122話「新・無頼漢!!⑧ 超えられない壁……!!」
再び『洞窟』へ潜って三日目────!
今日も楽勝な戦闘をしていたぞ。
ジンイチが左右に腕を振るうと、放射状に無数のナイフが『衛星』として並べられた。
「キョキョキョ────! 強者戦慄襲撃────ッ!!!」
ジンイチが左右の腕を胸元で交差するように振ると、一斉に無数のナイフが弾丸のように飛んでいってモンスターたちを撃ち貫いて粉々にしていく!
一気に何十匹ものモンスターが原型留めないまでにバラされて肉片散らばって、煙となって蒸発していった!
「危ないっ!! 後ろっ!!」
なんとハイパークミーンが前転回転でカラによる体当たりが迫って来る!!
しかしジュウが「バンバン万射撃!!」と両手の機関銃と肘から出てきた機関銃による四丁での超高速連射による集中砲火でカラをいとも容易く貫通して血と肉片をぶちまけた。
「あのカタツムリを一撃とは! なんという威力だ……」
「せやな! 回転されるとエンドレスやからな! 回転される前にハメないと倒せへん強敵をこないな……」
「やっぱ戦闘力が全てかよっ! でも仕方ねぇかっ!」
オカマサとドラゴリラは安堵して、突進して来る大鬼猪に対して『連動』しての殺陣進撃で左右から連打を打ち込む!
強烈な一瞬連撃で分厚い皮膚と肉を斬り裂き、血飛沫を吹き散らす!
体勢を崩してヨロヨロした所をジュウが集中砲火による爆発の連鎖に巻き込んで木っ端微塵!
「俺たちはもはや最強だよ!! これなら異世界転移も余裕で行けそうだ!」
「せやああ!! ワイら熱血漢!! 誰だろうと負ける気がしないんや~~!!」
四匹の熱血漢は留まる事知らず! 快進撃は快調と続いた!
しかし……!
ズズ……! 曲がり角から、超濃密な黒いイバラが無数蠢いている……!
ここは魔の交差点! ナッセたちも戦慄させられたというフロア!
そしてあのイバラの形を取っているフォースこそが『闇の重圧』だ!!
このフロアへ入ったばかりで、まだ遠いというのに俺たちは極寒に凍えるように竦んでしまった!
底知れない闇を見るだけでもゾワッと全身が凍てつくようだ!
「や……ヤバいっ……!! こ……こんなっ…………!!」
「せやぁ……っ!!」
オカマサ、ドラゴリラ、ジュウ、ジンイチは冷や汗タラタラで恐怖に打ち震えていた。足がガタガタ震えて動けない。息苦しく過呼吸気味。
それほどまでにドス黒く邪悪過ぎるフォースなのだ。
ズズズズズズズズズズズ…………!!
ちょっと触れただけでショック死してしまうほどの、おぞましいフォース。
さっきまで強気だったジュウは怯えた顔で、両膝を床に下ろしてしまう。明らかに心が折れてしまったと分かる挫折……。
「じ、冗談じゃねぇ!! あんな凶悪なの……越えられるかよっ!!」
ジンイチはガタガタ震えだして足が後ろへと引いていく。
オカマサとドラゴリラは震えながらも、二人の様子に絶句してしまう。だが、確かに無理に前進しようとすれば身体が強い拒絶反応を示して逃げてしまいたくなる衝動に駆られそうだ。
「こ……こんなのを、ナッセは、ヤマミは、リョーコですらも……越えられたのか!?」
「そ、そんな!! ありえへんっ!! こないな死んでまうわ!!」
「ごおおおおおっ!! 負けられるか!! この熱血魂を燃やし……っ!!」
無理矢理にでも足を一歩前進したいが、全く動いてくれない!!
「ま……負けるかァ…………ッ!!」
不屈の想いで力強く、この場から踵を返してっ!!
オカマサは我先と逃げ出したァ────────ッ!!
び、ビビったんじゃない! 戦略的撤退だァ────ッ!!
「ああ~っ!! オカマサ~っ!?」
「ドラゴリラ! 来てくれっ!!」
ガシッ! オカマサはドラゴリラの手首を掴んだ!
ぐいと引っ張られてドラゴリラまで逃げ出す。ジュウとジンイチも「ま、待てっ!! 置いていくな──っ!!」とそれに続く。
四人揃ってグルグル渦巻き状の足でピュ────────ンと煙を立てて数々のフロアを突き抜けていった。
モンスターが現れるもピョ────ンと飛び越えて逃げて逃げて逃げまくりっ!!
一目散に脇目も振らず、オカマサは火事場の馬鹿力の勢いで逃げ出す!!
「ごおおおおおおっ!! 勝ったっ!! 勝ったんだァ────!!!」
あの闇の重圧など糞喰らえだっ!!!
ごははははっ!! ざまーみろ!! ざま────みろ!!
この俺とドラゴリラにかかれば敵じゃないんだよっ!!
……なんとかオカマサたちは大阪へ無事帰還完了! ぜーはぜーは!
「……悪いな。俺は降りる。素直に刑に服した方がいくらか平穏だ……っ!」
「お、俺様も! なんか用事思い出したから帰る!!」
「お……、おい!! 待て! まだ終わってな……」
オカマサは引き止めようと慌ててジュウの肩を掴む。しかし払われる。
かなり怯えた顔で引き攣っている。
「嫌だ────っ!! あんなヤバイの関わりたくねぇ────っ!!」
「そうだそうだ────っ!!」
涙目のジュウとジンイチは脇目も振らず逃げ出して、人混みへ消えていった。
あまりの恐怖によって彼らは心が折れてしまったのだ。恐らく『洞窟』へ挑む事は生涯ないだろう。それだけトラウマだったのだ。
しばし呆然と立ち尽くすしかない。
「また振り出しかよっ!!!」「せやぁっ!!」
またもや仲間を失い、オカマサとドラゴリラはガクッと肩を落とした。
だが二人は顔を見合わせて「へ……へへ!」と安堵の笑みを漏らす……。
本当、お互い生きててよかったと!
「俺にはお前が」「ワイにはあんさんが」
「側にいてくれるだけでいい……!!」「側におるだけでええんや!」
恐怖で凍てついた体を温めるように二人は抱き合った……。ぎゅっ……!
それはともかくとして、帰ってきたジュウの自白でオカマサたちの恩赦は取り消された。
指名手配されつつあるので、捕まったら免罪された数々の罪が復活して実刑を受けるのは間違いない。
もはや後がないぞ…………。




