128話「平成文明開化!!」
二〇〇九年十一月二十二日……。
オレは城路ナッセ。
大阪駅のすぐ側でヨドバシカメラって大きなデパートが建っている。ヤマミと一緒にそこでショッピングを楽しんでいた。
「おいおい安くねぇかぞ!?」
その家電売り場で、衝撃的な事実を知ってしまったからだ……。
なんとテレビ、洗濯機、掃除機、電子レンジ、照明、その他の機械でできた商品が軒並み半額以下となっていたぞ。元四万が六〇〇〇円とかすっげー格安もあるし……。
「……機械系統の家電が売れなくなってしまって、この通り価格低下してしまいまして」
店員が来るなりそう言ってきたぞ。
続いて説明を受けると、異世界文明の『刻印』による魔法陣で構成される魔導具が主流となっているそうで、使い勝手がよくバカスカ売れている模様。
「えぇ……、もうそんな時代かぁ」
「ええ。文明開化ってトコかしらね」
「元いた並行世界じゃそんな事なかったのになー。ってか魔法なんてなかったから当たり前か」
更に話を聞くと、例え停電しても内蔵魔法炉で貯められたエネルギーで作動が可能。おまけに自分で魔法力を流し込んで貯めておいたり、作動させたりできる。
それに水浸しになったらほとんど壊れてしまう機械だが、魔導具はその心配がない。
製造方法についても、ありとあらゆる部品を必要とする精密機器に対して、極端木造りのハリボテにコーティングと魔法陣を施すだけで家電の機能を上位互換で再現してしまう。魔法陣さえ刻めれば大抵の事が叶ってしまうからだ。
それに重くなくて引っ越しの時も苦労もしなくて済む。
「そりゃそっちの方を買うよなー」
複雑な時計も魔法陣で時空間と連動して作動しているから時間は正確だ。腕時計にしてると持ち主の微弱な魔法力を吸って半永久的に作動し続けるから、電池要らずなのも凄い……。
で、電池もその弊害で売れなくなってたりするのが気の毒。
バッテリーに至っては魔法炉なんてものが出てきてから、それ関連の会社は大赤字らしい。
軽くて有害成分がいらない魔法炉に比べて、バッテリーは重いのが多い上に有害成分である鉛や硫酸が含まれている為、処分が難しい。
そのせいで潰れていく会社も少なくないと聞くからビックリしてしまうものだ。
全部店員が言ってたけどな。
武器防具の売り場へ行くと、剣や槍など従来品が並ぶ最中で、奇妙なものが並んでいた。
「これは……?」
「杖?」
「どっちかと言うと剣の柄っぽいなぞ?」
すると店員さんが来て「最近、出てきたばかりの新型ですよ」とニッコニコ。
柄を手に取るなり内蔵された『刻印』が内部から灯ってきて、先っぽから白い刀身がニュッと伸びてきた!?
「これは剣型の魔導具です。名称は『ブッキー』です。武器と鍵をかけた感じですかね」
ブッキーって柄には小さく『剣』『槍』とか書かれていて、それに応じた形状を取るらしい。
「持ち主の力に合わせて攻撃力が増す?」
「いえ……、量産型なので攻撃力は一定です。なので初心者向けですかね」
オレの『刻印』による光の剣とは性能が違うか……。これじゃ買っても折れちゃうよ。
形状もメーカーによって異なってたり価格も違う。
火炎を出せる特殊な剣などは高額だ。ブレードには不透明のと半透明のがあるが、色んな色もあって迷彩色のもある。
「あ、そうそう。これもよく売れていますよー」
「ん? リストバンド??」
「まさか……」
ヤマミの推測した通り、店員さんがリストバンドを手首に嵌めて「盾!」と叫ぶと、半透明の盾が具現化された。
これも一定の防御力なので、オレの『盾』とも違う。
しかしその分、これらは消耗が少なくて済むので初心者にはありがたい魔導具だぞ。
「その名も『タテッコー』です。盾と手甲です。親しみあっていいでしょう」
リストバンドしか見えないから、気軽に装着できるし長袖で隠れるし便利だなぞ。
ただオレのと違って『盾』の座標を自由に決められず、タテッコーから少し離れた位置に固定されてる。大きさも一定で、小型盾や全身をカバーできる大盾などがある。
半透明を見せられたが、不透明のもあったり、迷彩色もあったりする。
ブッキーもタテッコーも今は初期型の量産型だから、これからもっと性能が向上していくかもしれない。
「創作士増えてきて、当たり前のような世界になってきてるもんな」
「ええ。そうでしょうとも。大人気です」
他の人も色々相談してたり、下見してたり、購入してたり見かける。
中には家族で子供用に買いに来たりもあったりして、身近な存在になったのだと実感する。
「エンカウント現象も度々起きるから、これからの必需品になりそうね」
店員さんに勧められたけど、オレたちは元から具現化できる『刻印』あるから申し訳ないけど断った。
いずれ、オレみてーに空中で固定して足場にするタイプも出てきそう。
「いやホント、時代変わったなぁ」
「それね」
外を出ると、薄暗くなってきたせいで街灯が明かりを灯してきた。
これも実は明暗で反応する魔導具で、やはり魔法陣とか内蔵されている。
「こうやって幾度もなく文明開化を繰り返して未来へ進んでいくんだな」
「そうね……」
江戸時代では、飛行機とかテレビとかそんなモノは想像できんよな……。
それと似たような事が今起きているのだ。
そして、今よりもっと未来でも更に新しい文明が登場してきて驚かされるんだろうか?
冷えた風が吹いてくる……。もう十一月だもんな。
「冷えるわね……」「うん」
帰宅する頃は午後九時、十一時に就寝する際に暖め合いました……。ふう……。




