第二百八十三話【決着】
◇
目を覚ますと、全身がひどく痛かった。
呼吸が苦しく、目の焦点が合っていない。
とそこで、背中にとてつもない衝撃を感じ、月は「ゲボッ」と吐血した。
同時に、今の状況を思い出す。
──自分はどれくらい記憶を失っていたのだろう?
そんな疑問が脳裏をよぎるが、月は考えることをやめて自身に回復魔法をかけていく。
だが定期的に浴びせられるダメージのほうが大きいことに気づき、すぐに中断した。
「むぅっ!」
月は今出せる全ての力を使って起き上がり、壁伝いに走る。
その途中で腹部を軽く斬られたが、特に表情を変えることはない。
全身に深手を負いすぎて、新たな軽傷に気づいていないのである。
走りながらも魔法を使用してある程度回復した月は、敵のほうへ向き直る。
その際に貧血でフラついてしまうも、なんとか耐えた。
「まだまだ……これからですよっ!」
◇
その後、長期戦の末、ようやく全ての武器を破壊することに成功した。
それと同時に化け物が動かなくなる。
「…………あれ……勝った?」
一応数分ほど警戒し続けるも、全くアクションを起こす様子がない。
「…………えいっ」
月はとりあえずユグドラシルの杖を構えて、魔法弾を発射した。
魔法弾は化け物の胴体に直撃し……特に何も起こらなかった。
「…………」
続いて30発を超える魔法弾をぶつける。
しかし、動き出す気配はない。
「…………むぅ!」
だんだんイラついてきた月は、少しだけ相手に近づき、巨大な爆発を起こした。
だが、やはり動かない。
「…………死んでいるなら、どうして何も起こらないんでしょう?」
月は化け物から距離を取り、壁際に座った。
そして、全身に回復魔法をかけていく。
やがてHPが満タンになった頃。
月は「はぁ」とため息をつき、口を開く。
「そろそろ帰りましょうか」
そう言って転移石の前まで移動した、その時だった。
背後から妙な気配を感じ、振り返る。
すると化け物の全身が、球体のように凝縮されているところだった。
「えっ?」
少しして。
その球体が完成したかと思えば、淡い光を放ちながらこちらへと近づいてくる。
「えっと……」
月は転移しようか悩むも、とりあえずあの球の様子を見守ることにした。
「…………」
ゆっくりと動き続ける球体。
ある程度接近してきた辺りで、月は徐々に怖くなってきたため横にずれた。
結果、球体は追ってくることなく、そのまま転移石に衝突する。
その直後、
──転移石が黄金色に輝き始めた。
「えっ!? …………な、何?」
それから30秒ほど見つめ続けるも、輝きが失われる様子はない。
「…………触れろ、ということですか?」
そうつぶやきつつ、おそるおそる手を伸ばす月。
そして指先が触れた瞬間、
──彼女の姿がその場から消えた。
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