JK真白ちゃん
私立郡中女子学院高等部にやって来た初日の午前中を無事終えた俺は、校舎内にあると言う学食に行くため、千草と並んで廊下を歩いていた
夏休み明けの新顔というのと、赤髪青目の珍しい容姿と言うのも相俟って、割とジロジロ見られてはその度にビクついてしまっているが、他のクラスメイト達がその度に視線を遮ってくれるのは大変ありがたいことだった
「やっぱり視線が集まるね。真白ちゃん、可愛いから仕方ないけど」
世話を焼いてくれているクラスメイトの一人。赤いフレームメガネが印象的な女の子はかなめちゃんと言う子だ。あだ名は委員長だが、彼女自身はクラス委員でも何でもない。完全に見た目印象だけのあだ名だ。
「見た目もあってな。世界中で見ても、赤髪は結構珍しいからな……」
「ごめんね、皆」
こればかりは仕方がない。普段からジロジロ見られることには割と慣れていたけど、ASDになってからはやはり視線がダメだ。特に知らない人からの視線にはどうしても反応してしまう。
これが周りが女の子ばかりだから良いけど、外に出たらそうはいかない。外に行けば男の人からも見られてしまう。そうなった時、動けるかと聞かれると正直全く自信がない。
何せ10日前にフラッシュバックを起こして以降は、玄太郎さんとの接触が一切無い。それ以外の人との会話は千草、墨亜ちゃん、光さん、美弥子さんと何人かのメイドさんだけだった。
学校も狙ったかのように女子高だ。先生も聞いた話だと殆どが女性らしいし、その辺はお金を掛けられる私立らしい部分でもあると思う
「良いって良いって、正直物珍しさで近付いたけど、流石にあれ聞かされたら協力しなきゃってなるからさ」
「困ったことがあったら言ってね~。千草も家の事で忙しいからちょくちょくいなくなるし」
かなめちゃんの他にも二人、俺の事を率先して面倒を見てくれるクラスメイトがいる。
ベリーショートで如何にも運動が得意そうな優妃さんと、ほわほわぽわぽわした雰囲気がなんとも独特な美海ちゃんの二人だ。
かなめちゃんと合わせたこの三人は、朝に俺に群がったクラスメイト達の中に最初から混じっていた面々で、その中でも人一倍俺の事を気にかけてくれている。
他の子達は、俺の話を聞いて気後れしてしまった子もいたみたいだし、三人とは違って率先して俺を気にかけるのではなく、俺をワザと気にかけないようにしてくれている子もいる。
一見、このタイプの子達は優しさや配慮が足りないように見えるが、彼女達はあくまで16歳の女子高生だ。ASDを患っている人間の対処なんてどうすれば良いのか分からないし、わざと気にかけないでいてくれる子は、俺が慣れるのを待ってくれている子だ。
後は何人か話しかけたそうにチラチラとこちらを見て来るクラスメイトがいるけど、ゴメンこっちから話しかける余裕は無い。
「まぁ、私が家の事で呼ばれる時は、もれなく真白もセットだな」
「あ、そっか、真白ちゃんも諸星だもんね。大変だなぁ」
「世界を股にかける企業のご令嬢は規模が違うよなぁ、流石に」
で、この家の事で千草が学校を抜け出している件だけど、こっそり教えてもらったらそう理由を付けて、魔法少女として出勤しているらしい。学生と魔法少女、二足の草鞋を学校に知られずに行うのは中々に大変だ。
千草の話によれば、学生組が長期休暇中に海外遠征に行っていた魔法少女が、学生組の代わりに常勤に入るらしいから、千草たちが魔法少女として、平日に出る事は稀なんだとか。
「そうでもないと思うけどな。さて真白、ここが学食だ。基本的に無料だが、一部のメニューは有料だから気を付けろよ」
「……流石私立のお嬢様学校ね」
そんな話をしながら案内された学食は俺の知ってる学食とはまるで規模が違かった。




