151話「城路本家の家系伝承技! 下巻・天罰!」
本家家族の晩飯の集いで、キャッキャッと無垢に笑う赤ん坊がいた。
細身の女性が抱っこして「うふふ」と愛でている。タッちゃんはデレーッとしながら赤ん坊を撫でたりする。
タツロウ様もにこやかな微笑みで孫に癒されていた。
「後継者は安泰であるな」
「はい」
なんとタッちゃんは結婚してて、生まれたばかりの息子を持っていたぞ。
「また辰昇武心流を伝授させる楽しみができたわい」
「幼い僕と弟に授けた時と同じですね……」
「うむ」
そう、城路本家は幼い頃より『辰昇武心流』の伝授が行われる。
日々の研鑽によって研ぎ澄まされていく家系伝承技は有象無象の技とは比べもんにならないほどの精度と威力を誇る。
これは先祖に当たる『城路辰衛門』が過酷な戦国時代で編み出し、長い歴史の間で代々継承し続けなから研鑽されて進化してきた賜物。故に、簡単に真似されるようなものではない。
故に幼い頃より仕込まなければ、真価を発揮できない。
「仮に分家のナッセが天才としても『辰昇武心流』だけは見様見真似すら適わぬ。数十年かければ真似事ぐらいはできようが、威力は高が知れる」
「それは分かります」
「あったりまえだろ! そんなカンタンに取得されてたまるか!」
オーラと魔法力で練り上げたエーテルを更にすり潰すように練り上げて、鋭く軋むような密度のある質に仕上げて放つ。
しかも溜める速度、得物に伝える伝導率、極限に研ぎ澄まされた精神力、辰をイメージする造形付加、威力を伝える絶妙なタイミングのコツ、それらが上手く連動してこそのもの。
それが自然に行われるようになって初めて心髄に達する。
長い歴史と時間をかけて徹底的に鍛え上げられたので、ホイホイ軽く真似れるような技じゃないのだ。
「奥義である宝龍天上天下疾駆を始め、龍鳳系や宝龍爆砕系など、我が数々の技はいずれも取得困難な技。だからこそ一子相伝という意味に繋がるのだ」
「心します!」
「はい! 心します!」
タツロウ様へタッちゃんとアッキーは惜しみない感謝を胸に深々とお辞儀。
「とは言え、分家の者が独自で会得したが、ニセモノと判決が下されて罰された事があったな……」
「罰ですか?」
「うむ、ご先祖様はいつでも目を光らせておるぞ!」
「……罰って? 何が起こるんだよ?」
タツロウ様は「うむ。実際に起きた」と頷き、語り始めた────!
「あれは四十年前の事だ」
とある石川県の分家である城路マリサ(男)がいたと言う。
本家を疎んで、いつかは成り上がろうと不貞に『辰昇武心流』の巻物を盗んだ。
それを読んで会得したと彼は豪語した。
事もあろうか、なんと本家にケンカを売りに来たぞ。
「こんなもの簡単だぜ──っ! 宝龍天上天下疾駆ーッ!!」
大地を爆発させて全力疾走しながら剣の横薙ぎで、タツロウ様の親父に当たるタツゲン様を斬り付けた! ガキィ!!
しかしタツゲン様は「見切ったり!」と剣で受け止めていた!
マリサは「何!?」と驚いて見開く。
「形だけでも再現できたのは見事! しかしそのような紛い物で、本家の『辰昇武心流』を騙るとは不届き千万!」
憤慨したタツゲン様は全身から研磨されたエーテルを噴き上げ始めた。
ギギギギギと軋むような響音が広がっていく。
そしてタツゲン様は左右に腕を伸ばして剣と脇差しを突き出したまま自身でギュルルルッと回転を繰り返し、獰猛に燃え盛る火炎の大渦を広範囲へ広げていく。ゴゴゴゴゴゴゴゴォ!!
「辰昇武心流・火龍巻天翔陣ッ!!」
その火炎の渦にマリサは「うわああああああー!!」と巻き込まれていった。
タツゲン様が剣を振り上げると、火炎の大渦は竜巻となって上空へと噴き上げ、マリサを上空へ押し飛ばしてきりきり舞わせる。
その時、上空で先祖の城路辰衛門が浮かび上がってきたぞ。
《お主はアウト!》
どこからか飛んできた流れ星がマリサへドゴーンと直撃! 「ぎえー!」
アッキーはジト目で「それまんまキン〇マンじゃん……」と突っ込む。
「これ! 話は終わっておらんっ!! あと突っ込まないでくれいっ!」
タツロウ様は窘めた。
更に黒焦げになった所を、タツゲン様は火炎竜巻を纏いながら飛び上がっていて剣と脇差しを振り下ろし、二刀を交差させてマリサの首元に極めた。ガッキィン!
そのまま燃え盛る火炎竜巻を纏いながらキリモミ回転で急降下────!
「辰昇武心流・火龍巻地墜陣──ッ!!」
そのままマリサを脳天から地面に叩きつけ、ガガァァァアンッ!!
強烈に炸裂した影響で大地をも穿ち、波紋状に土砂を巻き上げて衝撃波が荒れ狂った!
真っ逆さまのマリサは白目で「ゲホ……!」と吐血。
「────と、このように安易に辰昇武心流を繰り出せばニセモノとして断定されて天罰が下る」
家族のみんなは「ああ……」と驚きに満ちた。
極めた時の二刀に意味は? 斬首しちゃわない? と疑問に思った人もいたが黙ったぞ。
やはり突っ込むのは野暮であるぞ。
「戦いで破られて敗けた結果だったが、そうでなくてもニセモノと判断されれば本家だろうがなんだろうが、繰り出した後に判定されて天罰が下る。しかと心せよ! 我が城路本家代々伝わる家系伝承技を真に理解して繰り出す事を!」
「「はい! 心します!!」」
厳粛なタツロウ様に、タッちゃんもアッキーも真剣に応えた。
そう辰昇武心流は安易に繰り出してはいけないのだぞ……!
あとがき雑談w
完全に皮肉な回w
ジャオウになって繰り出してたナッセには天罰はこなかったようですw
別に技名を変えてたからではないようですw
もしナッセも幼い頃から伝授されていたら、先祖様と同等かそれ以上に進化していただろうぞw
辰衛門「くくう~っ! せめてナッセが本家出身だったら……!」




