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150話「城路本家の家系伝承技! 上巻・心髄!」

 城路(ジョウジ)本家の広大な屋敷のどこか道場────……。

 長兄の城路(ジョウジ)ヒコタツことタッちゃんは髪が後退しつつある生真面目な男。そのタッちゃんが汗を滲ませて、轟々燃え盛る火炎龍を操っていた。


辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう!! 龍鳳(りゅうほう)焔之火葬柱(ほむらのかそうばしら)ッ!!!」


 振り下ろされた手に従って火炎龍は飛んでいき、模型人形へボゴオオンと炸裂して火柱を高々と噴き上げていく。

 ふうと息をつくタッちゃんに、アッキーは「なぁ」と声をかける。

 次男の城路(ジョウジ)タツアキことアッキーはロン毛の男だ。


「その火炎龍さー」

「うん?」

「二つとか三つとか増やせねぇ? 威力上がりそうだし」


「……やってみるよ」


 タッちゃんはコオオオ……と腕を踊らせながら呼吸を整えていく。

 すると周囲を燃え盛る大きな火炎龍が(かたど)り始める。そしてもう一頭と練り始める。額に汗が浮かぶほど集中するタッちゃんは「ぬぐぐ!」と唸って練り続ける。

 しかし極限まで集中し過ぎて、限界を超えて火炎龍は全部霧散してしまう。


 ボシュシュン……!


「はあっはあっはあっ!! む、無理だ……!」


 タッちゃんは四つん這いに力尽きて息を切らす。

 そんな剣幕にアッキーは「す、すまねぇ……。大丈夫か?」と心配する。


「極限にまで練り上げた火炎龍をもう一つ増やすだなんて不可能に近い」

「だよな……」


 するとタツロウ様が直々(じきじき)に歩んできた。

 白髪が混ざっていてオールバックの厳つい初老の城路(ジョウジ)家総統だ。


「む? 龍鳳(りゅうほう)系で数を増やそうとしたのか?」

「恐れながら……」

「先祖様は九頭まで増やして放ってたそうじゃな」


「ええっ!?」


 伝承の巻物に記されているのだが、直に見た事はない。

 それに連撃技である宝龍爆砕(ほうりゅうばくさい)系も百頭放てたという。アッキーでさえ八頭の連撃が精一杯だ。


「それより丁度いい機会。(ぬし)らの奥義の出来如何(いかん)を見させてもらおうぞ!」



 広い道場で、タッちゃんは妙な構えを取っていて、ゆっくりと木刀を後方へ引いて全身からエーテルがこもれ出る。

 隅っこで、タツロウ様とアッキーは正座してタッちゃんを見守っているぞ。


辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう奥義(おうぎ)宝龍天上天下疾駆ほうりゅうてんじょうてんげしっくッ!!」


 タッちゃんは「ハアッ!!」と見開きながら地を蹴ると床が爆発。まさに龍が地上スレスレを超速で飛行しているかのような獰猛なエーテルの激流を身に纏いながら疾走。

 模型人形を通り過ぎながら、一太刀(ひとたち)で薙ぎ払った。


 ゴオオオンッ!!


 まるで爆撃が起きたかのように、大きく衝撃波が弾け散った。



「おお!! 完璧だ!」


 アッキーはガッツポーズを取るが、タツロウ様は首を振る。


「確かに形だけは奥義として振る舞えるだろうが、質としてはまだまだ未熟! 『剣士(セイバー)』と『魔道士(マジシャン)』の違いはあれど、本質的な心髄(しんずい)は変わらぬ!」

「はい! 精進(しょうじん)します!」

「うむ」


 タッちゃんはタツロウ様へお辞儀(じぎ)し、アッキーの側へ正座する。


「……して次はタツアキ! 心して奥義を繰り出して見せよ!」

「はい!」


 正座から直立して、厳かに歩んで広い所へ立ち止まるとタツロウ様へお辞儀(じぎ)する。そして木刀で構えていく。

 コオオオオオ……、修練された息に整え、全身からエーテルを噴き上げていく。

 ゆっくり木刀で()を描くように振るい、後方へ引いていく。


辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう奥義(おうぎ)宝龍天上天下疾駆ほうりゅうてんじょうてんげしっくッ!!」


 アッキーは「ハアッ!!」と見開きながら地を蹴ると床が爆発。まさに龍が地上スレスレを超速で飛行しているかのような獰猛なエーテルの激流を身に纏いながら疾走。

 模型人形を通り過ぎながら、一太刀(ひとたち)で薙ぎ払った。


 ゴオオオオオオオンッ!!


 まるで爆撃が起きたかのように、広々と衝撃波が弾け散った。


「よし!! 完璧だ!」


 アッキーはガッツポーズを取るが、タツロウ様は首を振る。


「確かに奥義として完成に近いが、まだまだ及ばぬ! 私と同じ『剣士(セイバー)』だが、本質的な心髄(しんずい)としては足りぬぞ!」

「く……! は、はい! 精進(しょうじん)します!」

「うむ」


 アッキーはタツロウ様へお辞儀(じぎ)し、タッちゃんの側へ正座する。

 今度はタツロウ様が直立し、数歩進んでから振り返る。


「二人共、よくぞここまで腕を上げられた。まだまだ見様見真似の(いき)を過ぎんが、いずれは完全に会得(えとく)できよう。私もその成長には感服したぞ」

「はい!」「はい!」

「そして今回の奥義の改善点を述べよう。ヒコタツ! タツアキ!」


 タツロウ様は木刀で構え始めた。ゆっくり横へ薙ぐ。


「ただ鋭く斬り込むのではない。構える時にエーテルで練り上げて溜めていく。それを爆発させ、それに乗せるように振るうのだ。直撃する時に握り締めて威力を伝える」

「はい!」

「それにヒコタツ、お主は『魔道士(マジシャン)』の傾向が強い為、それに向けた奥義も授けよう」

「ありがたく授けてもらいます!」


 木刀をしまい、素手で構えてエーテルで溜め込んだ後にかめ〇め波みたいに両手で「ハアッ!」と突き出すと、音速を超えた龍のような塊が模型人形を爆裂させて、更に向こうの壁をも粉砕して屋根にも及ぶ。


 ズゴガアアアアアンッ!!


 タッちゃんもアッキーも絶句して、冷や汗をかいて呆然……。

 タツロウ様は「ふぅ────!」と長い呼吸をする。


「これこそが『辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅう奥義(おうぎ)宝龍天上天下真破ほうりゅうてんじょうてんげまっぱ』だ! 火魔法(ホノ系)でこれじゃ!」


 魔法が苦手なクラスなのにも関わらず、タツロウ様はこれほどの威力で放てた。

 普段は刀でやっているのだが、長兄の為に披露して見せたのだ。


「か、必ずや会得(えとく)してまいります!」

「うむ。期待しておるぞ!」


「こらー!! また壊しおって!! 直すまで晩飯抜きだー!」


 なんとナッセにとっては叔母となるタツロウ様の妻がカンカンに怒ってきたぞ!

「「「す、す、すみませぇーん!」」」

 萎縮(いしゅく)するタツロウ様とタッちゃんとアッキー。

 仕方なく、(あらかじ)め用意された木材で修理に取り掛かりました。トホホ……。




 トンテンカンテン、慣れたような手つきで木材を打ち込んで固定していく最中、アッキーはウンザリしつつも「ここにも仮想対戦(バーチャルサバイバル)システムあればなー」と愚痴る。


「いくら我が城路(ジョウジ)本家が大金持ちとは言え、色々面倒な手続きがあるからな。そうそう個人で持てるようなシステムではない」


「ちくしょー! ナッセが末っ子だったらこき使ってやれるのに!」

「これ! そのような傲慢(ごうまん)な発言は(ひか)えよ!」


 アッキーがそんな事を言い出し、タツロウ様は厳しく叱った。


「……とは言え、分家ながらも三大奥義も会得(えとく)したのは感服しますね」

「うむ。うかうかしておれんな。今に追い越されるぞ」


 アッキーは「いや、もう追い越されまくってるじゃん!」と思ったが黙っておく事にした。

 何しろ、夏の威力値比べでタツロウ様の驚異的な三万を軽々と超えてカンストさせてしまったのだから……。


「とは言え、確かにナッセが我が本家で生まれておれば辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅうを授けてやれたものを……」

「分家なのが惜しいくらい天才でしたね」

「うむ」


 するとアッキーは木材を持ってきながら「真似(まね)されそうじゃね?」とボヤく。

 しかしタツロウ様は首を振る。


辰昇武心流たつのぼりぶしんりゅうは一子相伝の家系伝承技。見様見真似で会得(えとく)できる代物ではない。見様見真似どころか形すら整えるのさえ困難。それほどまでに簡単な技ではない」

「ですね……」

「それならいいんだ。三大奥義はもっと難しそうだけど」


 タツロウ様は「あんなもん邪道じゃー」とプンスカプンとお茶目に怒ったぞ。

 実は分家のナッセが威力値測定器をカンストさせた事を根に持っていた。

あとがき


 すみませんw なんか思いついたので載せますw

 今回は上巻で、次が下巻っすw

 四首領ダウート編はその次や! たぶん! たぶんのたぶーん!

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