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第百七十話【レベリング】

 二週間後。


 洞窟から500メートルほど離れた位置にて。

 二人の頭上からレベルアップの音が響いた。


「おっ!」


「とうとうきましたね!」


 二人は同時にそんな声を上げて、さっそくステータス画面を開く。


【LV100】


 レベルの部分には、間違いなくそう表示されていた。

 瑠璃が体調を崩した日の翌日から寝る間も惜しんで魔物を倒し続けた結果である。


 月はステータスポイントをMPと賢さに割り振りながら、


「瑠璃さん、これからどうします? レベルが三桁にたどり着いたわけですけど」


「ん? それはもちろんレベル上げに決まってるだろ」


「……やっぱりですか」


「まだまだ強くなりたいというのもあるが、一応レベルの上限が100以上であることを確認したい」


「あ……大抵のゲームとかだと99や100で止まりますもんね」


「そうそう。もしそうだったとしたら先に進むだけ無駄だし、第七階層に戻ってもっと強くなれる職業に転職したほうが効率がいい」


「私の予想では普通にレベルアップすると思いますけど……。だって今のステータスで第一階層の塔を攻略しろと言われても、無理じゃありません?」


「俺もそう思う。だが、妙に嫌な予感がするんだよな」


「いつもの勘ですか?」


「うん」


「……原理が全くわからないのに毎回当たるんですよね、それ」


「とりあえずレベル上げ再開だ!」


「……おーん」


「なんだその返事?」


 二人は魔物を求めて氷の大地を駆け抜けていく。


 しかし、それから三日が経ってもレベルが上がることはなかった。


      ◇


 一年後。

 

 第五階層の転職部屋にて。


「はぁ……なんか精神が崩壊しそうです」


「どうしたんだ?」


 月のつぶやきに瑠璃が首を傾げて尋ねた。


「レベルが100になったら転職して、また一からレベルを上げていく……。その作業を繰り返しすぎて時間の経ち方がおかしく感じてきました」


「情けないやつだな。オリハルコンの部屋に何年も閉じ込められていた時に比べたら余裕だろ」


「確かにあれよりはマシですけど、やっぱり長期のレベリングはしんどいです」


「だが、それも今回で終わりだ」


 そんな瑠璃の言葉に月は頷き、


「そうですね……。ようやく全てレベル100に到着しましたから」


 えっ、そうなの? と言わんばかりの視線を向ける猫姿のちょこ。

 月は彼女の頭を撫でながら、


「はい、普通のやつから、明らかにふざけている職業まで全部コンプリートです」


「にゃ~ん! …………にゃん?」


「ん? 今後どうするのかって? てっきり特定の職業を一定以上のレベルにしたら上位職でも出てくるものだとばかり思っていたんだが、結局それも出なかったしな……。俺は一番自分に合っていた格闘家に転職するつもりだ」


 そう返答しつつ瑠璃が台座の表面に触れると、目の前に画面が出現した。



【転職する職業を選択してください

『冒険者 LV100』 『戦士 LV100』

『魔法使い LV100』 『僧侶 LV100』

『盗賊 LV100』 『弓使い LV100』

『魔物使い LV100』 『召喚士 LV100』

『格闘家 LV100』 『歌手 LV100』

『メイド LV100』 『ニート LV100』

『猫 LV100』 『勇者 LV1』『終了する』】



「さて、格闘家を選択……んっ?」


「どうしたんですか?」


「なんか新しい職業が追加されているんだけど?」


「えっ!?」


 月は彼の横に並んで画面を覗く。


「ゆうしゃレベルいち……って、本当ですね!」


「つまり全職業のレベルを一定以上、もしくはコンプリートしたら出現する隠しジョブって感じか」


「ちょっと私も確認してみます」

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― 新着の感想 ―
[一言] ‥一年後。 そういえばこういう時間感覚の小説でしたね。 レベリングで一年くらいどうとでもないという。
[気になる点] ちょこと再会したの?
[一言] 隠しジョブのパターンキター!瑠璃が勇者なら月は賢者か聖女かな?
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