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第二百三十七話【情報収集】

 次の日。


 瑠璃と月はこの楽園を探索していった。


 それでわかったことだが、どうやらここはダンジョンの最下層らしい。

 なんでも揃っており、とにかく住み心地がいいため、この街へたどり着いた強者たちは皆、冒険をやめて住み着くのだとか。

 子連れを見かけたことから、ここで結婚をしている者もいるようだ。



「う〜ん。やっぱり絶対神さんに会うのはそもそも不可能なんじゃないですか? ここが終点みたいですし」


 月の言葉に瑠璃は首を左右に振り、


「いや、それはありえない」


「どうしてです?」


「俺が納得していないからだ」


「はぁ……」


「よし、次は酒場へ行くぞ」


「なるほど。情報収集と言えば酒場が相場ですもんね。行くのは構いませんけど、道中で食べ歩きをしてもいいですか?」


「…………別にいいが、百店舗までにしてくれよ」


「えぇ〜。せめてもう少し寄らせてくださいよ〜」


「いや多すぎだろ! ツッコまれるの前提で言ったんだから、超えてくるんじゃねぇよ」


「……仕方ないですね。じゃあ百店舗で我慢します」


「食べすぎて豚になっても知らないぞ?」


「…………」


「仮に太ったとしても、俺は月のことを好きでい続けるけど、もしかしたら好意が薄れてしまう可能性もゼロではないから、それだけは理解しておくように」


「うっ…………じゃ、じゃあ……五十店舗に留めておきます……」


「それでも多いわ!」



 サンドイッチを食べながら街のなかを歩いていると、妙に怪しげな雰囲気の酒場を発見した。


「ここ……一般人が入っても大丈夫なところですかね?」


「構わないだろ」


 そう言いつつドアを開けてなかに入る瑠璃。


「相変わらず、怖いもの知らずというか、図々しいというか……」


 つぶやきながらも月は彼のあとを追う。



 店内の照明は豆電球のみで薄暗い。


 マスターであろう男性はこちらの存在に気づくなり「ふんっ」と鼻を鳴らし、グラスを拭く作業に戻る。


 カウンターでは老人が一人で酒を飲んでおり、タンクトップから覗く全身は傷だらけだ。

 古傷の数だけで言えば、瑠璃と同じかそれ以上だろう。


「…………おい、どっちがあのじいさんに聞き込みするか、決めようぜ」


 瑠璃が小声でそんな提案をした。


「えっ、瑠璃さんが聞くんじゃないんですか?」


「うん」


「いや無理ですって。怖いですし」


「出さなきゃ負けよ、じゃんけんほい!」


「えっ、ちょっ──」


 瑠璃がグー。


 月がパー。


「…………」


「…………」


「…………」


「…………早く行ってきてもらえます?」


「一応、もう一回やってみないか?」


「やりません! 往生際が悪いですよっ」


「はぁ……全く、仕方のないやつだな」


「勝手に勝負を仕掛けてきておきながら、何をわけのわからないことを言っているんです? 早くしてください」


「……了解」



 瑠璃は老人の隣の席に座り、口を開く。


「なぁじいさん。ひとつ聞きたいことがあるんだが」


「…………座ったのに飲まないとは……。全く、最近の若者は礼儀がなっておらんのぉ」


「……マスター。この店で一番強い酒をくれ」


 瑠璃の注文に、男性は「ふんっ」と鼻を鳴らし、グラスに焦げ茶色の液体を注いでいく。


 瑠璃はそれを手に取り、一気に飲み干した。


「おぉ……これ美味いな。おかわり!」


「っ!?」


 一瞬驚いたような表情を浮かべるマスターだが、すぐ真顔に戻って鼻を鳴らした。

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