156話「開幕篇⑤ 大騒ぎだァ!」
カレーフェスティバルは大賑わいであった。
オレは驚いたのだが、まさか本家の総統タツロウとアッキーが狂ったようにカレーラーメンに夢中でハフハフズルズルバシュシューと食らっているのを見かけたぞ。なんで来てんだよ。
とは言え、あんなにカレーラーメン中毒だとは……。
「フハハハッ!! やはり本場のカレーは美味しい!!」
マジンガまでいるぞ。大笑いして飲み物のようにカレーを一気飲みだ。
それからジャオウがスピリアに束縛されながら一緒にカレーショコラケーキを「あ~ん」で食べさせられて、辛味と甘味に右往左往しながら涙目だ。
「あっ! ナッセ貴様ァ~! よくもやってくr」
こちらと視線が合うと親の仇のように睨んできたが、スピリアは「私だけを見ろ!」と首輪をグイッと引っ張って、スポンと唇を重ね、グチュグチュグチョロロロロロ~と濃厚なキスをかまして悶絶させてしまう。
一時的に入れ替わった時に押し付けたとはいえ、気の毒だなぞ。
「珍しく彼女作ってるなぞ(他人事)」
「ん? ああ~~!! なんでジャキガンの人きてんの~??」
未だカツカレーを食しているリョーコはジャオウたちを見てびっくり!
毒を盛られた為に直に対戦してはいないのだが、試合自体はちゃんと観戦していた。オレたちが苦戦してたから、相当な強敵として印象に焼き付いている。
「美味いねー! じゃあ味交換しようねー!」
「受けてたとう!」
ソージとウミノは二人でカレーを食すると、急にキスし合ってグチョグチョズポポポポポ~ンとハートの嵐を吹き散らす濃厚キッスでカレーを口移しし合っていたぞ。
相変わらず公然キス魔ぞ……。
「なにそれ引くわ……」
「だなぞ」
キスし合っている二組にリョーコも引いている。禿同だぞ。
「どきNA!!」
その声に振り向くと、なんとエジプト王朝現存国王リゥテムがいたぞ!
「あの人は────!?」
「誰? 知ってんの??」
「ああ! ミコトに憑依合体してるらしい元の人格のリゥテム! なぜここに!?」
リゥテムの周囲に【豆腐】を30個既に場に出している! ドン!
あ、あれは!! まさか!?
「【豆腐】を30個を生け贄に捧げ────」
全ての【豆腐】が旋風に飲み込まれ、代わりに竜神モンスターを召喚したぞ!
【地竜神アース・オブ・カタストロフ(古代決闘ver)】
神属性・竜神族・レベル12・決闘力500000
召喚条件:30個の【豆腐】を生け贄に捧げて召喚可能。
能力:フィールド上の【豆腐】を自分が20個食べる事で発動できる。このターン、カードの決闘力は無限となり、全ての相手モンスターへ攻撃できる。
解説:九大竜神が一神。大地を統べる竜神。神々の鉄槌として拳を振るい、全てを粉微塵に粉砕する。
ドドドドドドドドドドドドドドドド!!
まさかの別の竜神族!? 初めて実体を見るぞ!!
あんなでっけぇ魔神のような筋肉隆々とした神々しい竜!!
「地竜神アース・オブ・カタストロフでガンジス川からカリーをすくい上げるんDA! ゴッドDEクラッシャー!!!」
豪快に巨人のような両手でカリーを大量にすくい上げて、ガブガブ飲み食いしたぞ!!
途中で面倒になってきたのか、クロールで縦横無尽に泳ぎながら開けた口でガブガブ喰らい尽くしているぞ!! まさにクラッシャー的な暴飲暴食!! 底知れない胃袋だなぞ! 無限の胃袋?
「なにこれ? 召喚してまで食べさせるって頭おかしいんじゃない?」
「オレも思ったぞ……」
とは言え、まさかエジプトの王様まで来ているとは……。
「また会ったなーァ!」
その聞き慣れた声に振り向くと、ニッコニコなカレンがギザギザの牙を剥き出しにフレンドリーにやってきたぞ。その後ろでチササが「ちょっと待つだー!」と追いかけてきている。
「馴れ馴れしい関係だと!? 貴様許せんぞぉぉぉぉおおっ!!!」
なんと憤怒まみれのオオガがカッパ化して襲いかかってくる! ヒエッ!
「てめーはカリーでも飲んでろーァ!」「いちいち目障りだべー!」
いつもののようにカレンとチササがローリングソバットで蹴り飛ばし、ガンジス川へドボーンと突っ込ませたぞ!
そこを地竜神アース・オブ・カタストロフがガブーと食らいついた!
「ぎわ────!!」じゅるぽん!
そのままカリーと共に胃袋へ吸い込まれていったぞ……。成仏してくれ。
「ふっふっふ! ヤマミもいない事だし! これでナッセの貞操はいただきーァ!」
なんと今度はカレンが唇をちゅーと窄めてきて、飛びかかってきたぞ!
最初はロリ美少女っぽく見えるが、ダメージを受けるたびにムキムキのマッチョに変わっていく『血脈の覚醒者』なので、恐怖でしかないぞ!
大会の時は殺されかけたし。
しかしチササが急に高身長ボインの女天狗になって、謎の怪力によるアイアンクローで、カレンの顔面をガシッと掴む。
「寝取りもええかげんにしてけれっ!」
ギリギリ万力のように締められて、さしものカレンも「いたた──ァ!!」と手足をバタバタさせながら絶叫。なんとか解こうと必死にしてたが、次第に動かなくなっていってブラーンとぶら下がったぞ。怖ぇー!
そのままチササはアイアンクローを極めながら去っていったぞ。
「なんだったの?」「さぁ?」
リョーコとオレは取り残されて、ポカンとする。
とは言え、久しぶりに二人きりか。
「ん? アクトは?」
「あっ! そういえば!?」
キョロキョロ見渡すも、いつの間にかいなくなっていたぞ。
オレは「どーせトイレでも行ってんだろ?」と呆れたぞ。しかしリョーコは訝しげだ。
…………一方、お祭り騒ぎから遥か離れた闇夜で真っ暗な静寂の路地。
アクトは神妙に据わった顔で一歩一歩足を歩めていた。
「悪ぃ……、待たせたなァ」
人気のない真っ暗な路地で、三人の男が影のように佇んでいたぞ。
「相変わらずだな。“黒夜叉”アクトォ……」
「あァ」
ド ン!(臨場感擬音)




