152話「開幕篇① 未知広がる世界ァ!」
二〇〇九年十一月二十八日……。
大阪駅の『時の広場』っつー階層でオレとリョーコはベンチにいた。
ヤマミには「すぐ帰る」と言っておいた。
なので二人だぞ。
「よぉ……、ご無沙汰してたなァ……」
この日、アクトがフラッとやってきた。
「ちょっとー! あんた今までどこに行ってたのよっ!?」
「アクト……どうしたんだぞ?」
最近というか、ほぼ出番なかった彼が(いなかった理由として)これまでしてきた事を伝えたいとの事だった。
呼ばれたオレもリョーコも寝耳に水だぞ。
「あァ……すまねぇなァ。ちょうどいい。お前らちっと付き合えァ」
ぶてぶてしくてタレ目の不敵な面構えで頼もしいって分かるアクトだ。
案外頭が良くて、抜け目のない百戦錬磨の歴戦。
新幹線で東京へシャ────────ッと移動したぞ。
東京都のとある政府公認の最重要保護センターへ連れて行かれた。
アクトがなんか偉い要人と握手し英語で喋ってた。そして互いに頭を下げ合って、入場を許された。
最初は何の変哲もない一階のありきたりな受け付け広場に事務室などアクビの出そうなものばっかりだったがエレベーターを前にして、なんか寒気すら覚えた。
「地下へ行く」
要人は義務的な口調で呟き、黒いカードをサッと呼び込ませた。
エレベーターの扉が開いて入ってみた。ここまでは普通だと思う。なのに地下二階までしかないのに、さらに下へ長────く降りている感覚がした。
行き先ボタンの更に上にあるエレベーター位置表示灯がFになっている!?
念の為言っておくと、エレベーター位置表示灯は普通は移動するたびに1、2、3、4となっていくアレである。
スンッと止まった感覚がして一瞬の重力がかかる。
「くれぐれも他言無用だぞ?」
「だァじょうぶって」
要人は気難しい顔で振り向いてきて警告のような雰囲気で言ってきたぞ。
一体何を見せるんだよ? そしてなぜオレに見せていいんだ? アクトは分からんが要人と繋がりがあるっぽいから融通を利かせたのだろうか?
そして扉が開くと、目の前に厳重そうな多重扉がガションガション開きまくっていく。
「何があるんだ……?」
「ちょっとぉ? 世間には知らせてはヤバいものなの? いきなりそんな見せられても戸惑うんだけど~!?」
リョーコの言う通りだ。なぜ今になって……?
「……機密事項だ。トップシークレットに位置する。アメリカですら世界から隠したい機密情報。大魔王討伐を成し遂げた功労者でもなければ閲覧すら許されない」
そ、そう言われると緊張するぞ……。
リョーコもこわばった顔している。見ていると、こっちにも目線をよこしてくる。
妙な通路を通ると、どっからか《許可します》と放送された。多分マジックミラー越しでなんかサーチして危険物がないか調べた?
次の部屋で消毒のシャワー浴びせられた。
……そして明るい広場へ出た。
重厚な壁に囲まれた施設で、バイオ培養槽みてーなのが並んでいる。
白衣の研究者がたくさんうろついている。何となくピリついているのが窺えた。
「ん? タラコ??」
カプセル状の培養槽に赤くて長い塊があった。
なんか表面が蠢いたと思ったら、小さな一つ目のオタマジャクシが孵化してブシャーッと広がったと思ったら、元通りのタラコへ戻っていった。
次は上半身同士が繋がった人間だ。上と下に人の身体……。
馬の上半身と魚の下半身。半透明のスライムの中に一つ目の脳ミソ。人面タコ。
「キモ……、なんなのよっ!?」
「これらは『地球外』生物……。死体のものを保存しているだけだがな」
「タラコのは何だよ? なんか蠢いてんぞ?」
「……生物学的には死んでいるが、こうして動いているのが不思議なんだ。むしろゾンビだと思っていい」
まさかと思うけど……、こんな小話編に暗黒○陸ネタぶっこむ気かよ……。メタァ!
確かにアッチは王位継○編ばっかで全然進展しねーからって書いていいもんじゃないっての。メタァ!
「見ろ!」
オレたちは目を丸くした。
確かに太陽系の立体マップがデカデカと設置されている。それぞれの惑星に注釈と添付画像が貼り付けられている。
なんか奇妙な事に、各惑星ごとに生物がいるらしい。
「前から『空想』が加速度的に広がっていると聞いたと思う」
「あ──、前に聞いてたよねー? ナッセ!?」
「ああ、うん……」
そういえば(ローファンタジー編の序盤で)学院裏の施設で藻乃柿ブンショウっつー人がそんな事言ってたな。
実はアレはアリエルの通気口ダンジョンを通して、こちらの世界に影響を及ぼした異世界要素って結論になってたよな……?
「『空想』の広がりはなおも継続中。最初はこの地球しかなかったのだが、いつの間にか拡大されていって各惑星で未知の生物が出没してきた。さそも最初っからあるかのように存在している」
息を飲む……。
クッキーが言っていた。“結果が出て過程が組み込まれる”っつー逆説?
エレナの異世界転生がそうだったように、最初っから存在した事になっているムチャクチャな理屈だ。
「まさかまだ『空想』問題を引きずっているとは……」
「ああ。これからどうなるのか我々も与りしれない」
そう、最初は地球だけが全てだった。
だけど、いつの間にか追加されていて暗○大陸っぽくなっているっつーのはうすら寒い感じさえする。
なんか別の広場へ案内されると、これまたビックリな動物園が広がっていた。
全て厚い水槽で囲んでいる。
月の表面見てーなので白ウサギがピョンピョン可愛らしく動いている。
今度は金色な湿った水槽には、岩石の亀みたいな奇妙な生き物がのしのし歩いている。
そしてガスで曇ったような水槽にはクラゲのようなイカがプカプカ漂っている。
「これは……?」
「ツキウサギは『月』の生き物。ロックタートルは『金星』の生き物。そしてクラゲイカは『海王星』の生き物」
な、な、なんと! これらは地球以外の太陽系惑星の生物だと言うのだ!
地球にもいるウサギもカメもクラゲも、元々は外来種で数千万年もかけて地球に馴染んできた種らしい!
ウサギは異常に繁殖力が強く、カメは寿命が極端に長く、クラゲも同一転生するらしい謎の生態を持っている! まさか!!
水槽はそれぞれの惑星の環境を再現しているみてーだ!
「えー、そういうものなの?」
「オレに振るな。こんなん知らねぇって……」
リョーコに聞かれて、オレは首を振るしかない。
「少なくとも太陽系の各惑星は既に全て生物がいる事が確認された。
しかも水星、金星、火星、木星、土星、天王星、海王星、冥王星、全てに知的生命体が文明を築いていている環境だ」
こう言われるとバビタブルゾーンは何だったのか分からなくなってしまう。
少なくとも、オレが元いた地獄のような並行世界ではバビタブルゾーンが存在していて地球以外に生物などいない。木星の衛星の一つにある水の存在で生物がいるかもしれない程度で、ハッキリ明言されたワケではない。
そもそも冥王星って惑星じゃなくなったっつー話だったのに、ここでは惑星になってるし。
なんでまた全部地球みたいなのになっているのだぞ?
「世界は……世界はもう人類だけの環境じゃない…………!!」
太陽系内でスターウ○ーズとかできそう。なんか笑うしかない。
「それを前提に話すがなァ……、我々インド人ァ……木星人なんだァ……」
「「え!?」」
唐突にアクトが爆弾発言し、オレたちは目を丸くしたぞ。
相変わらず図太い顔でニッと快く笑ってくる。
「「えええええええええぇえええぇぇえっ!!!?」
なんと、アクトたちインド人は実は外来種だったのだ────っ!!
あとがき
ついに四首領ダウート編開始ですw
また余計に風呂敷広げやがって…………w
インドの皆さんごめんなさいw これはフィクションですw




