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143話「闇の交錯② 厨二病家族!」

 殺気も気配もなく、刺客がいつの間にかオレの背後に回っていた。

 そしてクナイの刃をオレの首元に近づけていた。


「目が覚めたか?」

「だ、誰だぞっ!?」

「む?」


 気付けばドア近くに漆黒のマントを纏う少女が横向きでトンと移動していた。まるで瞬間移動したみてぇだ。

 漆黒のショートに鋭い細目。整った顔立ち。小学高学年くらいなんだろうが、凄腕なのが分かる。

 クナイを持ってた事から、それで首に近付けてたんだな。物騒だ。


「……ってか朝っぱらから何の用だよ!? 恨みでもあんのか?」


 目の前の少女は見開く。


「まだ寝ぼけてる?」


 気付けばまた背後に回っていた。目の前は残像。その俊敏さは侮れない。


「……残像だ」

「ってかこの体(コイツ)の妹か!」


 すると少女はあちこちで残像を増やしてブブブンと移動し続けていた。


「多重残像だ……。目が覚めたなら朝餐(ちょうさん)に集え……」


 カタン、といつの間にかドアを開閉していなくなっていた。

 戻ってきた静寂の最中でオレは息を呑む。

 まるで瞬間移動のような小学生女子だ。場慣れしてやがるな……。恐らく暗殺者一家?


 ガサゴソ!


「ってか服はこれしかねーんかな?」


 裾が破けたような漆黒の服とマントしかない。同じのが何着もある。気が滅入る。

 仕方なく着込む。慣れない腰の多重ベルトがクッソ面倒。

 マントも日常的っぽいから羽織(はお)っておく。




 朝餐の集い、と言うだけあって漆黒の長テーブルに等間隔のロウソク。しかしご飯と味噌汁と目玉焼きは普通っぽいぞ。

 とりあえず家族構成を把握しよう……。

 黒いモヤを常駐的にモヤモヤさせている闇の親父。蛇を連想させるような白面の美女。さっきの残像妹。そしてアゴを隠すコートで全身を覆う弟。

 弟は細目でジロリ見やってくる。


「ジャオウ兄キ、早いね。ザンコ刺したね?」

「……既に起きてた。だが違和感がする。いつもの兄者じゃない」


 残像の妹はザンコなのか。


 オレは席に着く。

 なんか空気がピリピリしてしょうがないし、なんか一家揃ってこっち見てるんですけど?

 てかオレも聞きたい!

 なんでオレがコイツになっているのかも聞きたい!


「スパイなら逃さないね」


 いつの間にか弟がレイピアのような細剣でオレの横にいた。こいつら速い!

 鋭い細身の剣をゆらゆらさせて殺気を見せている。


「吐くね。指どちら要らないね?」

「止めておけ……。カゲ。体はジャオウだ。それに力量を見誤るな」


 ズズ……、父が黒いモヤを徐々に広げて威圧が増していく。

 カゲって弟は剣を引っ込めて「チッ!」と瞬足で自分の席へ戻っていった。


「戸惑いの色が見えるわ。あなたジャオウじゃないわね」

「わ、分かるのか??」

「……我が一族は微かな異変をも察知し、状況を迅速に把握する事に長けている。主が何者であれ、敵意はないのは察した」


 なんか物分りの良い両親で良かった。


「それにしてもあなた人間じゃないわね。純粋な光を湛えている魂の色。それにその強さ、性格と不釣り合いなのがギャップあるわね」


 ニイィ……、蛇のような母はツリ目をさらに険しくして、長い舌をペロンと一周させる。

 なんかアレだ! 某漫画の大〇丸がガチ女性になったみたいな感じだ!

 能力も恐らく類似するものとみて間違いない。たぶん。


「妻はロチマだ」

「よろしくね……。ふふふ……」

「はぁ、よ、よろしく……」


 大蛇丸から抜き出したような名前だ!!


「私は息子ジャオウの父であるシンエンだ。もし主と戦えば我々の被害は甚大になろう。殺意がないのが救いだ。穏便に済ませるなら越した事はない。状況を話してもらえるかね?」


 冷静沈着な深淵なる父に頷く。

 オレは『城路(ジョウジ)ナッセ』と言う人間で、昨日寝て起きたら、この家にいた。しかも別人になっていた。という事を話してみた。


「あなた……! 息子が!」

「恐らくジャオウが操縦系か特異系能力者の攻撃を受けたか、或いは自ら効力を受け入れたか、で魂を入れ替えたのだろう。ナッセ君はむしろ戸惑っていて嘘はついていない。九分九厘巻き込まれた」


「嘘、芝居可能性あるね。兄、コイツの能力ハマたね」

「……トレジャーに出ている賊団の某キャラの影響もほとほどにな。それにナッセ君は間違いなく増強系能力者。秋季大会で、そのような搦手は得意でないのは明らか。カゲもザンコも観て解ってるはずだ?」

「チッ!」

「承知した」


 ロチマは長い舌で目玉焼きを包んでスポッと呑み込む。


「ふふふ……面白いわねェ……。ジャオウか術者の目的……。ナッセ君をピンポイントで対象にしたとしたら、恐らく狙いは『女』ね」


 無意味に鋭い威圧撒き散らすのやめて欲しいぞ。

 普通の人間なら「殺された」と錯覚するほどの殺意まみれな威圧。誰かを憎悪しているのでもなく、常時から殺意を孕んでいるという無駄な演出。

 あとゾクゾクと上目遣いで震えるのも怖いんで、それもやめて欲しいぞ。


「って事はヤマミを狙っているのか!? 何も恨みがあったのか?」

「秋季大会で負けた腹いせね」

「兄者悔しがってた。腕に激痛が走ったかのような呻きを一晩してたからね」


 ああ、思い出したぞ。

 ジャキガン学院のあの黒龍を放つヤツか。というか迷惑だなぞ。

 前にも似たような事があったし、いい加減魂を入れ替えるネタはやめて欲しい。


「元に戻せねぇ?」

「……どういう能力か判明しない事に分からない。術者も明らかではないようだ。今はしばし耐えるがいい」

「すみませんねぇ……。うちの息子が愚かな事をやらかして」


 ゲンナリしながら朝飯を済ませたぞ。問題はこの後。


「……このまま通学するしかないんかな?」

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