120話「新・無頼漢!!⑥ 自業自得」
双頭のアホロートルが大きく開けた口から黒いウツボが長────く身をくねらして襲いかかってくる!
しかし「そうはさせん!」とばかりにナウォキが雷迸る拳でドガッと殴り飛ばす!
「今だっ!! 三匹の漢ども、行けぇぇぇええっ!!」
オカマサ、ドラゴリラ、そしてマフラーを靡かせるナッセ!!
三匹の漢が燃え上がる情熱を胸に、キッと鋭い眼光を見せ、揃って得物で構え────!!
「トリプル殺陣進撃ッ!!!」
駆け出した三人が繰り出す一瞬連撃の筋が幾重も走り、アホロートルへ連打!!
ウツボもウーパールーパー本体も無残に引き裂いていく!
「ギィ……アアァァァ…………ッ!!」
ドゴアアアアアンッ!!
三匹の漢の背後でアホロートルは派手に爆破四散!!
そして快い笑みで三人は「やったなっ!」と拳をぶつけ合う。湧き上がる歓喜。熱い友情で結ばれた力を実感できる確かな手応え。充実して胸が明るく心地よく満たされた。
学院入学時に出会ったナッセを加入させて、これまでやってきた。
他から『三匹の熱血漢』と恐れられるほどに有名になっていた。
そして新たにテンチュとナウォキを加入して五人のメンバーで組んで、この『洞窟』へ臨んでいた。
順調に進んでいて、共に威力値が万を越えるほどに成長している所だった。
「────────夢か」
オカマサは薄暗いテントの中で身を起こした。
明るく充実した夢から覚めると、一転して陰鬱に気分が沈む……。
側を見やると、いびきをかいているドラゴリラ。そして向こうでナウォキが背中を見せて寝ている。
「有り得たかもしれない世界……? いや無いな! 絶対に!」
有り得ないと頑なな否定し、スクッと立ち上がってテントの外へ出る。
まだ深夜か、現実の時刻に合わせて安全地帯は薄暗い。冷えた空気が皮膚に染みる。散歩気分で歩いていく。
結構広い空間だなと思いながら、切なげに見渡す。
覚えている。
城路君とアニマンガー学院で出会い、サンライトグループを立ち上げて学院祭を盛り上げた事。
それは元いた並行世界の彼方で起きたかつての出来事……。
しかし、どこからかけ違えたのか、城路君と仲違いし疎遠していった。
ドラゴリラと一緒に「絵が描けると自惚れている、下手糞な素人」と見下していた。
実際は自分より絵が上手いって分かっていたが、それは認めたくなかった。
素人より下手糞と思う事にすればスッキリする。
それに女にうつつを抜かす軟弱男で、いつも癪に障る糞餓鬼……。そう思い込んで自尊心を保ってきた。
────でも、もしも!
お互い力を認め合って、切磋琢磨していたなら────?
あの夢通りになっていただろうか……、とも陰鬱に沈んでしまいそうだ。
五人の漢として邁進し、共に各々の夢を目指していく。
そして生涯の友として、末永く付き合っていたのだろうか?
「それでも、俺にとってはドラゴリラと二人きりが一番なんだ……!」
夜空を模すように煌く天井を見上げる。
愛しいドラゴリラと俺の間に入れるのは絶対許せられない。
いずれにせよ、俺は城路君を拒絶する。馬が合わない。絶対に夢のようにはならない。
9999無量大数の確率で有り得ないほどに────────……。
「糞餓鬼なんかと馴れ合うつもりはねぇな…………」
フッと悪辣に笑む。
熱血漢として、最後まで軽蔑し見下し、そして決別すると覚悟して……!
「あばよ! 城路ナッセ君!」
その辺の木を彼に見立てて、思い切って殴った。ゴキッ!
「いってええええええええええええああああああああ……!!!!!」
朝日が昇ったかのように明るくなっていく安全地帯……。
ドラゴリラとナウォキは戸惑っていた。
赤く腫れ上がったオカマサの右手に、二人は思わず顔を見合わせた。
「安易に八つ当たりするもんじゃなかったよ……」
誰も回復魔法使えないから回復アイテムや自然治癒に頼るしかできない。何しろ内出血に加え指の骨折までしてたので、治るのにクッソ時間かかるんだよね。
その間に貯めていたアイテムや食料を全部消費してしまい、引き返すしかなかったのでした。
戦えるほどに治ったもののオカマサは終始ショボンしていた。
ようやく大阪へ戻って、ナウォキはふうと一息。
「俺は降りるぜ……。アバヨ!」
バイバイと片手を振ってオカマサとドラゴリラを後に去っていく。
決別するぜとばかりに、漢らしく潔く身を退く姿勢だ。
「待ってくれ!!」
「……フッ! 止めてくれるな」
「いや赤信ご……」
間髪入れず超重量トラックが高速で走ってきて、ドガンッとナウォキは撥ね飛ばされて、空の彼方へキラ────ン!
彼もまた死して異世界転生したのだ……!
「「兄貴────────────ッ!!」」
オカマサとドラゴリラは涙を流しながら、空に映るバストアップのナウォキに慟哭した。




