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魔力ゼロの悪役令嬢が、最強の魔女になれたのは、優しい魔王さまの嫁だから  作者: 恋月みりん


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56話〜57話

56.章 高熱



魔獣討伐も、7日目。



そろそろ、カリナにも疲れがみえてきていた。



魔導士カシウス・オルデウスは考える。



どうして、こんな辺鄙(へんぴ)な村落のあたりに、魔獣がこうも沸くのか。


奴等はどこから来るのか、どうも解せない。



そうして弟子のカリナが、野外調理の支度を片付けているのを待っている。



「お待たせしま…した…っ…」



カリナは、そう言って急に立ち上がると、足元がグラついた。



『……あれっ…なんだか、目の前が……』 



《バタッ》



「…あ…れ、立てない…?」



ここで、カリナは、自分が具合が悪いことにはじめて気づく。



どうも、高熱があるようで、その場に倒れてしまう。



「…カ…カリナ…!…大丈夫ですか?!」



師匠が、慌てて、抱き起こす。



「…頭打ってない?」



「だ…大丈夫です。…立てます…から。」



「…あれ…、おかしいな?」



「カリナ、熱あるね…。」



そう言って、師匠はカリナのひたいに、手を当てる。



「そうですかぁ…?……あ……ぁ…」



そう言うと、カリナは目の前がブラックアウトした。



山の稜線(りょうせん)から西陽がはいり、2人の輪郭だけを映しだす。


日は傾き、夕焼け空にわいた雲は、赤鼠色(あかねずみいろ)に輝いている。



「先生……もう…大丈夫ですから、下ろしてください。」



気がつくと、カリナは師匠に背負われている。



「そんな、ふらふらで、山道を歩けないでしょ…。」



「とりあえず、近くの村に帰るから。」



そう言ってカシウスはカリナを、おぶって山道を歩く。



「転移魔法、使ってあげたいけど、


魔獣がいる所で、魔力を使い切るとヤバいからね…」



「……すみません。役立たずで…。」



「……初めから、役立つ人間なんていないよ」



『……ヘンなの、なんだか、


……あったかい………キモチ……』



『もしかしたら、先生は思ったより良い人なの…かな…?』



「まぁ、私としては、もう少し胸を押し付けてくれると、うれしい…けど。」



「…………。」



『そうでも、なかった』



「……あの、変な手つきでお尻触るの、やめてもらっていいですか……(怒)?」



「……おっ、バレた?」



《ギューーッ》



「イダダダ……耳引っ張るのやめてー……」



「………。(怒)」



『やっぱり、…この人…大キ…ラ……ィ…』



カリナは、そんな事を考えていると、また意識が遠のいた。




57.章 魔獣の巣を討伐


 


─魔獣討伐があらかた完了した後、ジルド国王の衛兵が、カナイ村に派遣されてきた。



「調査により、この山の奥、地底湖につながる洞窟に、大規模な魔獣たちの巣が、確認されました。」



ジルド国王の衛兵は大仰(おうぎょう)に話す。



「今後、かなり危険な、大規模、討伐作戦が実施されます。そこでジルド国王様より、直接のご命令です。


大魔導士であらせられる、カシウス・オルデウス公様に、魔獣の巣討伐の要請が正式に下されました。」



王国の衛兵は魔導士カシウス・オルデウスにそう説明した。



「…要請が下されました、…ねぇ。ずいぶんと上から目線というか…。」



魔導士カシウスは嫌味を言いかけたが、衛兵がジロリと睨みつけたため、とりあえず黙った。



「…という事なので、カリナには申し訳ありませんが、


まだ十分治っていない貴女を、連れては行けません。」



師匠は《魔獣の巣討伐の王令書(おうれいしょ)》を見ながら、カリナにそう告げる。



「魔獣討伐済みのこの村で、当分お留守していてください。」



それを聞いて、カリナは素直に師匠に頷いた。



「……分かりました。」



魔導士カシウスは、弟子が意外に素直に従うので少し拍子抜けする。



「…あれ、文句言わないの?」



「自分の、未熟さは分かっています」



カリナは、自身の不甲斐なさを、分かっていたとはいえ、少し落胆してしまう。



「そんなに落ち込まないで、帰ってきたら、ご褒美に何かあげますから。」



「そんな子供じゃありません。ご褒美なんて、要りません」



カリナは、そう返す。



「じゃ、帰ってきたら、


たくさんの、大人のご褒美にしますか?」




そう言って、師匠は、ウインクしてくる。



浮ついた、その言い草に、カリナはムカッとする。



「……(( 怒怒怒怒 ))」



にこやかに、ブチ切れている。



「…………。」



師匠の冗談めかした態度とは、対照的に弟子の目がすわっている。



「……はははっ、ジョーダン、ジョーダン…(汗)」



『やっぱり、……この人…最低……』



そんな風にカリナは思うのだった。



あとがき


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


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