125話「新・無頼漢!!⑪ 熱血三大奥義!?」
「武器をもった強敵が相手なら『熱血三大奥義』を使わざるを得ない!」
最終フロアのボスであるバフォメットを前に、オカマサとドラゴリラは敵わず力尽きざるを得なかった。
何度も不屈と挑戦と奮起を繰り返してきたオカマサは地に伏したままだ。
親友であるドラゴリラもゼェゼェ息を切らして立ち上がれないでいる。二人はもう逃げる事はおろか、立ち上がる気力すらない……。
斧を持ったままバフォメットはその間も悠々と歩いてきている。
着実に死への秒読みは開始せざるを得なかった…………。
瀕死のオカマサは思い返す。
ナッセたちが繰り出す『三大奥義』────────────────。
『賢者の秘法』
『無限なる回転』
『超越到達の領域』
繰り出せれば確実に必殺となる奥義。ナッセが繰り出す奥義は確かに絶大な威力を発揮していた。
数々の強敵を打ち破り、大魔王をも打ち倒すほどに……。
オカマサは思った……。
もし俺が繰り出せれれば、目の前のバフォメットなどコテンパンにできただろうか?
「────否!」
オカマサは地面に手を付けて、ググッと立ち上がろうとする。
糞餓鬼の繰り出す三大奥義など糞くらえだ! そんなモノに頼るかい!
「俺にはな……、取って置きの奥義があんだよ! 糞餓鬼の三大奥義すら上回るの……なっ!」
「せや……! ワイとオカマサは最強の熱血漢なんや……! 負けられへんわっ!」
憤怒と立ち上がるオカマサに、ドラゴリラにも火がついて決起せざるを得ない。
バフォメットは突っ立ったまま見下ろしている。
いつでも殺せるから、無駄に足掻いて苦しんでいるのを眺めているだけだ。いい趣味をしている。
「武器をもった強敵が相手なら『熱血三大奥義』を使わざるを得ない!
限界を超えて燃えろッ! 俺の熱血魂────ッ!!」
熱血三大奥義がひと────つ!!
それは例え力尽きようとも、残った命を燃やす事で再び戦える気力を蘇らせざるを得ない!
その名も……『生気燃焼』だッ!
ド ン!!
な、な、なんとォ──!! オカマサとドラゴリラは立ったぞ────ッ!!
バフォメットはニッと笑い、斧を振りかぶっていく。
その瞬間、オカマサとドラゴリラは目配せして手を繋いで『連動』ッ!!
再び、いや!! 前以上に燃え上がるオーラが二人から噴き上げざるを得ないッ!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
「更にもう一つ奥義を使わざるを得ない!」「せやで!」
熱血三大奥義がふた──────つ!!
本来、人間は自分が壊れないレベルに出力を二割か三割抑えている。だが、意図的に出力を更に引き出せれば常人以上の力を捻り出せざるを得ない!
その名も……『肉体燃焼』だッ!
オカマサとドラゴリラは肌を赤くしていってビキビキと血管が浮かんできて、燃え上がっているオーラがバーナーのような激しさを増さざるを得ないッ!
想像以上の体への負荷でミシメシと軋み音が聞こえてくる! だが! しかし!
「ごおおおおああああああああああッ!!」
「うほおおおああああああああああッ!!」
更に捻り出そうと気合いを吠えて前屈みに踏ん張って、オーラの激しさは増していく!
「限りなく燃えろ!! 燃え尽きるまで燃えろ!! うおおおおおおおっ!!
20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%!!
100%、1000%、10000%、100000%、1000000%!!
100000000%だァ────────────ッ!!!」(勢い)
ドドドオオオォォォンッ!!
フロアごと超振動で震わせ、吹き荒れる烈風で粉塵が巻き上げられて流されていく!
あまりの熱血でオカマサとドラゴリラの瞳が火炎球へと変わらざるを得ない!
興奮しすぎて耳からも、目からも、口からも、アナルからも、血が噴いていく!
しかも部分部分、皮膚がペリペリ剥がれていって、斑模様みたいに!
出血さえ沸騰するほどに燃え上がるオーラは破滅的な勢いへ高まらざるを得ないッ!!
「「ふんぬおおおおおおおおおおおおおおおおッッ!!!」」
それでもバフォメットはニヤニヤ小馬鹿にしている。
「おっと、そのまま行くと無駄死するぜ。アイツ精神生命体だからな。物理の一切は効かん。だから光属性を、そっくりリボンでも付けて付加させてやるぜ!」
誰かが片手を向けて「レヴ・フカーズ」と唱える。光子の吹雪が舞い、オカマサとドラゴリラを包んで染み渡る。しかも二人の手首にリボンが装着された。
その時、余裕ぶっていたバフォメットは一転して恐怖し、即座に飛び退く!!
「逃さなへんでッ!!!」
「ああッ! 更の更に三つ目の奥義を使わざるを得ないッ!」
熱血三大奥義がみ────────っつ!!
一瞬に生涯全てを賭ける一撃! 二の太刀要らずのマジ一撃必殺!!
その名も……『生命燃焼』だッ!
ド ン!!
オカマサ 威力値:320000!!
ドラゴリラ 威力値:360000!!
二人が駆け出すと大地が爆ぜて爆発ッ!!
衝撃波が吹き荒れるが、それより疾く走るオカマサとドラゴリラは音速を超えながら両足飛び蹴りの姿勢に飛翔ぶ!!
「ドラゴリラ────ッ!!」「オカマサ────ッ!!」
その状態で二人は背中合わせに、お互い腕を絡ませ手で握り合って合体ッ!!
な、な、なんとォ────!! 二人の体が“漢の絆”で輝いたァッ!!
ギガガアァァァァッ!(謎擬音)
その凄まじい漢の輝きにバフォメットは恐怖を感じせざるを得ないッ!
合体したオカマサとドラゴリラはドリルのようにキリモミ超高速回転を始め、火炎の渦による尾を後方へ伸ばしていく!!
「俺とドラゴリラはぁぁぁ────ッ!!」
「どこまでもッ、どこまでもッ、燃えて燃えて燃えまくるんや────ッ!!」
最高潮に燃え盛る二人は気合いを叫び、必死の形相をせざるを得ないッ!!
『ツープラトン奥義ッ!! 熱血爆裂ドリルキィ────────ック!!』
バフォメットの腹を抉るように炸裂ゥ──────────────ッ!!
ズドギュルルアアアアアアッ!!!
「ガフォオオオォォオォ────ッッ!!」
さしものバフォメットも見開き、大量の吐血せざるを得ないッッ!!
全てを震撼させるほどの衝撃波が奥行きまで走り抜け、壁に衝突して天地崩壊級の破壊力が最終フロア中を暴れまわった!!
ドゴオオオオォォォォォンッッ!!!
さすがにバフォメットも跡形なく木っ端微塵に散らざるを得ないッ!
シュウウウウウウウウ……!
「ふうっ! 全く無茶しやがるぜ……! 全快回復魔法!」
本来ならオカマサとドラゴリラは力尽きて死ぬはずが、謎の漢の回復魔法により、辛うじて死を逃れた。
なんせ筋肉全断裂、全身複雑骨折、致死量超過出血、下半身欠損と致命傷コンボにならざるを得なかったからだ。すぐに回復できたから良かったようなものの、即死してもおかしくない。
しかしオカマサとドラゴリラは包帯グルグル巻きで寝かせざるを得なかった。
治療を終えた謎の漢は合掌しながらペコリとお辞儀。
「俺は地岳麺! 格闘僧だぜ!」
ハゲの好青年。額にはX字の傷がある。半裸。黒いズボンと手首の装備で某漫画の三ツ目キャラを彷彿させざるを得ない風貌だ。
「ありがたい……。助かったよ」「せや……」
「なに、気にする事はない。俺一人ではバフォメットには勝てそうになかったからな……。威力値一七〇〇〇だし。
……ただ言いにくいが、熱血奥義とやらは二度と使わないでくれ。次は死ぬぞ」
オカマサは「死を覚悟して放った奥義だ。後悔はないさ」と清々しく笑う。
ドラゴリラは忠告されてドキッと怯んでいたが、オカマサが笑うと「せやで!」とニンマリ笑う。調子のいい相棒だぜ。
「……まぁ、下半身なくなったけど後悔ないなら良いか」
それにオカマサとドラゴリラはショック受けてガ────────ン!!!
喪失感のあまり思考放棄に陥って頭がボ──────ン!!
意気消沈か、真っ白に燃え尽きてチ────ン!
『熱血三大奥義』を使ったが故に、下半身を失う代償を払わざるを得なかったのだ……。
二人がお互いの名を叫ぶのって相棒感出てていいよね。
いつもはナッセとヤマミがやってるけど、オカマサとドラゴリラも同じ事をやりました。
あと二話で『燃えろ! 新・無頼漢!!』は完結せざるを得ない。




