136話「闘札回廊編 ~ルールブック」
エジプトの大きなホテルに泊まったぞ。
【カイロに聳える帝王ホテル】
フィールド魔法カード
能力:対象を問わず1200人まで泊まる事ができる。泊まった人を回復する。
解説:黄土色のレンガで積み立てられ、中は近代に拵えていて、煌びやかなシャンデリアで照らし、赤い絨毯が広場や通路、階段に行き届いている。一室一室も綺麗な部屋でベッドとか真っ白でフカフカ。テレビもトイレも完備だ。
オレとノーヴェン、ミコト、コマエモンはその広い一室でソファーにくつろいでいた。ドン!
「……まさかナッセ君とコマエモンが古代決闘のルールを知らない素人だとは思いませんでしター。これは深刻デース」
「いや、あれは何というかイミフ」
「拙者も同じく」
ミコトは内気な性格で「しょうがないですよ。決闘創作士ではないですし」とフォローになってないフォローをしてくる。
いつもはオドオドしてて大人しいけど、カードゲームやマチモンに関してはえげつない戦法使ってくるぞ。
いや、オレも闘札王やった事あるけど分からんて……。
理解してるノーヴェンとミコトが異常なんだよ!
「これからブラックピラミッドへ挑むに辺り、恐らく古代決闘メインで戦う事になるかもしれまセーン!」
三〇万年前の邪神とか言ってたしなぁ。
「今のままのナッセとコマエモンでは足手まといでしかないデス」
そう言いながらガラステーブルの上に分厚い本を乗せてきた。ドサドサッ!
日本語訳のルールブック? え……何冊あんの?? あんな厚いのが何冊も?
そりゃイミフな決闘やってるワケだよ。
「これを一晩読破して理解するしかないデース!」
オレはコマエモンと見合わせる。
ミコトは「頑張ってね。簡単だと思うよ」とかムチャな事言って、バスルームへ行ってしまう。
更にノーヴェンは二つのメガネを渡してきたぞ。
コマエモンには両端が翼を模した紅い眼鏡【赤影の眼鏡】!
オレには黒アゲハを模した眼鏡【パピヨンメガネ】!
「「いるかっ!!」」
ついコマエモンとシンクロ突っ込みしたぞ。
「さっきの古代決闘はライバル同士、って事なので巻きぞえはしないよう配慮されてましタ! ですが邪神は恐らく巻き込むほどの決闘をしてくるデショウ! このままでは命に関わるゆえ、気休めでも耐性メガネを装着して欲しいのデス」
マジ顔で言ってるから、悪ふざけでやってるのと違うんかな?
言ったもん勝ちで適当にやってるだけにしか見えんぞ?
「古代決闘ったって闘札王と似てる部分があるかも……?」
ピラっとめくると数学の数式みてーに難解な専門用語や記号などで説明しているようだった。
一応デッキとか手札とか墓地とか発動とか豆腐とか分かるものはあるが、『全裸にならないとDカウンターを止められない』とか『四〇ページノートで雑巾のアタックによる状態異常攻撃を防げる』とか理解不可能な文が多いのだ。
法則で理解しようと読んでも、どれもワケ分からんものばっか。
「ノーヴェン、本当にデタラメで書かれてるんじゃねーのか?」
「ワット! そのように見えるのですカー? ちゃんと丁寧に法則に従って書かれてますガ?」
「オレおかしいのかな?」
「それを言うなら拙者もおかしい事になるでござろう?」
さそも当たり前のように言ってくるから、自分がおかしいのかと苦悩する。
一時間くらい真面目に最初っから読んでみた。
「……分からん! 全く!!」
「拙者もでござる……!」
頭を抱えるしかない! 転げ回りたい気分ぞ!
闘札王なら、数多あるカードの中から好きなカードを選んで四〇枚以上のデッキに組んでゲームスタート。ライフは四〇点制。初手で五枚ドロー。
ドローフェイズ:デッキからカードを一枚ドロー。
スタンバイフェイズ:カードの効果の処理。
メインフェイズ:自分のカードのプレイ。
バトルフェイズ:自分のモンスターの攻撃力と相手モンスターの守備力で戦闘。相手プレイヤーへのダイレクトアタックならレベル数値で相手ライフにダメージを与える。
エンドフェイズ:自分ターンの終了を宣言。相手ターンになる。
どっちかのライフがゼロになったら負け。デッキがない状態でドローできないなら負け。勝敗条件が分かりやすい。
デッキとか手札とか墓地とかライフとか、カードゲームやってる人なら分かる。
魔法や罠や対抗カードも然り、モンスターカードも通常、効果、融合、同調、と種類がある。
ちゃんと素人でも分かるようなルールだ。ルールブックだってそのようになっている。
だが、ノーヴェンが持ってきた古代決闘ルールブックにはそれすらない。
ちょくちょく単語は見かけるが、それすら霞むほどに理解不能だ。
「ヤマミなら分かるんかな??」
「想像できぬでござるが……」
「だよね」
ここまで理解ができないのなら、一晩漬けでも無理だろう。
「オレは普通に戦うよ。いざという時は妖精王になればいいし」
「……そう言うなら、拙者のこの刀でも通用するのだろうか?」
妙に気があったぞ。
オレとコマエモン、どこか合ってる所あるかもしんない。
ノーヴェンには適当に「ルール分かったぞー」とだけ言ってグースカ寝たぞ。
そしてオレたちはラクダに乗って、砂漠を疾走!
砂煙を巻き上げながら、広大な砂漠を駆け抜けているのだ! しかもマントを羽織って砂避けにもしてる!
ドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!
空一面青空で太陽が眩しい。広くて平らな砂漠に雄大なピラミッドが大小並んでいる。
スフィンクス像まであるぞ。
すると、向かう先にズズズズと上空で暗雲が立ち込めている下で漆黒のピラミッドが視界に入ってきた。
すると後ろから漆黒のラクダを駆って寄せてくる四人の黒マント!
「ヒャハハハハ! 狩りの時間だぜぇ!!」
「ククク……!」
「覚悟はできているか? 俺はできている!」
「おい! 古代決闘しろよ!」
不穏な気配にノーヴェンとミコトは「危ない! ナッセとコマエモンは内に!」と避難勧告してきた。
それをさせまいと、黒マントは石版から【豆腐】を基に、【増殖する雑巾】【フォレストジャガイモ】【虚無へ吸い寄せる掃除機】など意味不明なモノを出してきて、次々と高レベルモンスター召喚の布石にしていく!
ズズズズズズ……!!
ノーヴェンもミコトも焦るほど、巨大なモンスターと多数のモンスターを出してきたぞ!
手練らしい黒マントたちは、巨大な魔神【黒嵐の魔神ヤキソバン】と強力そうな【魔狼の豆腐獣】【熱殺の電死レンジャー】【忘却されし積みゲー】【深林を徘徊する襲環殺死ジャンプ】とオーラで包むモンスターでにじり寄ってくる!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!
「貴様らの命運もここまでだ! さぁ死n……」
しかしオレは既に右手で超巨大な銀河の剣を生成してたぞ!
その圧巻に目をひん剥いて畏怖していく黒マントども!
「危険運転はルール以前にマナー違反だぞ!」
巨大な長い刀身で薙ぎ払って、モンスターと黒マント全員をまとめて一掃!!
全てのモンスターを木っ端微塵にされ、黒マントどもは「ぎはああああああああ!!!」とぶっ飛ばされる。そのまま後方でバゴーンと砂煙を噴き上げた。
ポカンとするインテリスリー。
「よし! 古代決闘のルールはマスターしたぞ!」ド ン!
マスターした事にしたw とりあえず分からんので力押しで行くしかねぇw




