表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔力ゼロの悪役令嬢が、最強の魔女になれたのは、優しい魔王さまの嫁だから  作者: 恋月みりん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

27/66

47話

47.章 エンディング



カリナたちの乗った交易船は、ユーラ大陸の東北地方、ウランド半島まで、たどり着いた。


 

残りの船の船員たちの奮闘もあり、アルガ地方の小さな港に、生きて港に到着できたことを皆で喜びあった。



─そうして船は深夜に、小さな港町、ノルスに着港した。



時間も時間なので、宿屋のオヤジは渋い顔をする。



「あいにく、今、部屋が満杯で…」



そう言って、宿屋のオヤジは、ふたりを見くらべる。



「一部屋だけ、ベッド1つの部屋なら、用意できるけど、大丈夫かい?」



魔王は、こともなげに、カリナに尋ねる。



「別に一緒の部屋でも、問題ないだろう?」



カリナは少し戸惑ったようだったが、了承して言った。



「う……うん。」



この港町についてから、魔王はときおり、浮かない顔をする。



『…魔王様は、…マユリという、言葉がでてから、感じが変わった。』



『…マユリ、なんの言葉だろう…』



『…名前…?…』



『…わからない…』



『…魔王様のこと、何にも知らない…』



『どうして、心臓を捨ててしまったのかも…。』



魔王の落ち込んだ顔には、気づかないフリをして、カリナは明るく提案する。



「とりあえず、お腹減りましたね。何か食べましょう!」



港町ノルスのある、アルガ地方は、野山にすむ原生種の『ぶんぶん豚』が有名な土地だった。



「こっちに、郷土料理のお店がありますよ。」



そう言って、一軒のぶんぶん豚専門店『豚のしっぽ亭』に入る。



いい匂いをさせながら、たくさんの皿がテーブルに並べられた。



カリナは、その美味しそうな料理の前のでうっとりする。



「わーっ。これがこの地方ノルスの、名物『ぶんぶん豚の目玉モジャモジャ焼き』ですね」



「美味しそうー♡」



魔王は、いかにもゲテモノという眼差しでぶんぶん豚の目玉を見ている。



生臭く、白濁(はくだく)した目玉は、食べないこちらを、にらんでいる。



「どうしたんですかぁ♡ほのかな苦味があって、おいしーですよ♡」



この世界のものは、ほぼ見た目通りの味をしている。



「あーラーメン食いたい…」



魔王はそう言って、テーブルに突っ伏した。



「もしかして、要らないんですか?わたし、いただきますね♡」



「んー、滋味(じみ)があって美味しい~♡」



魔王は、美味しそうに、幸せそうに食べるカリナを見て、少し心和(こころなご)んでいた。



もっとも、食べている物が血の(したた)る、目玉でなければもっと、かわいく感じるのだが…。



港町ノルスのうらびれた、宿屋に帰ると、



カリナは、今まで平気で魔王の隣で寝ていたのが信じられないほど、



急に眠れなくなってしまう。



『……ねむれない』



目を瞑っても、おかしな気持ち。



そわそわして、眠れない。



『だめ…眠れない…』



『…どうして。今まで、平気で眠むれていたんだろう…』



『……好き。』



『近くにいられるだけで、いい…』



そうやって、ふわふわとした気持ちで、



目をつぶっていると。



魔王が起き上がるのがわかった。



どうにか、なってしまいそうなほど、



カリナの心臓は、強く打ちつける。



魔王は少し戸惑いながら、



カリナの髪に触れると、ひたいにキスをした。



「すまない」



苦しそうに、ぽつりとそう言って、



離れていった。



『…………。』



《バタン…》



扉が閉まる音がした。



『どうして…魔王様は部屋から出て行ったの…?』



カリナは激しい、胸騒ぎが止まらない。



『……なぜだろう。……もう魔王様は、戻って来ない気がする。』



そうして本当に、もう2度と、



魔王は戻って来ることはなかった。



小さな港町ノルスのうらびれた宿屋の一室に、朝の日差しが差し込んでくる。



カリナは身を起こすと、



自分が、ひとりぼっちで置き去りにされていることがわかった。



『…たぶん、もう魔王様は帰って来ない…。』



悲しくないわけじゃない…。



「大丈夫…。もともと、ひとりだった。」



「それに戻っただけなんだ。」



そうつぶやくと、涙が一粒だけおちた。



あとがき


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるの!!」


と思ったら


作品下にある★から、作品の応援お願いいたします。


《お気に入り》をいただけると、大変励みになります。


面白くても、つまらなくても、正直に感じた気持ちを《コメント》していただけると、今後につながってありがたいです。


誤字脱字ありましたら、教えていただけると大変ありがたいです。


《しおり》もいただけると本当にうれしいです。


何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
47章の褒めント  ここは誤字でしょうか。 『眠むれてた』→『眠れていた』でしょうか。誤字訂正はあなた様の作品を責める気がして、あまりしたくありませんでしたが、どうしても気になって……っ、すみません。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ