表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/428

第五十四話【猫のスキル】

 外の正門前。

 

 道から少し外れた草原にて、瑠璃がつぶやく。

 

「さて、つまらない依頼のことは置いといて、とりあえずレベル上げをするぞ」


「結局そうなるんですね……。まあクエストをクリアしたところでさほどお金はもらえないので、別に構いませんけど」


「戦い方については、いつも通り俺が勢いに任せて魔物を倒すから、月は回復魔法を頼む。それと、絶対にちょこを守るんだぞ」


「はい、任せてください!」


「もしちょこが魔物に殺されるようなことがあれば、お前をちょこちょこにするからな!」


「もちろんで……ってそれ、どういう意味ですか?」


「俺もわからん」


「なら言わないでくださいよ」


 そんなやり取りのあと、瑠璃はさっそく赤い風船を一体倒した。

 直後、月のほうからレベルアップの音が響く。

 

「……ん?」と瑠璃。


「あれ? 今私だけレベルアップしませんでした?」


「…………今までは全く同時だったよな?」


「ちょっと待ってくださいね」と月はステータス画面を開いていく。


 その間も瑠璃は辺りを見渡して魔物を探している。

 

「あ……えっ?」


「どうした?」


「私のレベルは上がってなかったです」


「ということは……」


「そういうことですね。パーティー一覧のところに、瑠璃さんのステータスだけじゃなくて、ちょこちゃんのも表示されてます」


 瑠璃は「マジで?」と言いながらメニュー画面を操作していき、

 

「……うん、確かにあるな。しかもレベルが2になっている」


「名前はまだないみたいです。私たちが勝手に名付けて呼んでいましたけど、自分で入力する感じなんですね」


「俺が入れとくよ。えっと、こいつの名前はなんだったっけ? ……おしり──」


「──ちょこ!!」


「おぉそうだった。にしても、おしりからのちょこって……なんか汚いな」


「瑠璃さんがおしりなんて言うからです! ちょこ単体だったらかわいいんですよ!」


「わるいわるい。で、猫の名前はおしり……じゃないな。あぶねぇ……。もう少しで決定するところだった。【ちょこ】っと。はいOKだ」


 月はパーティー一覧を確認し、頷く。

 

「はい、問題ありません」


「で、ちょこのステータスとスキルのポイントも割り振れるみたいだけど……これに関しては二人で相談して育てよう」


「それはもちろんですよ。瑠璃さんに任せたら筋肉バカになりそうな気しかしませんからね」


「何言ってんだお前。俺がそんなことするはずないだろ」


「じゃあどう育てるつもりなんです?」


「攻撃力に極振り」


「筋肉バカじゃないですかっ!!」


「そうとも言う」


「そうとしか言いません」


「ちなみに月はどうする予定なんだ?」


「……う~ん。どのスキルをおぼえさせるかにもよるんですけど、幸運以外の数値を均等に上げたほうがいいと思います」


「まあ、それが妥当だよな」


「私としては、とりあえず殺されにくいようにHPを上げたいです」


「じゃあそうするか」


「というか、そもそもスキルって何をおぼえるんですかね? 私たちと同じなんでしょうか……」


 つぶやきつつ、月は画面を操作していき、


「あれ? 三つしかありませんよ?」


「そんなことは…………確かに」


 彼女の言う通り、習得できるスキル一覧には、

 

【猫パンチ】

【ヒール】

【魔法弾】


 の三種類しか表示されていなかった。

 

「バランスがいいですね。前衛にも後衛にもなれるみたいです」

 

「とりあえず猫パンチにしよう」


「わかりました。魔法弾にしておきますね」


 そう言って【魔法弾】のレベルを上げる月。

 

「おい!」


「あっ、すみません。間違えちゃいました~」


「…………そうか。間違えたのなら仕方ないな」


「次からは気をつけますね~」


「……あっ、間違えてステータスポイントを攻撃力に極振りしてしまった」


「えっ!?」


「けど、間違えたら仕方ないよなぁ〜。次からは気をつけるとしよう」


「…………うわぁ、本当に振ってるじゃないですかっ!」


「わるいわるい」


「攻撃力が強い魔法使いって……」


「ちょこはこれで満足だろ?」


「にゃ~ん」


「ならよかった」


「えっ、ちょこちゃんは満足してませんよね?」


「にゃ~ん」


「ほらぁ!」


「……ちょこは月が大好きか?」


「にゃ~ん」


「……ちょこちゃんは瑠璃さんが好きですか?」


「にゃ~ん」


「俺は月を愛しているか?」


「にゃ~ん」と同じテンポでちょこ。


「いや、お前が答えるんじゃねぇ!」


「どうやらちょこちゃんはノリがいいタイプみたいです」


「というか、そろそろレベル上げを再開するぞ! 全く……月のせいでいつも会話が終わらないんだよな」


「私のせいですか!? ほとんどの確率で瑠璃さんが原因じゃありません?」


「ほら、それが原因」


「……むぅ。瑠璃さんが喋りやすいのがいけないんですっ!」


「月が喋りやすいのがいけない」


「このままだったらまた会話が続いてしまう気がするので、ちょこちゃんに決めてもらいませんか?」


「あ~、それいいな。……なぁちょこ。俺と月だったら、どっちが喋りやすい?」


「にゃ~ん」


「どっちだよっ!!」


「どっちですかっ!!」


 困った顔で「にゃ~ん」と鳴くちょこであった。

 

 

 それから二人と一匹は、町の正門付近でレベル上げを行っていく。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ