142話「闇の交錯① ソウルチェンジ!」
ここは東京都────!
都会だけあって喧騒が絶えない最中、とある男が静かに歩いていた。
漆黒のマントで全身を覆っている。逆立った黒髪。陰険そうな目付き。
「フン……」
彼は刻劉ジャオウ。
ジャキガン学院の生徒であり、全国大会でも名を馳せていた猛者だ。
いつもクールで寡黙な彼ではあるが、実は気にしていた事があったぞ。
「夕夏ヤマミ……。我らと同じく闇の眷族。貴様と繋がりを深く感じる」
そう、秋季大会で一回戦の時にナッセと共に激戦を繰り広げていた女。
黒炎を創れるといい、地形を伝播する漆黒の小人といい、時空間魔法といい、麗しい魔法少女といい、闇をこれほど操れる女は他にいない。
そして風貌でも冷静沈着で好みの生徒会長風の身なり。
あれはナッセごときもったいない闇の眷族だ。
秋季大会以来、気にならない日はなかった。
冷静を装っているものの脳裏はヤマミだらけだ。裸を想像したりして毎晩お世話になっている。生で見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。見たい。ハァハァ!
「フッ! 闇は同じ闇に惹かれあう……か」(でも下心満載)
ジャキガン学院。漆黒で染められた大きな建物で、昔から多くの猛者を輩出してきた由緒正しい名門校だぞ。
ヤマミがいっぱいになっているジャオウは、職員室にいる占い師っぽい創作士を訪ねていた。
黒い三角帽子にマント、いかにもな黒魔導師である。五十を超える年寄りだが威圧はただならない。
常に水晶玉を手の上に浮かせている。
「ふむ、それで魂を入れ替えて欲しいとな……」
「ウラババ先生。できるのか?」
「制約で実現している能力だから、できなくもないが一応聞いてもらう」
「話せ」
ウラババ先生は「相変わらず、不遜だな」と思いつつも話した。
●対象者の体の一部か写真を媒介にしなければ発動不可。
●発動後、対象者と自分が揃って意識を失った時に効力が適用される。
●体は入れ替わっても記憶と能力はそのまま。
●同じ人間に二度は効かない。
●片方が死んだら生きてる方も死ぬ。
「効果継続は“誓約”次第ではあるが……」
「一週間あればいい」
「ふむ。それだと対象者の体の一部か写真を肌身離さず一週間、だな」
するとジャオウは懐からナッセの写真を取り出して「条件は既に満たしている。どうなんだ?」と無愛想に言ってのける。
そんな用意周到さにウラババ先生は驚いたが、フッと笑う。
「それは何日前からだい?」
「知らん。忘れたが二週間などくだらん」
「効果長くなっちゃわない?」
「構わん。やれ」
「はいはい、どうなっても知らないよ?」
ウラババ先生は全身をエーテルで包む。ズズ……!
「行くよ……! 特異系能力『双方の魂は等価値』発動──!」
オレは身を起こして「ふぁ~あ」と両腕を伸ばしてあくび。
むにゃむにゃと眠気残るまぶたを擦る。
「ん……?」
周囲の風景に違和感を持つ。
なんと見慣れぬ一人部屋のベッドにいるではないか! オレは飛び起きた!
キョロキョロ見渡して、自分の部屋と違う事を察した。
カーテン、机、椅子、ベッド、タンス、本棚、いずれも漆黒だ。オレの部屋ではない。
誰かの部屋ではあるが、どういう事だぞ??
「……まさかッ! 新手の『能力者』の攻撃を……受けているのかッ!!」
ドドドドドドド……!
ざわつく心境。汗が頬を伝う。そして鏡をふと見て、ゴゴゴと臨場音を醸し出しながら徐々に自分の姿を見てしまう。
漆黒に逆立った髪、ツリ目、戦闘服っぽいパジャマ、どう見てもオレじゃない!
どこかで見かけた気がするが、何よりもオレがオレじゃない!
「どういう事だッ!!」ドォーンッ!!
某漫画風に戸惑いをあらわに独特なポーズで立つ。
「オレが……オレが『別人』にッ!! この人の『能力』で入れ替わったのかッ!? 一体いつ!? まさか、そんな……『攻撃』をいつの間に受けたッ!?」
素数を数えよう、と思ったら素数ってなんだよと断念して、状況整理。
オレは落ち着きはらい、仁王立ちしてエーテルを練る。ズズ……!
右手にはいつもの刻印がある。
星屑を散らして光の剣が『いつもののように』生成できた。
オレの能力は健在…………。
いつもののように戦える事は把握した。いざとなればなんとかなるだろう。威力値も以前と変わらない。戦闘面では問題ない。
すると首元に刃の反射光が!
「……ッ!!」
殺気も気配もなく、刺客がいつの間にかオレの背後に回っていた。
あとがき
新年あけおめw よろw
この『闇の交錯』編が終わったらインドの四首領編いっくよー!




