第百四十八話【後継者】
「この数か月、二人と一緒に過ごせて本当に楽しかったなー」
「「……」」
ちょこの言葉に、瑠璃と月はどう返せばいいのかわからない様子。
「二人の会話を聞いてるだけで面白かったし、回復役として戦闘に参加して、レベルが上がる度に嬉しかった」
「ちなみに今のレベルはいくつなんだ? この国に到着して以降、確認できないんだけど」
そう尋ねつつ、メニュー画面を操作していく瑠璃。
しかし、パーティーの項目からちょこの名前が消えている。
「……う~ん、わからない。本来妖精にレベルはないから、瑠璃くんたちの仲間になったおかげ? でそのシステムが適応されただけだと思う。現にわたし自身では操作できなかったし」
「そう言われたらそうだな」
「とにかく二日後はよろしくね。瑠璃くんと月ちゃんがいれば絶対に敵軍を追い返すことができると思うから」
「……おう、任せとけ」
「……」
それから数分ほど沈黙が続いた。
月が湖の水面を触りながら「あの……」と声を出すと、瑠璃とちょこが同時に視線を向けた。
「二日後の戦争が終わったら、ちょこちゃんとお別れをしないといけないんですか?」
「う~ん……正直ちょっと悩んでるかな。もし戦争に勝利して、今後わたしがいなくても妖精国が大丈夫そうなら、二人と一緒に旅立ちたいと思ってるけど……そうなる可能性は低いかも。妖精王以外にわたしに代わる力を持つ妖精はいないから」
「そういえば、今の妖精王って結構若い見た目だった気がするんだが、しばらくちょこがいなくても大丈夫じゃないか?」
「妖精は人間の見た目でいうところの二十代前半までしか年を取らないから、それは当てにならないよ」
「実際の年齢は?」
「わたしも詳しくはおぼえてないけど、多分500に近いと思う」
「ごひゃく?」と眉を顰める月。
「あの見た目で?」
「そうだよ。ちなみにわたしもこう見えて100歳を超えてるから」
「全然知らなかった……めっちゃ年上じゃん」
「ふふっ、引いた?」
「いや、年齢なんて関係ない」
「……ありがと」
とそこで瑠璃は月の真後ろに移動し、彼女の肩を揉み始めた。
「ん? 急にどうしたんですか?」
「なんとなくマッサージをしてあげたくなった。力加減はどうだ?」
「ちょうどいい感じですよー」
ちょこの話をしているにもかかわらず触れ合っていることから、よほど月のことが好きなのだろう。
瑠璃はマッサージを続けながら、
「で話を戻すけど、妖精の平均寿命は……500ってところか?」
「うん、正解」
「やっぱり……。だったらちょこがここを離れるわけにはいかないな」
「……うん」
「あの、話しているところ申し訳ないんですが……肩を揉んでいたはずの瑠璃さんの手が少しずつ胸に近づいてきているような気がするんですけど」
「くそ、バレたか。ちょっとずつ進めばバレることなくたどり着けると思っていたのに」
「シリアスな顔で真面目な話をしながら、よくそんなしょうもないことをやっていましたね。しかもまだ近づいてますし」
「……とりあえずちょこ、明日は勝とうな! この国が滅んだらそもそも妖精王のあとを継いで存続させるという話にすらならないし」
「そうだね! わたしも一生懸命頑張るつもりだよ」
「さっきの花火を敵兵に撃っていれば、それだけで勝てそうな気もするけどな」
「あのレベルを連発は無理だよぉー。……あ、でも、前日に瑠璃くんが抱いてくれるなら、できそうな気がする!」
「じゃあやめとけ」
「なんで──」
「──あっ!」
突然月が変な声を上げた。




