108話「全国大会 ~超激戦だぞ!④」
「「「ドワアアアアアアアアアアアアッ!!」」」
一回戦とは思えぬ、白熱した激戦に観戦客の歓声が大音響する!
ジャキガン学院の生徒たちも、予想外の強敵に驚き戸惑っていた……。
「チササやカレンならまだマシも、まさか残りのメンバーも手強いのか!?」
「まさか……!?」
「ノーマークの学院だからね。夏季の大会ではいなかったメンバーですし」
「し……しかし、手を抜いて相手してるだけでは?」
「我らがチームは手加減して遊ぶタイプじゃない……」
「ああ! 力こそが全て!! 全力でもって叩き潰すのが信条だーっ!」
「手を抜いて遊んでいては、相手チームへの侮辱にもなる!」
「すると……本当に苦戦しているのか……?」
生徒たちは息を呑む。
そう、ガチでやってて激戦になっているのだ。一方的な蹂躙でもなく!
「それでも勝つのは我らがジャキガン学院だッ!!」
「「「おお────────っ!!」」」
だいたい五局の激戦になっていた────っ!
まずはハンマーを振るう大女カレンと、ジャキガン学院のキャプテンを務めるマジンガ!
そして竹槍を振るう女天狗チササと、多種の眼力を披露するカイガン!
豪快に剣を振るう火竜王マイシと、黒炎龍を操るジャオウ!
黒い小人を使役し偶像化で身を包む魔法少女ヤマミと、幾重にも分身するウミノ!
最後は、光の剣を振るうナッセと、漆黒剣を振るうソージ!!
ソージは殺意漲る眼光を見せ、こちらへ剣を振るってくる!
その時、オレは妙な予感がしたぞ!
ガキン!
オレは太陽の剣で受け止め、足元の粉塵が舞う! ……軽い?
すると受け止めたはずの漆黒の剣から無数の残像がすり抜けてきて、瞬時に退いた! 微かな血飛沫が舞い、後方へ滑って踏ん張る! ザッ!
オレの上腕に三っつ小さな横一線の傷から血が滴る……。
やっべー! 退かなければ、深く斬られてたぞ……!
「へぇ? 勘がいいんですねー。大抵の人は腕バッサリですけどねー」
ソージは軽く剣を横に振ると、ブンッと無数の黒い剣閃が残像のように走っている。
目測で見るに、発生直後の浅い残像の内はすり抜けるが、濃い残像になっていき斬撃となる。だから受け止めても敵の懐まですり抜けてしまう。厄介だこれ……。
「これこそが闇紋深淵剣の残影剣ですねー」
ソージがブンブン振るたびに幾重の残像が踊る。まるで剣に遅れた影が分裂してくるかのようだ。
不敵な笑いを浮かべつつ、間合いを縮めに地を蹴ってくる!
空振りするように横薙ぎ一閃! 幾重の残像が広く薙いでくる! 太陽の剣をかざしてガギギギギと受け止める!
それでもソージは振りかぶった剣を太陽の剣に打ち付けて、すり抜けた残像が!!
ズガガガガッ!!
しかし右手で太陽の剣をかざしつつ、左手と肘の光のナイフで残像を捌いたぞ!
「何ねーッ!?」
ソージは見開く!
オレは後方で浮かしていた無数の光の剣による『衛星』を撃ちだす!!
「今度はこっちの番だーッ!! スターライト・シューティング!!」
オレを通り過ぎて飛びかかる無数の剣に、ソージは苦い顔で飛び退きながら剣と残像で弾いていく!
それでもオレは自身の左右から剣の『衛星』をヴンと生み出す! 数本に複製! 続けて斉射だッ!!
ソージは弾こうと構えたが、ハッとして大きく飛び退いた! ちっ!
ドドドドドン!!
連鎖する爆撃が破片を飛ばし、地を揺るがす! そう炸裂弾で撃ったのだ!
弾こうもんなら爆撃を身に受けて大ダメージになっていた!
「勘がいいってセリフ、そのまま返すぞ!」
「……弓だけではないんですねー」
それにオレは魔道士でもある為、剣による爆撃も得意だぞ!
横へ走りながら『衛星』による無数の剣を並べ浮かせ、次々と飛ばして爆発を巻き起こしていく!
ソージが潜り抜けて近づこうとすれば、それに合わせて飛び退きながら射撃ッ!
「くっ! 遠距離攻撃に切り替えましたねー!」
「そりゃそーだろッ!」
切り結ぶのが危険な相手なら、わざわざ接近戦なんかしねー!
それに残像の射程も広くないから遠距離攻撃に弱いのは明らかだぞ!
あまりにも一方的に攻撃され続けてソージは苛立ったのか睨みつけてくる。なんと三つ目がギンと額から見開かれた!!
「ダブりもほどほどにしてくれっ!」
あらぬ方向から声が飛んできて振り向けばカイガンがツッコんできた!?
「え……?」
そーいえば、カイガンさんも黒龍さんもソージさんも三つ目だもんな……。
「そんな事より、変身しないままで勝てると思うな! こやつらは強い!! さっさとせいッ!」
「だそうですー」
メキメキと変貌しながら巨大化していくソージにオレは「え?」と見上げていくしかない。
オレと同じような優男だったのに、上着破裂させるほどムキムキになって腕が四本と増えて、おまけに顔が三つになって三方向に向く。
お、おいおいっ!? 変身もできるのかぞっ!?
「ウオオオオオオオオオオオオ!!」
大気を震わせるほどの咆哮でビリビリと全身に響いてきて、烈風が周囲に吹き荒れて破片が飛び交う! 唸るような地鳴り! 絶えず流れていく煙幕!
四つの腕に漆黒の剣が具現化された!! もはや人外レベルだァ!!
「驚かせましたねー。そうです。ボクは阿修羅の魔獣王ですねー!!」
まさか!? チササとオオガみてーに『魔獣の種』を摂取して進化した魔獣!?
こんな強烈な威圧……ヤバい! このままじゃ……!
「闇紋深淵剣!! 残影扇風剣ッ!!!」
阿修羅ことソージは四本の腕を横に振るい始めるとギュルルルルッとプロペラみてーに高速回転を始め、周囲に黒き残像が怒涛の嵐のように放たれた!!
前とはケタ違いの範囲で吹き荒れる残像の嵐に、オレはゾクッと死を感じて見開き────……!
地響きと共に周囲の瓦礫を細切れに散らし、上空にまで黒き残像が踊っていく!!
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……!!
「もうナッセとやらは堕ちたわね……」
無数のウミノが阿修羅を見やって冷徹に笑む。
だがヤマミはうろたえない────!
「あら? それは妄想による願望? 結果を見ずに言うと痛いわよ」
「……なに?」
むしろ笑むヤマミに、ウミノは怪訝な顔を向ける。
阿修羅はニッと笑う。
立ち込める煙幕が流れていって、晴れていくと笑みは驚きに変わっていく……。
「なに……、ねッ!」
「へっ! 変身できんのテメーだけだと思うなぞ!」
煙幕を跳ね除けて、ロングの髪を揺らし、背中に四つの羽を浮かせ、足元で淡い光の花畑がポコポコと急速に咲き乱れ続けていく妖精王のオレが掌を指し伸ばしていたぞ!
攻撃無効化────、範囲内の破壊を小動物など優しいエフェクトに変換して溶かす超絶スキル!
「あ、あなたは……、やはりただものじゃなかったねー」
「ああ! オレは妖精王! こっから全力だぞ! おおおおッ!!」
ドウッと光柱のようにフォースを噴き上げて、大地を震わせていく!
それを見た複数のウミノは一人に戻っていって驚愕に満ちていく……。
「よ、妖精王ですって!? あの神秘的で幻想的で憧れるほどのファンタスティックな存在のっ、うらやまけしからんな存在ですってぇー!! ああっ! 悔しいぐらい美しくてっ、永遠の美顔っ、男ですら中性的に美しすぎてっ、抱きしめながら頬ずりしまくりたぁぁあいっ!!」
「……さすがに引くわ」
なんか冷淡な言動が多かったウミノが感情をあらわに悶えて身をくねくね踊らしながら、ハートマークの嵐を飛ばしている。そんな彼女にヤマミは汗を垂らす。
するとウミノは背景に炎を燃やしつつ、ヤマミへ睨んでいく。
「まさか……ナッちゃんは………あなたの?」
「ええ! もう関係持ってる仲よ! って、ナッちゃんは止めて!」
「ああああああああああああああああああああっ!!!!」
耐え切れなくなったのかウミノは絶叫!!
ヤマミは呆れながら「ソージはどうなの?」とジト目。ウミノはぐぬぬ状態。
「私は……本当は妖精王になりたかった……! 美しくファンタスティックな存在になりたかった…………! けど!!」
なんとウミノの肌が水色に染まってウロコが浮かび、鼻が引っ込んでいって爬虫類っぽい平たい顔に変わる。更に服は着物へと変換されていって、薄布の羽衣を纏う!
眩いまでに美しい輝きを放ち始めていく!
その変貌に、ヤマミは唖然。
「こんな……醜い姿だからッ…………!!」
な、な、なんと────!? ウミノは竜宮乙姫と言う魔獣王だった────!!




