちてくる大岩を足場に征観王とアクトは飛び回り、再び、三度、四度と斬り合って交差する刀の衝撃でガンガンガンと周囲の岩を木っ端微塵に砕いていく!
アクトのガムシャラなようで鋭く正確な斬撃だと、征観王は見抜いていた!
それこそが彼の極めた剣技だと!!
《だが、この程度極めたとはおこがましい!!》
激烈に振るった巨大な刀がアクトを弾いて、後方の断崖絶壁にバゴーンとぶつけた! 岩の破片が四散!
しかし即座にアクトはシュポーッと赤煙の噴出で抜け出す!
《極めたのは何もお主だけではない! 我もかつて同じように剣技とは何かを追求し、その死闘の果てに極地を見出して極めたのだ!》
「オメェもかよ……!?」
《うぬは井の中の蛙大海を知らず! 極めたのが主だけと思うな!》
征観王は巨大な刀の切っ先を向けて語気を強めた。アクトも「!!!」と驚く。
《この黄金の身は常時『万覇羅弐』を発現させている『神格化』なーんじゃ!!》
ド ン!!
な、な、なんと!? 神格化とは、常に万覇羅弐をしているという昇華!?
この後も説明させると、これを極めるには何十年もの厳しい修行の果てに得る賜物。
インド人最高地点である万覇羅弐は従来興奮状態になっているが、それを徐々に慣らして日常生活ができるまでに落ち着かせるようにならなければならない。
《我を含む六道界全部の“大王”はこれを極めたのだ!》
ド ン!!
「!!!!」
あの“馬頭王”も“千手王”も“阿修羅王”も神格化して、“大王”として各世界を統治していたのだッ!!
……とまぁ、完全な後付け設定なのはゴメンなーんじゃw メタァ!
《故に、我も見せてやろう! 極めた剣技をな!》
「っち!」
《大地を鮮血で染めるがごとく憤怒で悪を断つ『赫地断罪流』!! 見せてしんぜよう!》
アクトは緊迫して「!!!」と体が強張る感覚を覚えた!
一気に征観王の威圧が膨れ上がったのだ!! 他の“大王”とは格が違う!
《断罪流!! 骨折消沈残ッ!!》
瞬時に間合いを詰め、征観王は飛び膝蹴りをアクトの脇に炸裂!
バギォ! と鈍い音を立ててアクトは「!!!」と屈む、その怯んだ隙を突いて征観王は大刀を袈裟斬りしてザンッ!!
左肩から右脇まで裂傷が走り、鮮血が噴き出す!!
アクトは苦い顔で「肋骨何本かイッちまった!」と苦悶。
コンドリオンはこの技の術理を見定めたぞ!
まず瞬時に敵の脆いと思われる脇腹へ膝蹴りをかまして肋骨折る事で、意気を消沈させて弱った所を袈裟斬りで仕留めるという恐るべき剣技!
しかも肋骨を折られれば、今後の戦闘で戦意を保つのは難しい!
初動で仕留めれば良し、仕留め損なっても戦意を鈍らせて良し、まさしく万能の剣技なのだ!
(ネタ技なのは重々承知しております故w メタァ!)
《これで終わりだァ!! 断罪流!! 破断両断禅!!!》
やや両足を開けたようなドロップキックに、アクトは瞬時に刀を振るう!
しかし征観王の両足はバチーンとアクトの両腕を挟み込んでミシメシ締めつけ、振り上げていた大刀を一気に振り下ろす! それはアクトの頭上をかち割ったァ!!
ザギアンッ!!
「!!!!!」
獄卒鬼は「やった!」と言わんばかりに笑む。
「ザマァ~~!!」
「いきなりこの剣技で封殺してしまいましたね!!」
「ウオオ~~! やはり征観王は無敵だァ~~~~!!」
「かつて昔に現れた強敵もこれに敗れ去ったな!!」
おにああああああああああああっ!! (歓声擬音)
コンドリオンはその術理に戦慄を感じた
まず両足で万力のように敵の両腕を挟んでバキバキに砕いて、そのまま大刀を振り下ろして頭上を割る。
大抵の敵はこれで封殺されて、絶命してしまうのだァ!
まさしく完璧な封殺剣技なのだ!!
(ネタ技なのは重々承知しております故w メタァ!)
しかし征観王は《ムッ!》と顔を曇らした。
挟み込まれた巨大な両足をギギギと開いていくアクトの両腕、そして間一髪かざしていた刀で頭上への斬撃を止めていた。
「あァ……! それで勝てると思われたんならァ……心外だァ!」
《なっ、なんという膂力ッ!! 一体どこから……!?》
脅威を感じ取り、後ろへバッと飛び退く。
あのまま締め付けていたら、鋼鉄以上の硬度である両足すら斬り落とされていたと強いイメージを叩きつけられていた。それだけアクトから感じる猛烈な戦意は凄まじいぞ。
「あァ……! 相棒の夢を守るのに理由はねェなァ!!」
ド ン!!
《!!!?》
征観王は、アクトから夜叉が如し威圧を感じ取ったァ! ゾクッ!




