第七十五話【大きな島】
最初の島を出港して二日後。
瑠璃と月、ちょこを乗せた船は大きな島へと到着した。
夜空に星が浮かんでいる時間帯しか進んでいなかったため、もし昼間も進み続けていれば丸一日で着く距離だろう。
「とりあえず朝まで寝てから探索しますか?」
ハンドルの前で月が問いかけた。
「俺は今すぐ島に下りても構わないけど、暗いなか攻略するよりかは明るいほうが安全だよな」
「はい。何が待ち受けているかわかりませんし」
「じゃあちょっと船を固定してくる」
瑠璃は紐を持って砂浜に飛び降り、一番近くのヤシの木に巻きつけた。
それから船へと戻る。
「俺が見張りをしているから、月はちょこと一緒にキャビンのなかで寝ていいぞ」
「いえ、今までの頑張り具合からして瑠璃さんのほうが疲れているはずなので、私が見張りをします。なのでゆっくりと休んでください」
「俺はマジで大丈夫なんだけどな……。まあ今回は月の厚意に甘えるとしよう。あっ、一応念を押しておくけど──」
「──危ないと思ったらすぐに瑠璃さんを呼びますね」
「わかっているならいい。じゃあ俺は何時間か眠ってくるから、その間は任せたぞ」
「はい!」
「にゃ~ん」
◇
翌日の朝。
結局一度として砂浜や海に生息している魔物が船に襲いかかってくることはなかった。
「瑠璃さん、お腹が空きました」とお腹を押さえながら月。
「そういえば昨日の昼以降食べてないし、俺も腹ペコだ」
そう返答しつつ、瑠璃は砂浜の上へと飛び降りた。
月とちょこもそのあとに続く。
正面には森が広がっており、動物や鳥の鳴き声が聞こえる。
また、左右には岩場が広がっているようだ。
全体が見通せないことから、この島がかなり広いことがわかる。
「私、たまには瑠璃さんの料理が食べてみたいです」
「俺は逆に月の料理が食べたい」
「私は日本で一緒に暮らしている時、ずっと作っていたじゃないですか」
「それを言ったら俺だってたまに作ってたぞ」
「久しぶりに男らしい料理を味わってみたいんですよ」
「……あ、いいこと思いついた! 今から二人で料理を作って、お互いにご馳走するか」
「なるほど、それいいですね」
「ルールは、島にある食材とアイテムボックスの中身であれば自由に使用可能で、おいしかったらどんな料理でもいい。ちょこの分も忘れないようにな。というわけでスタート!」
「絶対瑠璃さんのほうがおいしいですからね!」
「絶対月のほうがおいしいからな!」
二人は一緒に森へと向かっていく。




