161話「開幕篇⑩ 一瞬で全滅ァ!?」
オレが今まで戦ってきた彼らの強さ。そしてその総攻撃がどれだけ凄いか分かる。
その上、スピリアとカイガンの敵の動きを封じる技で四首領ダウートは無防備に晒された。立ち込める煙幕が晴れてきたら、ボロボロで仰向けに倒れている姿が容易に想像できる。
未だ威圧も戦意も全く感じないからこそ余計不安だ。
あっさり倒れていたら、どんなにいいか……。心音が高鳴っていく。
「……超新星世代がどれほどか、受けてみたがァ」
一同は身が竦んだ。
徐々に威圧が巨大に膨らみ始めた…………。わざと抑えていたのか……。
煙幕に巨大な人影が薄ら浮かび上がってくる。
「この程度かァ……?」
平然とダウートの強面が煙幕の中からドンと現れる!
しかも、前ほどと容姿が異なっていた! オレもリョーコも絶句する!
なぜなら、見慣れたアレと酷似していたからだぞ!
ターバンから漏れた黒髪が放射状に逆立っている。目尻近くから頬まで黒墨が二本ずつラインを引く。更に半裸となっている上半身にも黒墨のラインが紋様として幾重に走っていて、腕や胸の中央にはヒビ割れの様な紋様が浮かぶ。
全身を纏うような湯気も透明な赤色に変わり、激流が凄まじい熱気を放ち噴火のように噴き上げ続けていた。
シュゴゴゴゴゴゴゴ……!!
「なにこれ!? アクトの万覇羅弐と同じじゃないのっ!!」
「……同じインド人。できるだろうと薄々は勘づいていたが」
四首領に匹敵するダクライを倒した万覇羅弐のアクトの強さを知っているからこそ、恐ろしい!
そう、この万覇羅弐によって、頑強に防御力を上げて全ての攻撃を跳ね除けていたのだ。全くの無傷とは思いも寄らない。やはり四首領はケタが違う!
「アクトの読みは間違ってなかったぞ……」
「やはり控えておいて正解だったNA! 攻撃だ!!」
リゥテムに従って地竜神アース・オブ・カタストロフが巨大な拳を振るい、棒立ちしているダウートの顔面に殴りつけた!
その余波で足元の岩盤が粉々に剥がれ、後方へ吹き飛んでいく!
しかし! ダウートは沈黙したまま棒立ち!
「く……! 思った以上に頑丈だNA!」
リゥテムは苦い顔をする。
何を思ったのか、周囲で浮かぶ【豆腐】20個をモグモグ早食いしていく。すると地竜神アース・オブ・カタストロフは全身からフォースを漏れ出し、両目を輝かせて「ウオオオオン」と吠えていく。
両拳に稲光を伴って光球が膨らんでくる。
「【豆腐】を20個食べる事で【地竜神アース・オブ・カタストロフ】の効果を発動するZE! この時、決闘力は無限になるZE!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!
【地竜神アース・オブ・カタストロフ(古代決闘ver)】
神属性・竜神族・レベル12・決闘力∞ ドン!
「【地竜神アース・オブ・カタストロフ】の攻撃!! ゴッドDEストライクブロー!!!」
地竜神アース・オブ・カタストロフは両手を組んで、その両拳で突き出して極太光線を放つ!
大地を割りながら、稲光の螺旋を伴ってダウートへ一直線と軌跡を描く!!
それでもダウートは動く素振りを見せない!?
「奇跡Cランクの『古代決闘』かァ……」
直撃寸前、ようやく動き出したダウートは両端に金色の輪がはめられた長い赤い棒を掲げていく。
「驕れる巨人を叩き潰せ!! 如意金箍棒!!」
その如意棒を垂直に振り下ろす!!
見えない何かに叩かれたように、極太光線もろとも、地竜神アース・オブ・カタストロフを大地に張り付けるようにペチャンコに押し潰し、巨大なクレーターに窪んで亀裂が四方八方に広がっていった!!
大地震と共に破片が舞い上がり、粉塵を噴き上げた!
「がはッ……!!」
リゥテム、見開いて盛大に吐血しながら前屈みに沈んでいく。
自ら召喚したモンスターが粉砕された事でダメージを受けたか……。
他のモブ参加者は口々に「なんとあの魔神のようなのが一瞬にして潰れたぞ!」「うわぁ~~!!」「なんてこった!!」「信じられねぇ!!」「決闘力が無限なのに四首領には効かないのかァ~!」「嘘だろォ!」と騒ぎ出したぞ!
某海賊漫画みてーに、解説気味な悲鳴はさておいて……。
如意棒を手に、仁王のように聳える四首領ダウートを前にして、オレは顔を青くして手を震わせている。
無敵とも思える憤怒の明王にも錯覚してしまう。
間違いなく威力値は一〇〇万級!
ド ン!!(強調擬音)
それでもカッカしているマジンガたちは怯まない!
「うろたえるな!! まだ、まだだッ!!」
「へっ!! 痩せ我慢しているだけだろーァ!!」
「だべ! こんなん効かねぇはずさねぇだよ!」
「貴様はこのオレが深淵の闇に葬る!!」
「ジャオウ! 気が合うな! 同感だ!」
「やらねばやられるねー!! 全身全霊全力でやらせていただくねー!!」
「同じく!!」
再び総攻撃を仕掛けんとマジンガたちが一斉に飛びかかる!
最大最強の技を繰り出さんとするのをダウートは見据え、眼光から稲光が走る!
「大嵐に吹き荒れるほどに舞え!! 如意金箍棒!!」
ダウートは如意棒を振るい、巨体で回転しながら豪快に踊っていく!
すると旋風が轟音と共に吹き荒れていって、足元の大地を砕いて破片を巻き込んで、天と地を繋ぐ巨大な竜巻が猛威を振るったぞ!!
まさに天変地異!!
「うわああああああああああああああああああああ!!!!」
なすすべもなくマジンガたちは竜巻に巻き込まれ、暴風に流されていく!
それでもなお竜巻は稲光を迸らせて猛威を振るい続けていた!
オレは掌をかざして「攻撃無効化ッ!」と、リョーコを庇った。
「愚者どもよひれ伏せ! 如意金箍棒!!」
ダウートが如意棒を縦にして地面を突くと、広範囲に超重力が及んでマジンガたちを大地に埋めるほどに墜落させた!
ゴゴゴゴゴ、と地響きで大地が震えながら陥没を繰り返していく!
そして収まった頃に粉塵が舞う。
その容赦ないダウートの攻撃に言葉を失ったぞ……。
マジンガたち、血塗れで横たわったままピクリとも動かない。
まさか一瞬にして全滅だと──────!?




