153話「開幕篇② ダウートの野望ァ!」
フラッとやってきたアクトが実は木星人と告白してきたぞ。そんで……。
空港でオレは「ごめん! なんか巻き込まれた」と携帯で謝ったぞ。
しかしヤマミは驚く事なく「インド関連でしょ? 気にしないでへ行ってらっしゃい」と返ってきた。
まだ事情は説明してないのに……? ゾクッ!
「わりぃなァ。つーことでコイツ借りるわァ」
アクトが携帯を横取りしてそう言うとプツッと切ってしまった。
リョーコが「もう観念しなさーい!」とオレの腕に組んできて、アクトと一緒に魔導飛行機へと連行されていったぞ。
でも久々のリョーコと、相棒のアクトと一緒なのは懐かしさを覚える。
というワケで、そのままインドへ行く事になったぞ。
燦々輝く太陽、澄み切った青い空、そして真っ白な雲海の上を飛ぶ魔導飛行機……。
オレはリョーコとアクトに挟まれる形で席に着いていた。
でもまさか、またインドへ行くとは思わなかった。前ン時は新潟の親戚からプレゼントしてもらった航空券でヤマミと一緒にカレーしかない異次元へ行ってたっけな。
でもまさかアクト自身が「木星人だァ……」とか言い出した時は耳を疑ったぞ。
「木星なァ……、巨大なカレーそのものだァ……」
「今はもう何を言われても驚かねーけどな」
確か、オレの知ってる木星は液体水素とヘリウムが主成分の巨大ガス惑星。構造的に太陽に近い。もし質量が今の80倍だったら核融合を起こして太陽になっただろうと言われる。
重力は地球の約二倍、風速はマッハで、放射線ヤバくて、とても生命体が生きていけるような環境ではない。
でもまさか『空想』が加速していって木星がカレー化するだなんて、誰だって思わんわ。
「俺ァ、地球育ちの木星人だからなァ……」
「それ初耳だよ~」
「正確に言うとなァ、インド人は地球人だけど純粋な地球人じゃねェ……」
オレもリョーコも「はぁ??」と間の抜けた声を出すしかない。
アクトの説明によると、約五〇〇〇年前に木星からやってきた木星人と地球人が混血しまくって地球に馴染んだそうだ。それがインド人。
そしてカレーは木星から持ち込まれて誕生したのだった。
実際は17世紀頃、1858年でインドを植民地にしたイギリスがインドからカレーを持ち帰って欧風にアレンジされた。その後1947年にインドが独立したのはまた閑話休題。
ちなみに日本のカレーは1868年頃にイギリス商船からカレー粉が持ち込まれたのがキッカケだそう。そこからタマネギやジャガイモなどを加えた日本独自のカレーへと発展を遂げた。
……っつー歴史だったよな?
「こんなの荒唐無稽なトンデモ作り話に聞こえるけどぞ……」
「うんうん。こんなのフツー信じないわよ!」
「あァ……、最初俺もそう思ったァ……、けど『空想』が加速していって、ありもしない歴史に置き換えられていったァ……」
落ち着いててそう見えないけど、アクト自身も戸惑っているのだろうか……?
「普通なら、こんなもん笑い飛ばせるんだが、今回ばかりはそうもいかないんでなァ……」
「今回~??」
気になったリョーコは眉をひそめる。
アクトはコーヒーを啜り、気分を落ち着かせてから真剣な顔に切り替わる。
「四首領ダウートがヤベェ事を企んでいるようなのでなァ……!」
オレたちは四首領というワードにザワリと身が竦む。
アメリカのヘインと日本のヤミザキで身を持って恐ろしさを知ったからだ。直接戦っていないリョーコでさえ、世界大戦で戦いを目の辺りにしてるから緊迫した顔を見せている。
「一体何ぞ……?」
「何か知ってるんなら言ってよね! 巻き添え食ってんだからー!」
『全インド化補完計画』
カンタンに言えば地球木星化及び、世界中インド化及び、全人類インド人化計画!
つまり大規模なテラフォーミングによる世界征服だ。ドン!
「今回の『カレーフェスティバル』で、何かヤベェの起こるからお前らを呼んだんだァ……」
オレとリョーコは息を飲んだぞ。
それと同時に、同じ乗り合わせていた人たちはこれを聞いて緊迫感を抱いたぞ。
四首領ダウートが関わるヤッベェ世界征服計画……。
まずは偶然乗り合わせていた城路本家の総統タツロウと次男アッキー。
「マジかよ!? カレーフェスに釣られてたけどよ……」
「こういうのは事前に調べてみんかい!」
「知らなかったんだよ! ってか分家のナッセもいるじゃねーか!」
ただ旅行するだけだったのに、と戸惑うしかない。
ちなみにタッちゃん家族は育児してるので富山に残りました。
そしてジャキガン学院のマジンガ及び、ジャオウとスピリア。ソージ&ウミノ。カイガン。
「フハハハッ!! あの四首領か!! 是非とも手合わせしたいわ!」
「それは構わんが、オレを巻き込むな!」
「ジャオウ! 一蓮托生だ! このまま婚前旅行を続けるぞ」
「断る!!」
「貴様に拒否権などない! 私が決める事だ!」
スピリアはジャオウに鎖で巻きつけて束縛。ギギギ!
実は素敵な彼氏と旅行でウッキウキなのだが、誰が見ても連行してるようにしか見えないぞ。
「まさかナッセ君も一緒とはねー」
「ヤマミが一緒じゃないのが気になるわ。ジャオウは憑依合体できるから、どうでもなるか」
「できるかっ!」
「嫌だ!! 俺は降りるぞ! こんなん関わりたくねー! ……って、ここ空じゃねーかっ!」
相変わらずソージ&ウミノは仲良し。カイガンはビビったが飛行機だという事に気づいてガクブル。
レキセーンモサ学院のオオガとチササ兄妹、カレン。
「チッ! どさくさ紛れにナッセを寝取ろうと思ってたのにーァ」
「また性懲りもなく寝取ろうなんて、逆に感心するだよ」
「うおおおお!! インド人美女で脱童貞してぇぇぇえ!!」
カレンはナッセがヤマミから離れたのを見計らって乗り込んだらしい。
ついでにチササが心配でついてきた。オオガは勝手に。
元インドラ狂信派の四神エレーシャと鬼狼クロウ。
元インドラ狂信派の四神クリシュナ(城路ギンジ)。
「やはり噂は本当だったようですね。いいでしょう。ダウートは私が始末する!」
「おにいちゃん! カレーフェスたのしみー!」
象の頭をしたエレーシャと狼少年クロウ。
「いずれはインドとの因縁に決着を付けようと思っていたのだが、やはり避けて通れない運命か……」
クリシュナことギンジの両目の瞳の紋様がスゥ──ッと卍に変化! ギン!
「買ってよかった……」フルフルニィ……!
雰囲気をそれっぽくできて歓喜している。
そのコンタクトレンズは、微々たる魔法力を流し込む事で紋様を変化させたり、輝かせたりできる魔導アイテムの一種なのだ。スピリアの赤く灯る目もこれ。別に特殊能力があったりしない。
そして最後に……、黒いオーバーコートを見に包み、サングラスをかけている姫カットの女。
サングラスをスッと外すと冷淡な目が!
「こんな事だろうと思ってたわ……」
側で白髪のオールバックで目が細い好々爺が佇む。
「ほっほ。まさかヤマミ様が儂をチョイスしようとは」
「それだけの事態だから」
あの四首領に匹敵するというダクライまで連れて忍んでいたぞ!
あとがき
この小説はフィクションです。実在のインドとは全く関係ありません。




