表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
259/428

第百三十六話【ビスケットの大迷宮】

 大迷宮。


 非常に頑丈なビスケットの壁は高さが十メートル以上もあり、決して飛び越えることは不可能だろう。

 入り口は一つしかなく、他は全て壁によって囲まれている。


 お菓子でできた街を出て、道なりに進むこと数時間。

 瑠璃たちはそんなところへ到着していた。


「ここに入れということですよね」と月。


 視線の先──入り口の上には、長方形の板チョコにホワイトペンで【だいめいきゅう!】と書かれている。


「他に道が続いているわけでもないし、多分このなかに転移石があるんだろうな」


「なんというか、面倒くさそうです」


「とりあえず今の攻撃力でこの壁を壊せるかどうか試してみる」


 瑠璃は入り口のなかへ入り、正面の壁に向かって全力パンチ。

 その瞬間、壁ではなく拳からミシッという音が響いた。


「──っ!? ……うわー、めちゃくちゃいてぇ」と眉を顰めながら瑠璃。


「やっぱりだめでしたか」


「つまり普通に攻略するしかない、と……。まあこういうのは俺の得意分野だから任せとけ」


「確かに、瑠璃さんの勘ってほとんど的中しますからね。期待してます」


「おう」


 瑠璃は左右に続いている通路を交互に見る。


 どちらも見た目は同じで、床、壁、天井などが全てビスケットでできているようだ。


「まずは右から行ってみるか」


「まずは……って、どういうことです? 自信がないから保険をかけているんですか?」


「ちげぇよ。会話のリズム感をよくするために言っただけだ」


「なるほど……」


「というわけで出発!」


 瑠璃たちは、幅三メートル、高さ十メートルの通路を進み始めた。



 しばらく直線し続け、一方通行の角を左に曲がる。


 するとそこには、たくさんの魔物が生息していた。

 

 頭にソフトクリームを乗せた白猫。


 真っすぐ伸びている直線に、その一種類が大量発生している。


「…………ちょこちゃん。友達になってきてください」と白猫たちを指さす月。


「にゃ~ん!?」


「そうしたらあの数の敵と戦わなくて済みますから」


「にゃ~ん……」


 ちょこは自信がない様子。


「お前無茶言うなよ」


「でも、同じ猫じゃないですか」


「それもそうだな。ちょこ! 俺たちに敵意がないと伝えてきてくれ」


「にゃ~ん!?」


「見た目がちょこに似すぎてて、正直戦意がわかない」


「私も同じ意見です。あの子たちを魔法で焼き殺したりするのは気が引けます」


「……にゃ~ん」


 ちょこは渋々といった様子で、一番近くにいたソフトクリームの猫に近づき「にゃ~ん」と話しかけた。

 

 すると相手の猫は少しびっくりしたような反応を見せるも、ちょこに害がないと判断したのか、一歩前に出て「にゃん?」と尋ねてくる。


「にゃ~ん」


「……にゃーん。にゃん?」


「にゃ~ん!」


 相手は少し嬉しそうな表情になり、


 ──直後、爪を立てて襲いかかってきた。


 思わず目を閉じてしまうちょこ。


 しかし攻撃がたどり着くことはない。


 相手は瑠璃の蹴りによって吹き飛び、壁に衝突して地面へと落下した。


「お前今、ちょこに攻撃しようとしただろ」


 その瞬間、通路にいるソフトクリームの猫が全員こちらを向く。

 表情が穏やかではない。


「せっかく穏便に済ませようと思っていたのに、そういうことなら仕方ない。みんなまとめてかかってこいよ」


「えぇっ!? いくらレベル上げを頑張ったからと言って、あの量が一度にきたらさすがにやばいですよ!?」


「大丈夫だ。最悪俺一人でもなんとかなる」


「……まあ、私も一人でなんとかなりますけどね」


「「「「「にゃー!!」」」」」


 瑠璃が打撃。

 月が多彩な攻撃魔法。

 ちょこが回復魔法。


 対する相手は、爪で攻撃してくるだけではなく氷の魔法弾まで発射してくる。


 瑠璃は大量のダメージをくらいながらも、一切表情を変えずに冷静に仕留めていく。

 攻撃力が異様に高いだけあって、ほとんどがワンパンだ。

 

「──(ファイアー)(ウィップ)! 瑠璃さん、ジャンプ」


「おう」


 瑠璃が跳ぶのと同タイミングで炎の鞭が真下を通過し、複数の猫に衝突した。


 お互いの身体能力や反応速度を知っているからこそのコンビネーション。


 それにプラスで、ちょこによるヒールが常に瑠璃を癒し続けている。


 そんな彼らが、この程度の大群に遅れを取るはずがなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 月:『ちょこちゃんあの猫と友達になってきてください。』 ちょこ:『ニャン?!(え?!)』 瑠璃:『ちょこあの猫と友達になってきてくれ。』 ちょこ:『ニャン?!(え?!)』 といった感じかな?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ