Episode.18
数分ほどして。
薄目を開けてみると、少し離れた位置に彼の姿が見えた。
監視されているようだ。
月は再び目を閉じ、脳内で彼を殺すための方法を考えていく。
「…………」
だが、全然思いつかない。
試しに【死んでください】と祈ってみる月。
「…………」
しかし特に何かが変わる様子はない。
続いて、アイテムボックスを開いた。
そして重たい腕を必死に動かし、画面をスクロールしていく。
とそこで、彼が早歩きで近づいてきた。
「何を探しているんだ?」
そう言いつつ、後ろから画面を覗き込んでくる男性。
「…………あの、覗かないでもらっていいですか? ゲホッ」
「なんで?」
「監視されているようで、落ち着かないので」
「いや、そういうつもりじゃなかったんだが」
「ならどういうつもりなんですか?」
「単純に探し物を手伝ってあげようかなと」
「…………自分が何を持っているのか確認しているだけなので、気にしないでください」
「……そうか」
月は背後からの視線を感じつつも、スクロールを再開する。
全て確認し終えた結果、特に概念を殺せるようなアイテムは見つからなかった。
つまり万策が尽きたと言える。
「ふぅ……」
月は身体を丸めて、目を閉じた。
それと同時に意識が遠くなっていく。
数十分後。
生命の危機を感じ、目を覚ました。
「うぅ……」
渇ききった喉。
治まる気配のない眩暈。
凍り付くような寒さ。
食欲がないのに空腹で気持ち悪い。
月はとりあえず喉の渇きを潤すために、アイテムボックスからペットボトルを取り出した。
そしてふたを開けようとするも、手に力が入らない。
少しの間苦戦していると、やがて男性が近寄ってきた。
「……開けてやるよ」
「…………」
多少警戒しつつも、無言でペットボトルを差し出す月。
男性はそれを受け取るなり、軽々と開けた。
「ほら」
「……あり、がとう…………ございます──っ!?」
だが受け取った瞬間、急に眩暈がひどくなり、思わずペットボトルを手放してしまった。
中身が零れて、乾いた荒野へと沁み込んでいく。
「あ……あ……」
月はそれを口に含もうと顔を動かし、そのまま意識を失った。




