147話「闇の交錯⑥ 絶対支配王!」
ものすげぇ短気なスピリアにケンカ売られて対戦する事になったぞ。
オレも言いすぎたと思うが、いい加減にして欲しい。
「『刻劉ジャオウ』対『柄鎖スピリア』!! 前へ!!」
オレより少々高めの身長。金髪で赤く灯る両目の優男。中性っぽいイケメン。しかし短気で怖い。
紋様が走っている青いポンチョで上半身を覆う衣服。
それにウギンさえ完封して張り付けにしたほどの男だ。
油断はできないぞ……。
「フン! 御託はいい!」
「いつも心を揺さぶる声で言ってくれる。貴様も覚悟しろ!」ズズ……!
心を揺さぶる?? そこは気に障るか癪に障る、じゃないのか?
亜空間は殺風景な廃墟の街。
スピリアは全身をエーテルで纏い、瞬時に飛び上がってくる。
「鎖縛天罰!!」
滞空中のまま、殺意漲る表情で人差し指の鎖を振り回してきた!
長────く伸びた鎖が瞬時に迫る! オレは「いっ!」と慌てて飛んでかわす!
ズゴオオオオンッ!!
なんと鎖の薙ぎ払いで建物が木っ端微塵に粉砕されたぞ! 破片が飛び散り煙幕が巻き起こる!
まるで増強系能力者に匹敵! 信じられないようなパワーを込めてる!
そして殺意ものすげぇ!!
「今のをかわすか! だが実は……」
「なッ!?」
未だ滞空中のスピリアはクツを脱いだと思ったら、両手両足の指に鎖を繋ぐ輪をはめていた!?
なんか鎖が触手のようにニョロニョロ蠢いている。
「これぞ! 十手指十足指・鎖縛天罰!!」
「えぇ……」
「貴様を虜に縛り付けてやろう! 行くぞ!」
まるで生きているかようにオーラを纏った二十本の鎖がビュンビュン縦横無尽に動き回って、オレに襲いかかってくる!
てっきり例の某キャラみてーに五指それぞれに能力を割り振ってるかと思ったら、両手両足の指で二十本の鎖だもんな! その発想なかったわ!
ガッガガッガッガガガガガッガガガガガッガガッガッガ!
刀一本で二十本の鎖をことごとく斬り払い、斬り裂き、斬り伏せていく!
とてもじゃないが捌ききれねぇッ!!
何度も鎖を斬ったり砕いたりしてんのに、また元通りになる! 操縦系ではなく、具象化系能力者!?
いつものように全身から光の刃で生やしてて斬り払う手は使えねぇ!
コッソリ念力組手で逸らすのが精一杯だ!!
それでも嵐のように襲いかかってくる鎖は、そこらじゅうの建物をことごとく粉砕して徐々に平らにしていく!
「クソッ!!」
本来の戦い方であれば何とかなったのにっ! コイツ手強い!
「ってか、色んな能力つけたりしねぇのかよっ!? ウソを見破るとか、敵の能力を吸い取ったりとか、即座に傷を癒すとか、相手にルールを強いるとか……」
「私も考えていたが面倒だから全て鎖縛天罰にした。複数の能力はさすがにキツい」
「あー、そうなんすか?」
「うん」
お前も脳筋かよ! さっきのウギンと大差ねぇっ!!
すると急にオレの体がピタッと止まる!?
空中で縛り付けられたみたいな違和感! まさか!? し、しまったぞ!
「終わりだ……!」
スピリアの一部の鎖が浮かび上がってきて、それはオレを縛り付けている所へ及ぶ。
なんと透明化してひっそり絡ませてきたのだ。
無数の鎖でカモフラージュしておいて、透明化させた鎖で捕縛。やられた!
「だが、これしき!」
しかし、なぜかエーテルが練れない! ぐぎぎぎ!
「この鎖の呪縛を受けた者は『封印』を付加される。つまり詰みだ」
「ううっ!?」
「言い忘れていたが、私は『特異系能力者』だ。増強系、放射系、変質系、具象系、操縦系……全ての系統が100%の精度で発揮できる。それが『絶対支配王』」
「それ、トレジャーの鎖野郎を意識してるだろっ!」
「うん」きっぱり!
「ぐっ……! 正直な!」
とはいえ、エーテルが練れないどころかオーラも魔法も出せないのはマジでキツい!
「これに呪縛されればマジンガさえ破れんよ」
くそ────!! うごけねぇっ!! どうしようもねぇっ! 絶対破れねぇっ!
だから一つの能力で十分だったのかっ! こうして捕らえさえすれば誰だって無力化される! しかも二十本の鎖で回避が難しくなっているから、逆に強い!
なぜスタメンに入らなかったのが不思議なくらい……ッ!!
「もし秋季大会に出られたら、優勝できたかも知んねーのにっ!」
「……予選大会で頭にきた相手を対戦前に殴って退場させられたからな」
「おまえが一番ルール違反してんじゃねーかぞっ!!」
「黙れ!」
思った以上に短気野郎だ! いや地雷野郎だ!
どうりで秋季大会で出てこなかったワケだ。なにか地雷踏まれると癇癪起こすんじゃ仕方ない。
とは言え、実力はマジでスタメン級だ。
ギギギと締め付けられてバラバラになりそうだ。
なんと鎖でオレの口を塞ぐ!
「むぐっ!」
「降参はさせん! せっかく二人っきりの時間だからな……」
スピリアは、無防備なオレをボコボコにして憂さを晴らす気だ!
ゆっくり歩いてくるのが処刑の秒読みみたいで恐怖が募る……!
「さぁ……契りのキs」
切羽詰まったオレは黒髪を銀髪に変色させ、足元から花畑を広げて、背中から二対の羽を浮かせ、眩いフォースを噴き上げた!! ボウッ!
さすがのスピリアも観戦している一同も「え!!?」と目を丸くした!
即座に「むん!」と力んで鎖を引きちぎって、尾を引きながら後方へ飛び降りた!
「あっ! やべっ!」
ならば、ここで“取って置き”を出さざるを得ない!!
慌てて黒髪に戻してフォースを収め、すかさず刀をかざす。するとオレの周りで火炎龍が生み出されていく。しかも七匹だぞ。
生きているかのように七匹の火炎龍は轟々燃え盛りながら周回している。
ふっふっふ! タッちゃんの本家技を更に改良したのだっ!
そんな派手なインパクトで誤魔化すっ!!
「地獄よりの業火で焼かれるがいい──っ!! 七頭獄龍波────ッ!!」
刀を振り下ろし、それに従うように七匹の火炎龍は螺旋を描きながらスピリアへボカーンと大爆発し、燃え盛る極太火柱を噴き上げていった!
「グワ────ッ!」
ふう……。何とかなったぞ……。
マジンガは「フハハハッ!! これは凄い!」と歓喜する。
でもソージは「なんか誤魔化してなかったかねー?」と呟く。
ウミノは訝しげにジャオウを見据えている。
シュウウウと煙幕が流れ、スピリアが横たわっていた。まだ棺桶化していないが時間のもんd……!
なんとスピリアのポンチョと服が黒コゲで破けてて、そこから覗く体はもろ女体っ!?
しかも巨乳でスタイルが抜群だ! ぷるんっ!
目が覚めたスピリアは流し目でこちらを儚げに見てくる。チラッ!
「って、おまえ女だったのかぞぉぉぉっ!!」
まさかの鎖野郎は鎖女だったぞっ!
今回のキャラ紹介!
『柄鎖スピリア(復讐者)』
金髪で赤く灯る両目の優男。やや低身長。中性っぽいイケメンに見えるが実は女。すごく短気なので地雷踏まれると激情をあらわにする。怖い。
紋様が走っている青いポンチョで上半身を覆う衣服。
ガチでヤンデレ。超ヤバい。
特性:
絶対支配王(万能のステータスに引き上げられる)
技スキル:
鎖縛天罰(敵を打ち据える攻撃&縛ると『封印』付加)
十手指十足指・鎖縛天罰(両手両足の指から繰り出す鎖縛天罰)
永久に繋がる愛の鎖(両手の小指から繰り出す禁断の……?)
威力値:120000(絶対支配王時:180000)
オーラも魔法も完璧に封じる『封印』も妖精王には通用しなかった。
ちなみに増強系、放射系、変質系、具象系、操縦系、特異系などの系統概念は東京都のみらしい。
実際にそんな概念は存在しないが、厨二的っぽくて大人気なので流行した。
なので誰もが本当の事だと思い込んで生活に組み込んでいる。
マジンガは操縦系、ジャオウは放射系、ソージは増強系、ウミノは具象系、カイガンは特異系。
みんなそう思ってるらしい……。




